取材後記

【取材後記】職員や業者の聴取記録 町議会で公表を 補助金不正・住民訴訟

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被告町、勝訴にこだわり 不正事案の解明に協力せず

原告住民に有利な証拠は「自らの責任で提出を」と主張

取材後記20230108①
【左上】鹿児島地裁の法廷(裁判所ウェブサイトより)【左下】屋久島町が国に提出した虚偽の検査調書【右】屋久島町の荒木耕治町長

 屋久島町が水道工事で補助金を申請する際に虚偽の「工事完成日」などを報告し、国から約1668万円の返還命令を受けた町幹部の責任を問う住民訴訟――。昨年8月の提訴から3回の口頭弁論を経て28日に結審したが、被告の町側が提出した答弁書や準備書面のなかで、強く記憶に残った記述がある。工事に関わった職員や業者への事情聴取の記録について、原告の住民が証拠提出を求めたことに対し、町側が提出しないとした主張の一つだ。


「自己に有利な証拠の提出は自らの手で、自らの責任でなされるべき」

 ここで言う「自己」とは、原告の住民のことだ。そして、住民が「不正事案を詳細に解明するため」として提出を求めたことに対し、さらに次の主張をしている。

「事案の解明というよりは情報の開示により原告に有利な事実、証拠が出てくるかもしれないとの期待、推測の下に行っているものと考えられる」

 つまり、職員や業者への聴取記録を提出すると、被告の町側が不利になる可能性があるということだ。そして、原告の住民が有利になる証拠は、住民が自力で提出することが、裁判におけるルールというのである。

虚偽報告で12000万円を受領

 税金で運営されている屋久島町が国に虚偽報告をして、約12000万円もの補助金を受け取った問題である。その不正事案を解明するためには、職員や業者への聴取記録は必要不可欠であり、町が懐に抱え込んで隠すことは、裁判上のルールでは認められても、納税者が暮らす一般社会のなかでは許されることではない。

町に法的責任は一切ないのか?

 これまで町は、補助金返還となった法的責任は「工事遅延を招いた業者側にある」と主張し、虚偽報告に関わった町職員の処分は一切していない。それに対し、住民は法的責任は業者側にではなく、監督責任を怠った荒木町長ら町幹部にあると主張している。だが、その責任の所在を問う住民訴訟で、重要なカギとなる職員や業者への聴取記録が証拠提出されることはなかった。

虚偽報告の真相は闇のなか

 これでは判決が出ても、虚偽報告に至った真相は闇のなかである。町側は訴訟の勝敗だけにこだわり、職員や業者の聴取記録を証拠提出しなかったが、それが許されたのは法廷だからだ。今後、住民の代表が集う町議会で公表を求められることは必至だが、そのときも、荒木町長はこう主張するのだろうか。

「住民や業者に有利な証拠の提出は自らの手で、自らの責任でなされるべき」

 当然だが、そんな言い訳が町議会で通用するはずはない。

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