【検証】副町長に続き一般職員の虚偽領収書も不問 屋久島町長選2023

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屋久島町職員、出張5件で虚偽領収書の不正精算 荒木町長「内心の詐欺的意図等を確定的に認定するのは困難」

職員A)領収書2

屋久島町の一般職員が出張旅費の精算で添付した虚偽領収書。但し書きの「航空券代として」は、実際はホテル代などが含まれた新幹線代だった

 屋久島町の荒木耕治町長は312年にわたる町政運営のうち、その三分の二にあたる28年を岩川浩一前副町長に支えられてきた。新庁舎建設をめぐる町長リコール(解職請求)も、山海留学の児童体罰訴訟も、入山協力金3000万円の横領事件も、岩川前副町長の助け舟に身を預けて、不祥事の荒波を巧みに乗り切ってきた。

 それだからだろうか。その岩川前副町長が航空運賃の虚偽領収書を使って出張旅費の不正精算をしても、荒木町長は不正調査を一切しなかった。実際より高額な航空運賃が記載された領収書について、岩川前副町長が「見積もり段階の領収書」などと、まともな市民社会ではあり得ない釈明をしても、すべてを不問にしてしまった。

複数の一般職員が約21万円分の不正精算

 身内に甘い無責任な町政運営だが、不正精算に手を染めていた身内は、実は岩川前副町長だけではなかった。一部の町議に押される形で、現役の町職員の出張記録を監査したところ、一般職のなかにも不正精算をしていた職員がいたのだ。5人による計8件で、被害総額は215350円。そのうち、5件で虚偽領収書が使われていた。

 その詳細を調べると、私的な旅費を「見積もりの領収書」に混ぜ込んでいた岩川前副町長に負けず劣らず、実に巧妙な不正精算だった。

航空機と見せかけて実は新幹線で出張

 一例を紹介すると、一般職員A201956月に福岡市に出張した際に、屋久島空港と福岡空港の往復航空券代として、47700円と記載された領収書で旅費精算した。それに加え、福岡市内のホテル代3泊分として32700円も受け取った。
職員A)精算書1
屋久島町の一般職員Aが出張旅費の精算で作成した明細書。航空運賃が4万7700円となっているが、実際にはホテル代などを含む新幹線パックを利用。さらに、宿泊費を二重取りしていた

 ところが実際には、職員Aはフェリーで屋久島から鹿児島市内へ渡り、そこから福岡市までは新幹線で往復していた。さらに、そのフェリーと新幹線の代金には福岡市内でのホテル代2泊分も含まれており、金額は計41800円だった。

宿泊代の二重取りも 計33100円を着服

 その結果、当初に精算した往復航空券代に加え、福岡市内のホテル代などの合計に対して、実際に支払った金額との間に差額が発生した。往復航空券代として領収書に記載された47700円については、実は41800円であり、そのなかには往復の新幹線とフェリーの代金、それにホテル代2泊分が含まれていた。

 つまり、職員Aは交通費の差額に加え、定額でもらえるホテル代も二重取りすることで、余分に受け取った計33100円の旅費を着服していたのである。
職員A)精算書2-1
屋久島町の一般職員Aが不正受給した旅費を町に返還する際に作成した明細書。航空機ではなく新幹線パックを利用したうえ、宿泊費を二重取りしていたため、3万3100円を返還することになった

荒木町長、虚偽領収書の調査は「不可能」

 この監査結果を受けて、荒木町長は20209月の町議会一般質問で、次のような答弁をした。

「監査委員の独立性、自律性の観点から、町としてはコメントすべき立場でないものと考えるが、監査委員としても内心の詐欺的意図等を確定的に認定するのは、本人の自白があるような場合を除いて、相当に困難であったのではないかと推察をするところである」

「内心の詐欺的意図等を確定的に認定」などと、法律の専門家に入れ知恵をされたと思われる言い回しだが、要するに、不正精算が意図的であったかどうかは、調べようがないということである。そして、それ以上の調査は「不可能」ということにして、岩川前副町長に続き、一般職員が虚偽領収書で不正精算をした計5件の出張についても、荒木町長は不問にしてしまったのである。

虚偽領収書15枚の発行経緯は不明のまま

 今年10月の町長選で4選をめざす荒木町長の後援会長は、討議資料と称するチラシを戸別配布して、「自ら反省し、町全体で再発防止を行い、改善しようとしている人々に対して、いつまでもその過ちを持ち出すことはどうなのか、と私は思います」と主張している。

 しかしながら、屋久島町役場から見つかった虚偽領収書は少なくとも15枚あり、そのすべてについて、誰が何の目的で、どのように発行したのかは、いまだに不明のままである。

 屋久島ポストが配信した連載記事「【検証 屋久島町政】出張旅費不正問題」を再録するシリーズの11回目では、岩川前副町長に続き、複数の一般職員が不正精算で使った虚偽領収書について振り返る。

一般職員まで虚偽領収書で精算していたの!?:【検証 屋久島町政】(26)

2022721日配信

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  1. 賢い住民

    調査しようにも、町長の実に弱いところです。
    本人が旅費の不正精算を繰り返していた張本人なのですから、、、、、
    真実を暴いたら自分も暴かれるのです。
    こんな体たらくにも拘わらず、四選を目指す厚かましさと、それを後押しする支援団体にも呆れている。
    屋久島町の住民の常識を穴どつたらいけません。

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