首長の学歴問題、屋久島町長の学歴は大丈夫なのか?/屋久島ポスト
伊東市、田久保市長の学歴詐称疑惑で市政が混乱 → 屋久島ポスト、町総務課に荒木町長の学歴確認を依頼
首長の強大な権力にみる地方自治の限界

屋久島町の荒木耕治町長のプロフィールを掲載した「町報やくしま」(2023年12月号)の記事
自治体トップの学歴をめぐり、静岡県伊東市が大きく揺れている。「東洋大学卒業」と公言していた田久保真紀市長が、実は「除籍」になっていたことが明らかになったからだ。
市民からは早期の辞職を求める声が上がり、遂には田久保市長が公職選挙法違反などで刑事告発される事態に発展。市議会は強い権限をもつ調査特別委員会(百条委員会)を設置したが、田久保市長は証人尋問や証拠提出を拒否しており、伊東市政は前代未聞の混乱状態に陥っている。
だが、田久保市長は7月31日夜に記者会見を開き、5月の市長選で掲げた公約を実現するとして、続投を宣言。7月7日の会見で一度は表明していた辞職の意向を、一転して撤回してしまった。
記者会見の様子をテレビで見ながら、この問題はどこの自治体でも起き得ると感じた。都道府県知事や市長村長が公言する学歴に対して、各自治体の職員が疑うことはほとんどなく、多くはその真偽を確認していないと思われるからだ。
町総務課、荒木町長に学歴を確認中
そこで疑うわけではないが、わが屋久島町の荒木耕治町長の学歴である「亜細亜大学卒業」について、町が卒業証明書などで確認したことがあるのかどうか、町長部局を所管する総務課に尋ねてみた。すると、現職の課長や職員が直接的に確認しことはないという。
その答えを受けて、屋久島ポストは総務課長に依頼をして、荒木町長が過去に自身の学歴を証明する書類などを示したことがあるのか否か、町長本人に確認してもらうことにした。
伊東市長、嘘に嘘を上塗りしても辞職せず
自分たちが暮らす自治体の首長が嘘をついていると疑う市民は、極めて少ないだろう。だが、今回の伊東市のケースをみると、現実は違うと言わざるを得ない。それも、学歴詐称を疑う市議会に対して、実際には存在するはずがない「卒業証書」を示すなどして、嘘に嘘を上塗りしており、田久保市長に市民6万2000人のトップを務める資質がないことは明らかである。
しかし、それでも市議会や市民は、すぐに田久保市長を辞めさせることができない。もし仮に今後、市議会が市長に対する不信任決議案を可決したとしても、田久保市長には市議会を解散するという選択肢が残されており、それほど自治体の首長は強大な権力を握っているのである。
荒木町長、虚偽答弁と200万円着服でも辞職せず
かつて屋久島町でも、荒木町長による虚偽の議会答弁が問題になったことがあった。2019年に航空運賃の高齢者割引を悪用した出張旅費の不正精算を指摘された町議会で、荒木町長が高齢者割引を「一度も利用したことはない」と完全否定したからだ。だが、実際には約90回も高齢者割引を利用し、約200万円を着服していたことが判明したが、それでも荒木町長が辞職することはなかった。
市民がすぐに辞めさせられない市民の代表
大きな嘘をついても、自治体の首長は辞職しなくていい。
そんなことを子どもたちに教えることはできないが、実際にはそんな首長がいる。そして、ひとたび選挙で市民が選んでしまった首長は、市民の力では、すぐに辞めさせることはできないのである。
実に恐ろしいことだが、これが地方自治の現実であり、限界でもある。
