【取材後記】屋久島町議会は荒木町長の言いなりから脱却を/編集委員会
町役場の組織変更案を否決、次は補助金不正請求の責任を明確へ
ほんの少しですが、屋久島町議会が変わりつつあります。これまで荒木耕治町長の言いなりだった議会審議で、町長が提案した議案が否決されるようになったのです。
その舞台は3月23日にあった町議会3月定例会の本会議。提案されたのは、政策推進課を「企画広報課」にして、世界自然遺産・屋久島の情報発信力を強化するほか、生活環境課を「町民生活課」に改め、戸籍や年金、各種証明書などに加え、ゴミや配水などの環境衛生を担当するなどの案でした。
荒木町長の提案を僅差で否決
提案の背景には、町の水道工事をめぐる補助金不正請求事件があり、荒木町長は「報告、連絡、相談という基本ができていない風通しの悪い行政組織だった」と説明。内部統制ができる組織に改革するために、町役場の組織を変更する条例案を提出するとしました。
いつもであれば、賛成多数であっさり可決される場面でした。
ところが、今回は多くの町議から「予算措置や人員配置が示されておらず、時期尚早」「町職員の多くが反対している」などの意見が続出。賛否を問う採決では、反対8人、賛成7人の僅差ではありましたが、条例案は否決されてしまいました。
屋久島町役場の組織を変更する条例案の採決結果を表示するモニター画面(2022年3月23日、屋久島町議会、議会中継のモニター画面を撮影)
町議会、町長の言いなりが常態化
10年近く、屋久島町議会を取材してきましたが、荒木町長の提案が否決された場面を見たのは初めてです。最初は「本当なのか」と我が目を疑い、賛否の人数を表示するモニター画面に見入ってしまいました。ただ、議案の賛否を審議しているのですから、結果的に否決されるケースがあるのは当然であり、それほど、屋久島町議会が荒木町長の言いなりで議決していたということなのでしょう。
虚偽報告を7カ月放置した町長の責任
そして、そもそもですが、補助金不正請求事件の原因の一つとして、「風通しの悪い行政組織だった」という荒木町長の説明は、町長自身の責任を組織全体に転嫁するものです。問題が発覚した当初、荒木町長は「不可抗力だった」などと釈明していましたが、国に補助金を申請する際に虚偽の報告書を提出していたのですから、その事実を荒木町長が知った2021年4月時点で、すぐに国に報告する判断をするべきでした。
ところが、この問題が報道される2021年11月まで、実に7カ月間も報告せずに放置しており、その責任が荒木町長にあるのは明らかです。その間には、工事が終わっていないにもかかわらず、約2300万円の工事代金を前払いする事態も招きました。さらに前払いをする際、支出命令書の決裁をした荒木町長は、工事が終わったかどうか確認もせずに決裁印を押したというのですから、その責任は極めて重いと言えます。
第三者委員会で違法行為の検証を
今回の補助金不正請求事件には、違法行為の可能性が複数あります。うその報告書については、補助金適正化法の違反は認定ずみで、さらに刑法の「虚偽有印公文書作成・同行使」の疑い。工事代金の前払いについては、地方自治法の違反は明らかで、さらに刑法上の問題もあるかもしれません。
そんな重大な問題であるのに、荒木町長は専門家を交えた第三者委員会を設置することなく、身内だけの調査で早々に幕引きを図ろうとしています。町役場の組織を変更しても、補助金不正請求の原因がわかるはずもなく、そんな小手先の組織変更案でお茶を濁している場合ではありません。
今回の否決は、単に組織変更案に反対しただけでなく、屋久島町議会が荒木町長の責任を明確にするように迫った結果でもあります。よって、次回の町議会6月定例会では、補助金不正請求事件における荒木町長ら町幹部の責任を明らかにするために、第三者委員会の設置を要求することが必要不可欠です。
そして、荒木町長がその要求を拒むのであれば、地方議会の「伝家の宝刀」と言われる調査特別委員会の「百条委員会」を設置するしかありません。もし、このまま町議会が何もしなければ、その全責任は工事業者に押し付けられ、荒木町長の思うがままになってしまいます。
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