荒木町長が監査委員に苦言 「監査の責任を私に転嫁するな」 日高町議の「家族旅行」旅費不正受給問題
監査委員は「町長から問い合わせがない」と不問に…荒木町長「監査委員は逃げている」
これまで判明した多数の虚偽領収書や虚偽精算書を前に、取材で説明を受ける荒木耕治町長=中央奥(2022年6月2日、屋久島町役場)
屋久島町議会の日高好作町議(65)が家族旅行中に出張旅費を不正受給していたにもかかわらず、町監査委員が日高町議に聴き取り調査をしなかった問題をめぐり、荒木耕治町長は6月2日、屋久島ポストの取材に「新たな疑義があれば、監査委員が独自の判断で監査するべき」との見解を示した。日高町議の不正受給を不問にした理由について、監査委員は取材(*1)に「(監査を要請した)町長から問い合わせがなかったため」と説明。それに対し、荒木町長は「(監査の)責任を(私に)転嫁しているようなものだ」と述べ、監査委員に苦言を呈した。
家族旅行中なのに宿泊費や日当、でも再監査で不問に
屋久島町をめぐる一連の旅費不正に対する監査は荒木町長の要請で実施され、今年3月末に監査報告書が町に提出された。その後、日高町議が公務後の家族旅行中に宿泊費や日当、交通費を受け取っていたことが判明。虚偽領収書で航空運賃を受給していた問題も含め、5月31日に日高町議に対する再監査が実施された。だが、荒木町長から質問や問い合わせがないことを理由に、さらなる調査は実施しないとの判断になった。
「監査委員は独自の判断で監査を」
その再監査の結果を受けて、屋久島ポストの取材に応じた荒木町長は、「監査委員は独立した立場で監査をしているのだから、(監査の内容について)私がどうこう言うのはおかしい」と疑問を呈したうえで、「新たな疑義があれば、監査委員が独自の判断で監査するべきではないのか」との見解を示した。それに対し、屋久島ポストが「監査委員は町長から質問や問い合わせがなければ、さらなる調査はしないと言っている」と伝えると、荒木町長は語気を強めて、「それは向こうが(責任から)逃げている話だ。(監査の)責任を(私に)転嫁しているようなものだ」と述べた。

日高好作議長(当時)が町に提出した旅費精算書の一部。私的な家族旅行中なのにもかかわらず、宿泊費8000円、日当2200円、交通費2000円の計1万2200円を請求してた
虚偽領収書の発行経緯「知りたい」けれど、再監査は求めず
一方、不正精算に使われた多数の虚偽領収書の発行経緯に関して、監査委員が「監査の対象ではない」と判断した点について、荒木町長は「私も(発行の経緯を)知りたいと思うが、監査委員の判断で出した結果だと理解している」と述べ、これ以上の監査を求めることはないとの考えを示した。
監査委員に対して荒木町長が苦言を呈していることについて、屋久島ポストは監査委員事務局を通じて、代表監査委員の朝倉富美雄氏と町議会から監査委員に選出されている相良健一郎町議にコメントを求めが、2人とも「特にコメントはない」との回答だった。
日高好作議長(当時)が旅費精算書に添付した2枚の領収書。航空券代として、計4万8180円の金額が記載されているが、領収書を発行した旅行会社には販売記録が残されていなかった
かつて「常識的にあり得ない領収書」と言っていたが・・・・・・
虚偽領収書を使った不正精算をめぐっては、これまで岩川浩一副町長(当時)や岩川俊広議長(同)ら10人が、実際より高額の航空運賃が記載された領収書を同じ旅行会社から受け取っていたことが判明。そのなかには、3月末に出された監査報告で、新たに明らかになった日高町議や桑原幸夫会計課長(当時)の虚偽領収書も含まれている。
この監査報告を受けた取材(*2)で、荒木町長は「どうして、(旅行会社が)こういう領収書を出したのか、私自身が知りたい。常識的に考えたら、あり得ないことだ」として、虚偽領収書が発行された経緯などを監査委員に確認したいと述べていた。
*1) 取材日は2022年5月31日と6月1日
*2) 取材日は2022年4月28日
記事更新) 監査委員2人のコメントについて追加(2022年6月3日午後2時45分)

