【取材後記】荒木町長も疑問 「私自身が知りたい」不正領収書の発行経緯/編集委員会

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不十分な監査では旅費不正問題は終わらない

取材後記

 屋久島町役場の幹部らによる出張旅費不正問題を受けて、町監査委員の報告書が今年
3月末に荒木耕治町長に提出されました。いま、その報告書と過去の取材記録を照合する作業を続けていますが、次々と新たな不正が明らかになっています。

町の「金庫番」会計課長までもが不正精算

 そして最も驚いたのは、町役場の元会計課長までもが、虚偽の領収書を使って不正精算していたことです。会計課長というのは、地方自治法で定められた会計管理者を兼務していて、荒木町長が任命した、いわば町民のお金を管理する「金庫番」です。同法が改正された15年前までは、町長と助役に次ぐ役職の収入役にあたり、町を代表する三役でした。

荒木町長も疑問の監査結果

 そんな重責を担っていた元会計課長の不正精算なのですから、任命権者の荒木町長に話を聴かないわけにはいきません。そして、役場の町長室を訪問して、荒木町長に虚偽の領収書に対する受け止めを尋ねると、もっと驚く発言が飛び出しました。

「どうして、こういう領収書を出したのか、私自身が知りたい」

「常識的に考えたら、こんなことはあり得ないと思う」

 そうです。それが知りたいがために、不正が発覚してから2年以上、町議会で第三者委員会による調査を求める声がずっと出ているのです。そして、それを拒否し続けたのは、ほかの誰でもない荒木町長であり、どうして、今になって「私自身が知りたい」というのでしょう。

拒み続けた第三者による調査

 今回の監査は、遅きに失した感があります。この2年以上、荒木町長は第三者委員会による調査を拒み続け、町議会は不正を調査する百条委員会の設置案を3回も否決しました。さらに20214月には、町監査委員は住民監査請求を却下しています。そして、これだけ不正調査を拒み続けた末に、やっと荒木町長が要請したのが今回の監査ですが、それでも不正な領収書については、何も解明されませんでした。

現職町議も架空領収書で不正精算

 この元会計課長のケースだけでなく、現職町議が架空の領収書を使って不正精算をした事例も判明しており、一連の旅費不正問題の核心は、この不正な領収書です。これらの領収書が、どのような経緯で旅費精算に使われたのか。それが明らかにならない限り、屋久島町を騒がした出張旅費不正問題は解決することはありません。

起訴猶予の前副町長らも何も説明せず

 これまで、詐欺などの容疑で刑事事件になり、起訴猶予処分になった前副町長や元議長、元副議長も、自分たちが使った不正な領収書について、何も説明していません。事件になる前には「事務手続き上のミス」などと釈明していましたが、単なる事務的なミスであれば、「嫌疑なし」か「嫌疑不十分」になるのが一般的です。

 起訴猶予処分とは、自身が容疑の事実を認めて反省し、減給や辞任などの社会的制裁を受けるなどしたとして、検察官によって起訴を免除されたということです。

 つまり、すでに刑事的な処分が決まっているので、第三者委員会などで事情を聴かれても、これ以上に刑事訴追される恐れはないということです。そして、警察や検察の事情聴取で話したことを証言すれば、町監査委員が解明できなかった不正な領収書について、すべてが明らかになるでしょう。

不十分な監査結果に町議会の対応は?

 重ねてになりますが、この不正な領収書について、荒木町長は「どうして、こういう領収書を出したのか、私自身が知りたい」と言っています。さらに、「常識的に考えたら、こんなことはあり得ないと思う」とまで言っています。

 要するに、今回の監査は不十分だったと、荒木町長が自ら言っているのです。そして、この発言を踏まえれば、今後の選択肢は、次の二つでしょう。

 荒木町長が第三者委員会を設置するか、それとも、町議会が百条委員会で調査をするか。

 いずれも町民の代表である町議会が求めることなので、今後、各町議がどう動くのか、じっと注視したいと思います。

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