取材後記

【取材後記】二枚舌で議論する若手町議たち/編集委員会

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中馬、緒方、岩川卓誉の各町議、「自由な取材」から一転「マスコミだけに取材許可」の自己矛盾

取材後記

 ネット辞書で「二枚舌」を検索すると、次のような説明が出てきます。

「矛盾したことをいうこと。一つのことを二様にいうこと。うそをいうこと」

 それを踏まえ、フリージャーナリストや独立メディアなどの議会取材の可否を議論する屋久島町議会・議会運営委員会の議事録を読むと、その二枚舌を地で行く議論が続いていることがわかります。それも若手と呼ばれる町議たちの間で。

 それでは、少し長い引用になりますが、221日と524日にあった議運の議事録を読み比べてみましょう。

●中馬慎一郎委員

「全国的にネット配信等が始まっている中で、傍聴者の撮影を、どこまで禁止することができるかっていうのが、だんだん整合性がとれなくなってきている」
(221)

「全国的に報道と一般の関係をなくす風潮はあるが、まだ、そんなに多くはない」「携帯電話の音で妨げてほしくないという気持ちがある。(取材を許可する)日本新聞協会などの加盟社は一定のモラルがある」(524)

緒方健太委員

「ユーチューブ配信することによって、こういった(撮影と録音を禁止する)ことは、もう規則の中で縛っていくのも、だいぶ無理があると思う」(221)

「傍聴席で携帯電話が鳴り出したり、失笑したり、こそこそ話が出たりというのが大いにある。屋久島町の最高機関として、規律をつくりながら段階的に方向性を決めていくべきだ」(524)

●岩川卓誉委員

「一方で動画配信をやっているのに、一方で写真は撮れないというのは整合性がないと思う」(221)

「この(取材許可の)基準が『(1)日本新聞協会会員社、日本民間放送連盟加盟社及び専門新聞協会加盟社に属する者』となっているが、今の『議長が認める者』よりも範囲が狭まるので、開かれた議会からは逆行する。(1)はこれでいいので、(2)として『議長が認める者』を加えたい」(524)

 この3人の発言を並べると、二枚舌で議論していることがよくわかります。2月には、自由に撮影や録音を認める方向で議論していたのに、5月になったら主張を一転させて、日本新聞協会などに加盟するマスコミだけに取材を許可する案に賛成。辞書にある「一つのことを二様にいうこと」という説明がぴったりと当てはまります。

政治家は言葉が命

 一方、ほかの町議の主張は一貫しています。

 榎光徳委員と大角利成委員は「撮影や録音の自由」に否定的。真辺真紀委員は「撮影と録音の許可で、報道と一般を区別する必要はない」と主張。個人的な賛否は別にして、町議会議員を選んだ町民としては、この3人の発言は信用することができます。

 政治家は言葉が命です。若手町議3人については、ここまで自己矛盾する議論をしているようでは、その発言内容だけでなく、一議員としても信用することはできません。

 議事録はうそをつきません。今後、この3人がどのような議論をするのか、しっかり注視したいと思います。

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