現職町議、公務出張中に許可なく私的旅行 屋久島町出張旅費不正問題

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日高好作町議、虚偽領収書に続いて旅費精算書に虚偽記載

日高町議取材拒否
虚偽領収書のコピーを前に「話すか話さないかは私の権利」と主張して、説明を拒否する日高好作町議(2022年5月24日、屋久島町役場)

 屋久島町議会の日高好作町議が議長だった2016年に東京へ出張した際に、虚偽の領収書で航空運賃を受け取った問題をめぐり、日高町議が東京での公務を終えた後、私的な旅行で石川県を訪ねていたことが町監査委員への取材でわかった。公務出張中に私的な旅行をする許可を得た記録はなく、屋久島と東京を往復したとする虚偽の旅程を精算書に記載したことになる。

 町が開示した出張記録によると、日高町議は議長を務めていた2016529日~61日、全国町村議会議長会の研修会に出席するため、東京へ出張した。移動はすべて空路で、鹿児島空港を経由して屋久島空港と東京・羽田空港を往復。出張後、往復の航空券代として、計48180円となる領収書2枚を添付し、宿泊費や日当なども含めた計97900円の旅費を精算した。
旅費精算書
日高好作議長(当時)が屋久島町に提出した旅費精算書。5月31日に東京~鹿児島空港、6月1日に鹿児島空港~屋久島空港へ移動したと記載されているが、実際には家族旅行で石川県に行っていた

東京での研修後、石川県へ家族旅行

 ところが、日高町議が旅費精算書に記載した内容は、実際の旅程とは違っていた。

 監査委員によると、日高町議は531日に研修を終えた後、屋久島へは直接帰らずに、家族と一緒に私的な旅行で石川県を訪ねていた。町の監査で領収書に記載された航空運賃を旅行会社で確認した際に、石川県への旅費をクーポン券で支払った記録が残されていたという。一方、屋久島と東京の往復航空券については、この旅行会社が領収書を発行したにもかかわらず、社内に販売記録が残されていなかった。
監査)聴き取り文書20220517-4
監査委員が日高好作町議から事情聴取をした記録文書の一部。航空運賃の照会をかけた旅行会社には、研修後に私的な旅行をした売上記録が残っており、「全旅クーポン」券で支払いをしていたという

出張中の私的旅行は許可が必要

 全国町村議会議長会のウェブサイトによると、2016年の研修会は530日~31日に開催(*1)。そして、その研修が終わった後に、日高町議は家族と一緒に石川県を訪ねた。しかし、日高町議の出張記録では、531日に東京から鹿児島市、61日に鹿児島市から屋久島へ、それぞれ空路で移動したことになっている。つまり、旅費精算書に虚偽の旅程が記載されていたということだ。

 町総務課によると、公務出張中に「私事旅行」をする場合は、事前に所属長の許可を取ったうえで、旅程などを出張命令簿や旅費精算書に明記することが、出張に関する「依命通達」で定められている。日高町議が出張した2016年当時、この通達は出されていなかったが、ルール上は概ね同様の運用をしていたという。

日高町議は説明拒否を貫く

 公務出張中に許可なく私的な旅行をしたことについて、屋久島ポストは日高町議に電話とメールで取材を依頼したが、526日午後1時までに返信はない。また、旅費精算書に添付された虚偽の領収書についても、発行の経緯などの説明を求めているが、日高町議は取材を拒否し続けている。

領収書メイン

日高好作議長(当時)が旅費精算書に添付した2枚の領収書。航空券代として、計4万8180円の金額が記載されているが、領収書を発行した旅行会社には販売記録が残されていなかった

副町長と会計課長も私的旅行

 町幹部らの出張旅費不正をめぐっては、これまでに岩川浩一副町長(当時)と桑原幸夫会計課長()が許可を得ることなく、公務出張中に私的な旅行をしていたことがわかっている。

 岩川氏は2017年に名古屋へ出張した際に、親族に会うために東京を訪問。旅費精算した金額に私的な旅費が含まれていたとして、53100円を町に返還した。桑原氏は2016年に大阪へ出張した際に、私的な用事で長崎を訪問し、実際より15800円高い航空運賃を受け取っていた。


*1)全国町村議会議長会ウェブサイト(2022年5月26日取得)

https://www.nactva.gr.jp/php/topics/detail/636

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