【視点】過去最低の投票率に沈んだ屋久島町議選

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投票率74.18%、有権者の関心薄れ 初めて80%台を割り込む

 屋久島町議選が9月21日に終わったが、その投票率の低さに驚かされた。

<74.18%>

 旧上屋久町と旧屋久町の合併後にあった町議選では、新型コロナウイルスの感染が拡大していた2020年5月の補欠選挙を除いて、最も低い数字である。

・2009/09/20    88.91%

・2011/10/30(補欠) 86.42%

・2013/09/22    83.54%

・2017/09/17    82.62%

・2020/05/10(補欠) 69.43%

・2021/09/19    81.76%

・2023/10/29(補欠) 81.22%

・2025/09/21       74.18%

 定期選挙の投票率だけをみると、今回は初めて80%台を割り込み、前回の2021年からは7.58ポイント下回った。最も高かった2009年と比べると、実に14.73ポイントも下がっており、この16年で町議選に対する町民の関心が薄れていることがわかる。

屋久島町議選の当選証書附与式が終わったのちに記念撮影する14人の新町議たち=2025年9月22日、屋久島町役場・議会棟、屋久島ポスト撮影

失われた663票があれば……
 それでは今回の町議選で、どれほどの有権者が投票に行かなかったのか。

・有権者数 9419人

・投票者数 6987人

・棄権者数 2432人

 もし投票率が100%であれば、さらに2432人が投票していたことになるが、それは現実的ではない。そこで、今回の投票率が2021年と同じ81.22%だったとすると、次のような数字が浮かび上がってくる。

・有権者数9419人×81.22%=7650人

・有権者数9419人×74.18%=6987人

・7650人-6987人=663人

 もし前回と同じ投票率であれば、さらに663人が投票していたことになる。

 投票箱に入ることがなかった663票は、決して小さくない数字だ。今回、最も多い得票数は石田尾茂樹氏の618票だったので、優に1人をトップ当選させられる票が失われたことになる。さらに候補者16人で頭割りすれば、1人あたり41票ほどになるので、各候補の当落や当選順を大きく左右する票の数である。

屋久島町選挙管理委員会の委員長(左)から当選証書を受け取る石田尾茂樹氏(中央)=2025年9月22日、屋久島町役場・議会棟、屋久島ポスト撮影

新たな4年で町民の期待を集められるか?
 なぜ今回、これほど多くの有権者が投票に行かなかったのか?

 推察にはなるが、議員定数14に対して、立候補したのが現職12人と新人4人の計16人だったので、「自分が投票しても、これまでの議会と何も変わらない」と思った人が多かったのか。それとも、単に屋久島町政に関心のない有権者が増えただけなのか。

 いずれにしても、町長選を含めた定期選挙で投票率が80%を割り込んだのは、今回が初めてである。そして一つ、はっきりと言えるのは、屋久島町議会に期待して、関心を寄せる有権者が大きく減っているということだ。

 要するに、「誰が町議になっても同じ」ということである。

 10月1日には臨時議会が開かれ、今回当選した14人が新たな一歩を踏み出すことになる。多くの町民から関心を寄せられる町議会になるためには、どうすればいいのか。

 これから始まる4年の任期に期待をしつつ、しっかりと各町議の言動を見守っていきたい。

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