【取材後記】「迷惑者」は高額贈答した荒木町長 屋久島町長交際費・住民訴訟
国会議員への贈答中断 理由は公費での高額贈答 ➡
なのに「屋久島ポストが電話取材で迷惑」と責任転嫁
「屋久島ポストによる電話取材などで国会議員に迷惑をかけている」と主張する屋久島町の岩川茂隆・総務課長の陳述書の一部
逃げ口上もここまで極めると、「責任転嫁」は屋久島町役場のお家芸といえるだろう。
4月にあった町長交際費をめぐる住民訴訟の口頭弁論で、これまで定期的に続けてきた国会議員への贈答を中断した理由を問われた町は、屋久島ポストが繰り返し電話取材をして、相手方に迷惑をかけることを心配して中止したと主張した。ご丁寧にも、総務課の岩川茂隆課長が署名捺印をした陳述書の証拠までつけており、まるで町役場が「被害者」のようである。
丁寧に取材しても「迷惑者」
誰もが裁判記録を見られる公開の裁判で、屋久島ポストが「迷惑者」呼ばわりされた格好だが、実は屋久島ポストから取材で国会議員側に電話をしたことは一度もない。
その一方で、国会議員の事務所に取材でメールを送ったことはある。屋久島町民の公金を使い、1件で数万円から10万円分の高額な贈答が国会議員に続けられたことを取材で知り、各議員の事務所に贈答に対する認識などを尋ねるためだ。メールの末尾には、「ご多忙のなか、お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます」と書いて、丁寧に取材への協力を求めた。そして、多忙な議員秘書の迷惑になってはいけないと、回答を催促する電話もしかなった。
森山事務所、公費での高額贈答に困惑の様子
だが、さすがに公人中の公人である国会議員の事務所である。町民の公金で贈答を受けていたことを知った森山裕衆院議員(鹿児島4区)の事務所からはすぐに返信があり、「贈答品は個人からの贈り物だとの認識だった」との説明があった。さらには、「今後は『町民の大事な公金』での贈答品については、常識の範囲内での贈答につとめていただきたい」と、町に対する要望まで書き添えられていた。
そのメールの文面からは、「まさか荒木町長が公費で贈答していたとは・・・・・・」という森山事務所の困惑が読み取れた。今後は「常識の範囲内での贈答」にしてほしいということは、荒木町長の私費ならいざ知らず、公金で送るには「非常識な贈答」だと判断したのだろう。
取材より高額贈答こそが問題
さて、このような経緯で取材したにもかかわらず、なぜ屋久島ポストが「迷惑者」だと言われなくてはならないのか、まったく意味がわからない。
国会議員側に取材が入ったことで迷惑をかけたというのなら、屋久島町役場はその取材が入った原因こそを問題にすべきだ。つまり、荒木町長が1件で数万円から10万円分もの高額贈答を続けていたために、屋久島ポストは国会議員側に取材をし、それに対して森山事務所が「(今後は)常識の範囲内での贈答」にしてほしいと町に要望したのである。
もし仮に、これが1件で数千円から1万円以下の支出で、一般的なお中元やお歳暮のような贈答であれば、そもそも取材する理由すらなくなるので、迷惑のかけようもない。
要するに、屋久島町民の公金を使い、1件で数万円から10万円分の高額な贈答を続けた荒木町長こそが、国会議員に大きな迷惑をかけているのである。
町長の「反省」はどこへ消えたのか?
そして、その荒木町長も当初は一連の贈答に対して「反省」を口にしていた。屋久島ポストが昨年7月に取材で町長室を訪ねた際に、荒木町長は「私の政治は情の部分が多かったかもしれないと反省している」と言って、これまでの交際費の使い方が不適切だったことを認めたうえで、今後は金額や頻度を改める方針を示していた。
ところが9月議会になると、その態度は一変した。高額な贈答について、一般質問で「予算の執行上、妥当な金額と思うか」と問われ、荒木町長は「妥当だと思っている」と即答。そして、高額贈答に支出した交際費の一部返還を求める住民訴訟が提起されると、被告の町は「社会通念上著しく妥当性を欠き裁量権の範囲を逸脱、濫用したとすることはできない」といった主張を頑なに続けている。
あの荒木町長の「反省」はどこへ消えてしまったのか。住民訴訟で町の指定代理人を務める河野通孝・法務事務専門員に指南を受けて、大船に乗ったつもりにでもなっているのだろうか。
事実無根の誹謗中傷 訂正または削除を
いずれにしても、屋久島ポストが繰り返し電話取材をして、国会議員側に迷惑がかかることを心配したとする町の主張は、完全なる事実無根である。さらには、屋久島ポストの取材行為を誹謗中傷するものであり、このような責任転嫁をこのまま見過ごすわけにはいかない。
そこで、まず町に求めるのは、屋久島ポストを「迷惑者」呼ばわりした主張の訂正または削除である。そして次に求めるのは、裁判所に対して「国会議員への贈答を中断したのは、公費で高額な贈答を続けていたことを、国会議員側から問題視されたからです」と正直に答えることだ。
裁判所でも嘘をつくようになっては、屋久島町の信頼は完全に失墜することになる。
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町長が議会等で即答するのが本音でしょう。
それが真実です。
法務相談員の入れ知恵で変遷する事に間違い有りません。
町の法務相談員の立場であれば、町民の為により良い行政を行うようアドバイスをすべきである。
歪めるようでは必要な人材ではなく、公費の無駄である。
反省を促したい。