取材後記

【取材後記】公務災害 認定から2カ月 黙り続ける町長 屋久島町営牧場 過重労働死問題

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認定理由「業務命令権者として主体的に労務管理をしていない」 荒木町長、お悔やみの言葉もなく沈黙

連続勤務50日、休日は半年で5日・・・の過酷労働

取材後記20230410②
 

  屋久島町営の長峰牧場で男性職員(当時49)が公務中に死亡し、過重労働による公務災害と認定されてから間もなく2カ月になるが、雇用主である荒木耕治町長はお悔やみの言葉を述べることもなく、町議会などでずっと黙り続けている。

  公務災害を認めた地方公務員災害補償基金が214日付で出した通知書などの文書を読むと、そこには雇用主である町側の管理責任が問われる内容の記述が複数ある。そのなかでも、次の一文は町の杜撰な労務管理の実態にについて、とても明確に指摘している。

「時間外勤務を含めた業務配分を現場の職員に任せ、そもそも業務命令権者として主体的に勤務時間を管理する体制になっていなかった」

 つまり、町は自身の責任で行うべき労務管理を怠り、その結果として、職員が亡くなったということである。町の主張は別にして、公的機関である同基金が公務災害の認定でそう判断した以上は、町にも一定の責任があるということだ。

町に「安全配慮義務」違反の可能性

 一般論で言うと、雇用主には労働者が安全に働ける対策を講じる責任があり、これを「安全配慮義務」という。民間企業の場合であれば、この義務規定は労働契約法で定められているのだが、公務員については、この法律は適用されないことになっている。

 そうなると、今回の公務災害で町の責任が問われないのかといえば、そうではない。民法では「お互いに相手の信頼を裏切らないよう行動すべき」とする「信義誠実の原則」(信義則)が定められており、それに基づいて、国や地方自治体も安全配慮義務の責任を負うと考えられている。

町に一定の法的責任

 亡くなった職員は、極めて過酷な労働環境に置かれていた。

 死亡する3日前までの労働が連続で約50日間。発症前1カ月間の時間外勤務は約81時間。休暇の取得状況として記録された休日数は、亡くなるまでの半年間でわずか5日のみ・・・・・・。

 これらの事実を踏まえて、今回の公務災害が認定されている。そうであれば、長峰牧場で職員が亡くなったことに対し、町に一定の法的責任があることは明らかである。

 それにもかかわらず、荒木町長はじっと沈黙を続けている。屋久島町民の生命や暮らしを守る立場の首長として、そんな態度が許されるはずはない。

■屋久島町営牧場 過重労働死問題 記事一覧

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  1. 役立たずの組合

    町にも労働組合はある筈である。
    組合費だけを徴収して役立たずであれば、御用組合より始末が悪い。
    それ程、物言え無い怖い組織なのか?屋久島町は、、、、、
    組合長は誰か知らないが、「しっかりせー」と発ぱを掛けたい。

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