【取材後記】町長は「誰がなっても一緒」ではない 屋久島町長選2023

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町民の暮らし大きく変える町長の絶大な裁量権
取材後記②
 現町政の継続か? 刷新か?――。屋久島町長選の展望を特集したKTS鹿児島テレビのニュースで、町内の有権者が言った言葉が忘れられない。自分たちの町のトップに何を望むのかと問われ、こう答えたのだ。

「誰がなっても一緒じゃないですか」

 大半の議員が町長の言いなりで、何も町政に物を言わない屋久島町議会の選挙なら、そう言いたくなるだろう。実際、一部の議員を除いて、誰がなっても同じである。なぜなら、すべてのことにおいて町議会が賛成して、町長の言ったとおりに物事が進むからだ。

 でも、町長はそうではない。年間で100億円以上の一般会計予算を何にどう使うのかを決めて、町民12000人の暮らしを左右する力を持っている。何をするにも町長の裁量権はとても大きく、法令に違反しない限り、何でも自由に提案できる。そして、屋久島町の場合は、町長が言ったことに議会が反対することはないので、何をやっても町長の思いのままになるのである。

全国で取り残された光ファイバー整備

 町長選の投票日なので、あまり多くは言わないが、例えば光ファイバー通信網の整備。現職は自身の実績として自負しているが、実際は一部の町議たちから「早期に整備すべきだ」と町議会でせっつかれた末に、やっと町長が重い腰を上げて整備した経緯がある。

 当時、現職は「予算には優先順位がある」などと渋っていたが、気がついたら全国の大半の自治体に光ファイバーが整備されて、屋久島町は最後の最後で取り残されていた。そのため、我が家では子どもがオンライン英会話で学びたがっていたが、古いADSL回線では通信がすぐに途切れてしまい、最初から断念。そのほかのインターネット教材も動作が遅く、とても苦労して勉強していた。

 つまり、離島であればあるほど、いち早く光ファイバーを整備すべきだったが、その判断が誤っていたということである。そして、それより「優先順位が上」として、観光客と町民が交流するイベント施設まである新庁舎に24億円もの予算を投じたのだが、いつ町役場を訪ねても、ついぞ観光客に出会ったためしはない。

現町政の継続か? 刷新か?

 まだまだあるが、今回はここまでにしたうえで、大きな声で言いたい。

 誰が町長になるのかで、私たちの町民の暮らしは、この上なく大きく変わると。

 屋久島町政の全権を握る町長選の投票は本日1029日午後6時まで。そして、深夜には現町政の「継続か?」それとも「刷新か?」の結果が判明する。

■KTS鹿児島テレビ ニュース特集

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