マンション不法侵入

【視点】管理会社は被害女性に誠実な謝罪と補償をすべき/鹿児島ポスト

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マンション管理人、留守宅で女性下着を物色して逮捕 → 被害女性、1月に提訴 3月5日に報道 → 管理会社、3月12日に全入居者に謝罪と報告

なぜ、事件発生から9カ月間も黙っていたのか?

マンションを管理する不動産会社「ロンフレ」が入居者に配布した文書の一部(※マンション名にモザイク加工をしています)

 鹿児島市内にある賃貸マンションで2024年6月、管理人の男がマスターキーで入居者の留守宅に侵入して逮捕され、その後に懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けた。警察や検察の取り調べに対し管理人は、この部屋で暮らす女性に好意を寄せ、女性が身につけていた下着に触って、「性的に興奮した」と供述したという。

被害女性に謝罪も補償もしない管理会社
 その事実を知った女性は、「自分が辱めを受けたような恐怖」を感じ、「もうこんな部屋では暮らせない」と思い詰め、やむなく別のマンションに転居した。

 本来であれば、管理人を社員として雇う管理会社には、被害者や全入居者に謝罪をして、どのような再発防止策を講じたのかを報告すべき責任がある。だが、このマンションを管理する不動産会社「ロンフレ」(本社・宮崎県小林市)は、被害に遭った女性に謝罪や補償の話を一切しなかった。さらには、事件があったという事実さえも、約100戸あるマンションの入居者に知らせることはなかった

マンションの管理人が持ち歩いていたマスターキー。写真下の「2015 New Master」と記載された鍵を使って被害者の部屋に侵入した(被害者に開示された事件記録より ※鍵の形状を伏せるために一部でモザイク加工をしています)

最近まで「事件の正しい情報」を知らなかったと釈明するが・・・
 事件発生から約9カ月。その管理会社のロンフレが3月12日、「元管理人の住居侵入についてのお詫び」と題する文書を入居者に配布し、事件について謝罪をしたうえで、マスターキーを本社の金庫で保管するなどの再発防止策を講じたと報告した。報告まで9カ月間も要した理由については、「然るべき機関からの事件の正しい情報」を最近まで知ることができなかったからだと釈明した。

 「然るべき機関」とは、警察や検察、裁判所のいずれかだと思われるが、なぜ「最近」まで「事件の正しい情報」を知ることができなかったのか?

 

 社員が逮捕されたのであれば、ロンフレは捜査に協力することになるので、事件について警察から説明を受けられたはずだ。8月には有罪判決が出ており、裁判を傍聴したり、社員本人やその代理人弁護士に確認したりすれば、容易に「事件の正しい情報」を知り得たはずである。

提訴と報道後に一転、入居者に謝罪と事件報告
 それにもかかわらず、9カ月間もの長きにわたって、ロンフレはじっと沈黙を続けた。その間には、被害に遭った女性はロンフレの幹部と電話で2回話しているが、謝罪や補償の話はなく、その幹部は事件について「何もわからない」と言ったという。

 そして、被害に遭った女性は2025年1月、「二度と同じ被害者を出してはいけない」との思いで、管理会社と元管理人に対して民事訴訟を提起。3月5日には第1回口頭弁論が鹿児島地裁で開かれ、鹿児島ポストとKKB鹿児島放送が事件について初めて報じた。

 これらの経緯と事実を踏まえると、被害女性から提訴され、その事実が報道されたことによって、ロンフレが3月12日に文書で事件の報告をしたというのが、本当のところではないのか。逆に言えば、もし提訴されず、報道もされなかったら、ロンフレは事件について、ずっと黙っていた可能性があったということである。

マンションを管理する不動産会社「ロンフレ」が入居者に配布した文書(※マンション名にモザイク加工をしています)

入居者の安心安全な暮らしを守る責任
 ロンフレのウェブサイトを開くと、鹿児島市内だけでなく、宮崎と熊本の両県内でも複数の賃貸物件を扱っており、かなり手広く不動産業を営んでいることがわかる。つまり、それらの物件に入る数多くの入居者に対して、ロンフレは安心安全な暮らしを守る責任を負っているということである。

 そして、「企業理念」を見ると、次のような文言が並んでいる。

・私たちは、社会貢献を果たすことが、会社の存在価値であると考えます。

・私たちは、社会貢献を果たした結果が、利益であると考えます。

・私たちは、社会貢献が果たせるよう、自分自身を高める挑戦を続けます。

・私たちは、社会貢献が果たせるよう、会社に関わるすべての人々の幸福を追及します。

 もし、この企業理念が本当なのであれば、裁判で争う姿勢を見せるのではなく、被害に遭わせた女性に対して、誠実に謝罪と補償をするべきではないのか。そうしない限り、数多くの入居者や、これから新規で契約する顧客の信用は得られないだろう。

■KKB鹿児島放送のニュース動画

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