虚偽領収書 不正調査の百条委、5回目の否決 屋久島町出張旅費不正問題

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反対8人、賛成5人で否決 不正調査対象の日高好作、岩川俊広の両町議は退席

内田正喜町議「三権分立の基本原理に反する」と反対

メイン写真
【上】岩川俊広町議(左)、岩川俊広町議が不正精算で使った架空領収書(中央)、日高好作町議(右)
【下】日高好作町議が不正精算で使った架空領収書2枚


 屋久島町の幹部らが虚偽の領収書で出張旅費を不正精算していた問題で、屋久島町議会は
920日、虚偽領収書の発行経緯などを調査する百条委員会の設置案を反対多数で否決した。同設置案は6月議会でも提案され、自身も不正調査の対象となる日高好作、岩川俊広の両町議も採決に加わり、自ら反対するという異例の事態となったが、今回の審議では2人は退席。だが、反対8人、賛成5人で否決となった。一連の旅費不正をめぐる百条委設置案の否決は今回で5回目となり、町政監視の責務を果たさない町議会の無責任ぶりが、あらためて浮き彫りになった。


 この日あった9月定例会最終日の本会議で、旅費不正問題を追及している真辺真紀町議が「出張旅費精算不正における虚偽領収書調査の決議」を発議した。

日高好作町議、退席の判断について質疑

 提案理由の説明に先立ち、真辺町議が不正調査の対象となる日高町議と岩川俊広町議の氏名を発議案に記載していることを踏まえ、石田尾茂樹議長が両町議に退席を求めた。それに対し、日高町議は退席の判断を鹿児島県町村会に確認したか否かを質疑したが、石田尾議長は独自の判断で退席を指示。6月議会で提案された同設置案の審議では、議長判断で両町議は採決に加わったが、今回は退席することになった。

日高町議
百条委員会設置案の審議で退席を求める判断について、鹿児島県町村会に確認したのか否かを質疑する日高好作町議(2022年9月20日、屋久島町議会)

真辺真紀町議、虚偽領収書「うやむやの放置は許されない」

 続く提案理由の説明で、真辺町議は町役場と町議会の幹部ら10人が精算に使った15枚の虚偽領収書について、町役場と町監査委員は調査を一切せず、発行された経緯が不明のままだと主張。「特に前副町長や元会計課長、歴代の議長3人が使った虚偽領収書については、説明責任を果たさず、うやむやのまま放置することは許されない」と賛同を求めた。

提案理由
百条委員会設置の提案理由の説明で、真辺真紀町議は日高好作町議らが不正精算に使った架空領収書を掲げた(2022年9月20日、屋久島町議会)

反対討論「司法で決着済み」「再発防止策を講じている」

 百条委に対する反対討論では、2人の町議が意見を述べた。

内田町議
「三権分立の基本原理に反する」として、百条委員会の設置に反対した内田正喜町議(2022年9月20日、屋久島町議会)

 内田正喜町議は調査対象に検察で起訴猶予処分になった案件が複数含まれていることを踏まえ、「司法の場で決着したものを、議会が新たに証言を求めることが許されるのか」と述べ、「三権分立の基本原理に反する」として反対した。

渡辺町議4
町が再発防止策を講じていることを理由に百条委員会の設置に反対した渡辺博之町議
(2022年9月20日、屋久島町議会)

 また、渡辺博之町議は町がすでに再発防止策を講じているとして、「それでも
(不正が)防げなければ、(百条委で)調査するのが筋道だ」と主張した。

採決結果
虚偽領収書の発行経緯などを調査する百条委員会設置案に対する各町議の賛否を表示するモニター画面(2022年9月20日、屋久島町役場内の議会中継のモニター画面を撮影)


 各町議の賛否は以下のとおり(敬称略)

■虚偽領収書調査に反対

内田正喜

中馬慎一郎

相良健一郎

岩山鶴美

榎光徳

緒方健太

渡辺博之

大角利成

■虚偽領収書調査に賛成

岩川卓誉

小脇淳智郎

真辺真紀

渡辺千護

高橋義友

■不正調査対象で退席

日高好作

岩川俊広

■採決に不参加(議長)

石田尾茂樹

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