領収書なくても精算OK【旅費不正の構図】(5) 屋久島町出張旅費不正問題

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領収書ない精算書、定期監査を通過

代表監査委員、「人間なのでチェック漏れはある」

 (この連載は随時掲載します)

 鹿児島県屋久島町の幹部らによる一連の出張旅費不正問題をめぐり、今月から始まった監査に合わせて、その実態を解明する連載「旅費不正の構図」。5回目は、航空運賃の領収書を添付しないまま、旅費精算をしたケースです。2回に分けて紹介します。
代表監査委員
2021年3月10日の屋久島町議会で、出張旅費不正問題の監査について答弁する朝倉富美雄・代表監査委員(中央)

構図:領収書を添付せず精算

 屋久島町では航空機を利用して出張した場合、航空運賃の領収書を添付することが義務付けられている。それにもかかわらず、領収書を添付しないで精算した事例が、2014年度~2019年度の間に少なくとも19件あったことが、これまでの「屋久島ポスト」の取材でわかっている。

 町が開示した全職員の出張記録を調べると、領収書がないケースは大きく二つに分けられる。一つは、旅費精算書に航空運賃の金額を記載しているのに領収書がないもの。もう一つは、町以外から航空運賃を支給され、旅費精算書に「別途支給」とだけ記載したもの。いずれも、どこで航空券を購入し、いくら支払ったのかを示す証拠が添付されていない。

 出張旅費の精算書は、町監査委員による定期監査でチェックされている。それにもかかわらず、これらの精算書は監査委員の目をすり抜け、なぜ「問題なし」とされたのか。定期監査が適切に機能していない可能性もある。
フェリー視察1
財産管理課(現・政策推進課財産管理係)の職員4人が出張旅費の精算で提出した明細書。航空運賃が7万980円となっているが、領収書が添付されていなかった


事例:航空運賃を記載した精算書に領収書がないケース

 今回の記事では、航空機を利用して出張し、精算書に航空運賃を記載したにもかかわらず、航空運賃の領収書を添付しなかった主な事例を紹介する。

 町営船「フェリー太陽」の運航を担当する財産管理課(現・政策推進課財産管理係)の職員4人は2016323日~25日、静岡県下田市と横浜市に出張した。目的は、フェリー太陽に替わる新造船に関する情報を集めるため、下田と新島や式根島などを結ぶ「フェリーあぜりあ」(神新汽船)を視察し、独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」と新造船について打ち合わせをすることだった。

 町が開示した出張記録によると、4人は同年323日に屋久島空港から空路と陸路で下田市に到着し、同市に宿泊。フェリーの視察を終えた後、324日に横浜市へ移動して同機構を訪問。横浜で宿泊した後、325日に陸路と空路で屋久島空港に帰った。

 その出張記録をもとに、4人は330日までに出張旅費を精算し、航空運賃や宿泊費などの総額124300円の旅費を確定させた。

 ところが、4人は旅費の精算書に航空運賃の領収書を添付していなかった。

 「旅費支給明細」には、詳細な旅程が示されておらず、どこの空港を経由したのかが不明なまま、航空運賃として7980円とだけ記載。領収書がないため、4人がどこの旅行会社で、どのような航空券を購入したのかもわからない。
町村長大会1

総務課の職員が出張旅費の精算で提出した明細書。航空運賃が6万9780円となっているが、領収書が添付されていなかった

 もう一つ、領収書がない事例をみてみよう。

 総務課に所属するある一般職員は20151117日~20日、東京と鹿児島市に出張した。目的は、全国町村長大会と合併市町の行財政運営にかかる意見公開会に出席するためだった。

 町が開示した出張記録によると、総務課の職員は1117日に屋久島空港から鹿児島空港を経由して東京・羽田空港に到着し、東京に宿泊。同大会に出席した後、1118日に羽田空港から鹿児島空港を経由して、鹿児島市に到着した。意見交換会に出席するため、同市内で2泊した後、1120日に鹿児島市から高速船で屋久島に帰った。

 その出張記録をもとに、職員は1125日に出張旅費を精算し、航空運賃や宿泊費などの総額124830円の旅費を確定させた。

 ところが、その職員は旅費の精算書に航空運賃の領収書を添付していなかった。

「旅費支給明細」には、航空運賃として69780円と明記したうえで、東京の出張については「郡町村会事務局より支出(100,330)」と記載。だが、職員がどこの旅行会社で、どのような航空券を購入したのかは不明となっている。
奄美

町福祉事務所(現・福祉支援課)の職員が出張旅費の精算で提出した明細書。航空運賃が2万5000円となっているが、領収書が添付されていなかった

 そのほか、20151月に奄美市に出張した町福祉事務所(現・福祉支援課)の職員や、同月に指宿市などに出張した商工観光課(現・観光まちづくり課)の職員らも航空機を利用して出張したが、航空運賃の領収書を添付しなかった。
指宿
商工観光課(現・観光まちづくり課)の職員が出張旅費の精算で提出した明細書。航空運賃が1万5200円となっているが、領収書が添付されていなかった

対応:住民監査請求で指摘されても監査せず

 一般職員が航空運賃の領収書を添付せずに旅費精算していた問題は、旅費不正に関する住民監査請求が20213月に申し立てられた際に指摘された。監査を請求した住民側が領収書の添付がない複数の精算書を町監査委員に渡し、具体的な事例を示していた。

 それに対し、町監査委員は請求を却下し、自主的に監査する姿勢もみせなかった。
住民監査請求
2021年3月10日、出張旅費不正問題について住民監査請求を受けた
朝倉富美雄・代表監査委員(中央)。右は議会選出の寺田猛・監査委員(当時)

現状:代表監査委員、監査不備の指摘に「完璧を求められても」

 一連の出張旅費不正をめぐる監査については、代表監査委員の朝倉富美雄氏がたびたび町議会に出席して、監査委員としての見解を述べている。そのなかで、20213月の町議会一般質問では、領収書のない精算書などを定期監査で見落とした点を指摘され、次のように答弁した。

「限られた時間と人数で、すべて完璧に漏れなくチェックするのが理想だが、やはり監査委員も人間なので、チェック漏れがあったり、気づかなかったりすることはあり得る。それを完璧に求めるとことは、どうかな、と考える」

 そして、同年4月に荒木耕治町長が退職者を含むすべての職員と町議を対象にした監査を請求。だが、約半年にわたって監査はなされずに放置され、この12月から本格的な監査が始まったばかりだ。

【メモ】

 屋久島町の荒木耕治町長ら町幹部をめぐる出張旅費不正問題は2019年12月の町議会で発覚した。その後、一連の不正は岩川浩一副町長(当時)や岩川俊広議長(同)ら町役場と町議会の幹部4人に広がる刑事事件に発展。さらに、一般職員にまで不正が及んでいることが判明し、被害の総額は少なくとも約230万円になった。荒木町長は、一部の町議らが求める第三者委員会の調査は拒む一方、今年4月に町監査委員に対し監査を要請し、今月から本格的な監査が始まった。対象は2014年度~2019年度に航空機を利用して出張した退職者を含むすべての職員と町議で、その数は120人ほどの見込み。監査委員は今年度末の2022年3月の監査終了をめざしている。


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