【取材後記】不適切な「議長判断」を続ける石田尾議長/編集委員会
虚偽領収書を使った町議2人が不正調査に反対、虚偽領収書を不問に
屋久島町幹部らが出張旅費の不正精算で使った虚偽領収書を調査する百条委員会設置案の議会審議で、世にも珍しいことが起きました。
みずから虚偽領収書で不正精算した日高好作、岩川俊広の両町議が、自身の不正調査をするか否かを決める採決に加わり、自分で電子採決の反対ボタンを押してしまったのです。さらに、採決結果は反対多数で否決となり、2人の不正は不問になるというのですから、驚いた町民は多かったことでしょう。
裁判で被告が裁判官を兼務するような事態
これでは、裁判の被告人が裁判官を兼務して、自分が無罪だと自分で判決を出すようなもので、全くもってあり得ない事態です。
それでは、なぜ、このような珍事が起きたのか。
石田尾議長、不正の町議2人「特定できない」
百条委設置の提案理由で、2人が「元議長の現職町議」と書かれ、実名が記載されていなかったのが原因だそうです。現在の町議会には、「元議長の現職町議」にあたる町議が3人いて、調査対象となる2人が「特定できない」と、石田尾茂樹議長が判断したということです。
しかし、本当に2人は特定できなかったのでしょうか。
町議2人の実名、虚偽領収書には記載
百条委を提案した真辺真紀町議は、提案理由の文書と一緒に、不正調査の対象となる虚偽領収書15枚のコピーを添付していました。そのなかには、「日高好作様」「岩川俊広様」と記載された虚偽領収書があり、そのほかの領収書には、現職町議の氏名は書かれていませんでした。
その添付資料は石田尾議長も手にしていて、日高、岩川俊広の両町議が調査対象であることは容易にわかったはずです。それでも2人が「特定できない」として、両町議が採決に加わるという決定をしたことは、議長判断として不適切だったと言わざるを得ません。

議員席から取材拒否の理由を問われた後、手を出して発言を制止する石田尾茂樹議長。この後、屋久島ポストのカメラは議場から排除された(2021年12月7日、屋久島町役場議会棟)
恣意的な「議長判断」で町民を制限
石田尾議長の「議長判断」や「議長権限」には、これまでも不適切な問題が多々ありました。
・傍聴規則で規定されていないのに、議会取材の許可を日本新聞協会などに加盟したマスコミだけに限定し、フリージャーナリストや独立メディアなどを排除。
・町側が役場内の組織変更案を説明する全員協議会で、「変更案は修正される可能性がある」との理由で一般町民の傍聴を排除。
・町が開示した議会動画を記事で使ったら、「著作権法に違反している」として削除を要請・・・・・・。
どれも議長個人の恣意的な判断ばかりなのですが、それでも、石田尾議長はそれらを一方的に押し付けて、私たち一般町民の行動を制限し続けています。
市民の権利制限は法令に基づいて
行政機関が市民の権利を制限する場合、それはすべて法令に基づいて判断しなくてはならないのですが、どうも石田尾議長はその原理原則をまったく理解していないようです。
ということで、いつもの「議長判断」で、またしても不適切な議会運営となりましたが、百条委の設置案は再提案をすればいいだけです。次回は提案理由に「日高好作町議」「岩川俊広町議」としっかり書けば、さすがに2人を採決に加える「議長判断」はないでしょう。
でも、石田尾議長のことなので、もっと不適切な議会運営が見られるかもしれません。

