マンション不法侵入

管理人「奥さんの下着を見て嬉しい気持ちになった」【悪用されたマスターキー➃】/鹿児島ポスト

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部屋で下着を物色中に入居者と鉢合わせ → バケツで水まき「水道の水漏れ」を装った末に逮捕

【左】管理人が下着を物色した押入れの中を調べる鹿児島県警の捜査員(2024年6月1日、被害者撮影)【右】逮捕されたのち、管理人が警察の事情聴取で書いた被害者宅の間取り図。矢印で侵入経路が示されている(被害者に開示された事件記録より)

「奥さんの部屋を見てみたい、部屋に入ってみたい」――。

 その欲求が抑えられなくなった管理人は、マンションの全室に入れるマスターキーで玄関を開け、夫妻の留守宅に侵入した。玄関の土間に入ると、まずはドアを閉めて靴を脱ぎ、部屋へと足を踏み入れた。

「嬉しさ」と「緊張」で部屋の中へ
 この時、管理人は「奥さんが住む部屋に入れたという嬉しさが込み上げてきた」と思う反面、「夫妻が帰ってきて、自分が無断で部屋に入っていることがバレないかという気持ちで、とても緊張した」という。

 だが、それでも管理人は台所を抜けて真っすぐに進み、リビングの様子を見渡した。そして、奥の部屋へ進んだところで、押入れの引き戸が開いているのに気づき、その中で女性の服がたたんで置かれているのが見えた。

 その様子を見て、管理人は「奥さんのものだと思い、とても興奮した」。さらに、たたまれた服の横に目をやると、手提げバッグが置かれており、開いたバッグの中には、女性の下着が入っていた。

「奥さんが履いたことを想像しながら興奮した」
 そこで、管理人の興奮はさらに高まった。「うわっ、奥さんの下着だ」。そして、「普段、見ることができない奥さんの下着を見て、とても嬉しい気持ちになった」という。

 すぐに管理人は押入れに近づき、バッグの中から数枚の下着を手に取り、「奥さんが履いていたということを想像しながら興奮した」。だが、青色の下着があったというほかは、特に種類や形状は記憶に残らなかったという。

警察の実況見分で使われた被害者宅の間取り図(被害者に開示された事件記録より ※一部でモザイク加工をしています)

とっさに嘘「上の階で水漏れがあった」
 ところが、それから1~2分後、玄関の方から「ガチャッ」という音が聞こえてきた。その瞬間、管理人は「やばい、帰ってきた」と思い、急いで手に持っていた下着をバッグの中に戻した。だが、「下着は元の位置に戻したと思いますが、急いでいたのと、一度に複数の下着を手に取っていたので、もしかしたら、バッグに戻す時に手からこぼれ落ちていたかもしれない」という。

 管理人に隠れる場所や逃げる方法はなかった。そこで、奥の部屋からリビングに移動したところで夫妻と鉢合わせになり、すぐに夫から「なんで部屋に入っているんですか?」と問いただされた。それに対し管理人は、無断で部屋に侵入したことがバレて焦り、とっさに「上の階で水漏れがあったので入りました」と嘘をついた。

 こうなると、水漏れがあったように見せかけ、嘘を取り繕うしかなかった。

 管理人は「また説明に来ます」と言って部屋を飛び出し、まずは1階の管理人室の横になる物置部屋へ急いだ。そして、掃除用の青いバケツを水で満たし、すぐにエレベーターで8階へ上がり、夫妻宅の真上にあたる共用部分に水をまくことに決めた。まずは、各部屋の水道管が納められた扉を開けて、その水道管の床部分にバケツの水をまいた。

水漏れの偽装がバレて110番通報
 その後、バケツを1階の物置部屋に戻した管理人は7階の夫妻宅に戻り、二人を連れて8階へ上がり、自分が水をまいて偽装した「水漏れ現場」を見せた。だが、夫妻は納得せず、夫は「水漏れなんてなかったのでは?」と疑い、妻は「私の部屋を荒らしましたよね」と問いただした。さらに管理人が1階に戻ると、夫が管理人室に来て「部屋が荒らされている」と問い詰めた一方、妻は警察に110番通報をした。

 やがて、警察官がマンションに到着し、管理人は鹿児島中央警察署に任意同行を求められ、住居侵入と窃盗未遂の容疑で逮捕された。

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