マンション不法侵入

「奥さんの下着を見て嬉しい」マンション管理人、民事裁判が結審/鹿児島ポスト

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マスターキーで下着物色された女性が提訴、裁判所は解決金150万円の和解案 → 元管理人、事件報道で「女性の精神的損害は相当に回復」と反論

鹿児島地裁、10月3日に判決

【左】住居侵入及び窃盗未遂事件として発表した鹿児島県警のウェブサイト(2024年6月2日、被害者撮影)【右】マンションの管理人が持ち歩いていたマスターキー。写真下の「2015 New Master」と記載された鍵を使って被害者の部屋に侵入した(被害者に開示された事件記録より ※鍵の形状を伏せるために一部でモザイク加工をしています)

 鹿児島市内のマンションで2024年6月、管理人の男がマスターキーを使って入居者の留守宅に侵入し、その部屋で暮らす女性の下着を物色したとして、住居侵入で有罪となった事件――。

 この不法侵入事件を受けて、被害女性が管理会社と元管理人を相手取り、慰謝料など約250万円の損害賠償を求めた民事訴訟は8月8日、第5回口頭弁論が鹿児島地裁で開かれ、すべての審理を終えて結審した。

 これまで同地裁は、被告らが連帯して解決金150万円を支払う和解案を示していたが、元管理人が過去の判例に比べて高額であるなどと反論。これに対し、被害女性は「二度と同じ事件が起きないようにするために、不動産業界の教訓となるような判決を望みたい」と訴えていた。

 判決は10月3日に言い渡される。

マンション不法侵入をめぐる損害賠償請求訴訟が審理されている鹿児島地方裁判所=鹿児島市山下町

100世帯に入れるマスターキーで不法侵入し逮捕
 被告として損害賠償を求められているのは、マンションを管理する不動産会社「ロンフレ」(本社・宮崎県小林市)と、同社が雇用していた60代の元管理人。

 訴状などによると、元管理人は2024年6月1日、約100世帯が入居するマンションの全室に入れるマスターキーを使って、留守中の女性宅に侵入。部屋で女性の下着を物色していたところ、帰宅した女性とその夫に見つかり、鹿児島県警に住居侵入などの容疑で逮捕された。その後、夫妻は別のマンションに転居したが、管理会社からは謝罪や補償は何もなかった。

元管理人の個人情報を理由に事件を報告せず
 また、元管理人が同年8月に懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けたのち、女性の知人で同じマンションの元住民が、管理会社に「私の友人が事件に巻き込まれたことを、マンションの住民に報告する責任があるのではないか」と指摘。それに対し、管理会社は「(元管理人の)個人情報を守る必要があるので、住民に知らせることはできない」と伝えた。

被害女性「二度と同様の事件が起きないために」提訴
 それらの状況を踏まえ女性は、管理会社から謝罪や補償がないうえ、事件の報告や再発防止策についての説明がマンションの住民になされていないことから、会社側が管理責任を果たしていないと主張。女性と夫が負った精神的かつ経済的な損害を回復し、二度と同様の事件が起きないようにするために損賠賠償請求訴訟を提起した、としていた。

管理人の男が女性の下着を物色した押入れを調べる鹿児島県警の捜査員(2024年6月1日、被害者撮影)

元管理人、事件報道で「厳しい社会的制裁を受けた」
 この訴えを踏まえ、同地裁は4月22日の第2回口頭弁論で、被告らが連帯して解決金150万円を支払う和解案を示した。

 だが、元管理人は過去の判例などに比べて慰謝料が高額であるなどと反論した。さらに、弁護士ドットコムニュースが6月28日付で、<「奥さんの下着を見て、とても嬉しい気持ち」マスターキー悪用の管理人と沈黙する会社、被害女性が”ひとり”で挑んだ理由>と題する記事を配信し、ヤフーニュースなどを通じて全国に報道。この記事によって元管理人は、自身が「社会的にも厳しい制裁」を受けたほか、被害女性の「精神的損害は相当に回復」していると主張した。

被害女性、一連の反論で「深い心の傷に苦しむ2次被害」
 この元管理人の主張に対し、被害女性は8月8日の第5回口頭弁論で、「原告らの精神的損害を回復する責任を負っているのは被告らであり、報道によって損害が回復することはない」と反論。さらに、元管理人による一連の反論は、今回の事件が「軽微な犯罪」であるかのような主張であり、これによって被害女性は「2次被害を受けて、深い心の傷に苦しんでいる」と訴えた

■弁護士ドットコムニュース記事https://www.bengo4.com/c_1009/n_19001/


■弁護士ドットコムニュース記事/ヤフーニュースhttps://news.yahoo.co.jp/articles/f63616822cd3376c55c353574ad855f08b791cc6?page=1

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