取材後記

【取材後記】荒木町長は「知識があり分別のある利口者」ですか?

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移住者らを「歴史を知らないよそ者」「バカで分別のないバカ者」呼ばわり

2023年度屋久島町施政方針

取材後記)荒木耕治町長

2023年度の施政方針演説をする荒木耕治町長(2023年3月7日、屋久島町議会)

 屋久島への移住者ら島外の人たちに対して、荒木耕治町長が「よそ者」「バカ者」と蔑む表現をした。それも2023年度に向けた施政方針演説で、町民の代表である全議員を前に発言したとなれば、「悪気はなかった」では済まされない話である。

町長の「暴走」を止める指南役の不在

 ところで、こんな乱暴な表現を誰が演説に入れたのか。

 荒木町長が自ら選んだとすれば、原稿の段階で町幹部や職員が別の表現にするように助言するべきだった。一方、副町長ら側近がスピーチライターであれば、それを鵜呑みにした荒木町長は救いようがない。

 いずれにしても、荒木町長の周りにはトップの「暴走」を止める指南役が誰もいないのだろう。

 直近では交際費の問題もそうだ。特定の国会議員らに1回の贈答で高級焼酎を10万円分も贈っていたのに、副町長も総務課長も誰も止めることなく、荒木町長に言われるまま、町民の公金を無駄遣いしていた。

企業変革の旗手として評価された「よそ者」「バカ者」

 それでは、なぜ荒木町長は移住者らを「よそ者」や「バカ者」呼ばわりしたのか。

 演説では言わなかったが、町のウェブサイトに掲載された「令和5年度屋久島町施政方針」には「真壁昭夫氏著書より」と書かれている。

 そして、その真壁氏の著書をネットで検索すると、「若者、バカ者、よそ者―イノベーションは彼らから始まる!(PHP研究所)があった。エコノミストである真壁氏が日本企業の再生をテーマに著した本で、旧体質の組織を変革する人材について、次のように説明しているという。

「いままでのシステムなどに強いしがらみを持たず、強力なエネルギーを持つ“若者”であり、旧来の価値観の枠組からはみ出た“バカ者”であり、さらには、組織の外にいて、従来の仕組みを批判的に見ることができる“よそ者”である」

 なるほど。真壁氏は企業変革の旗手として、あえて「よそ者」や「バカ者」という表現を使って、高く評価しているのだ。

著作
「若者、バカ者、よそ者―イノベーションは彼らから始まる!」(PHP研究所)の表紙

町長、地域活性化で「よそ者」「バカ者」を否定

 一方、荒木町長の施政方針はどうか。

 まず「地域活性化のためには、若者・よそ者・バカ者が必要であるといわれてまいりました(真壁昭夫氏著書より)」としているが、真壁氏が論じているのは企業の変革であり、地域社会の活性化ではない。

 そして、そんな誤解をしたまま、荒木町長はこう言って、地域活性化の旗手は「若者・よそ者・バカ者」ではないと主張する。

「経験のない若者、歴史を知らないよそ者バカで分別のないバカ者を受け入れる、経験のある熟年者、地域歴史を知っている地者、知識があり分別のある利口者が互いに認め合い、協調しあってこそ持続可能な地域活性化が可能となります」

 つまり、歴史と分別を知らない「よそ者」や「バカ者」は、経験と知識と分別のある古老ら旧住民に従ったうえで、一緒に協調して暮らすべきだということだ。

企業と地域社会を混同する大間違い

 だが、これでは「よそ者」と「バカ者」の長所は否定され、真壁氏が訴える変革はできないことになる。

 さらに、そもそもだが、企業と地域社会を一緒くたにして、真壁氏の著書から「よそ者」「バカ者」という言葉を引用したことが大きな間違いだった。企業は仕事場として個々人が選択するが、地域社会は多種多様な人が暮らす日常生活の場であり、同列に論じることはできない。

 移住者ら島外の人たちを「歴史を知らないよそ者」「バカで分別のないバカ者」と断じるのであれば、屋久島生まれの熟年者で、多くの移住者を受け入れる荒木町長に尋ねてみたい。

 あなたは「知識があり分別のある利口者」ですか?

【動画】2023年度の施政方針演説をする荒木耕治町長(2023年3月7日、屋久島町議会、同町議会YouTubeチャンネルより)


■2023年度 屋久島町施政方針の全文

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  1. 哀れ

    こんな無謀な言葉を、躊躇無く堂々と発する姿に、
    鳥肌がたち寒気がします。
    ある意味哀れを感じます。

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