過疎法の立法経緯「よくわからない」まま議会答弁【日高豊副町長インタビュー】(2) 屋久島町長交際費問題
贈答で国会議員と「信頼関係」を築き、過疎法の地方債で「町益」と答弁したのに…

交際費問題について議会答弁する屋久島町の日高豊副町長(中央)。手前右は荒木耕治町長(2022年9月13日、屋久島町議会)
屋久島町の荒木耕治町長が過去5年間に約370万円分の贈答品を国会議員らに贈っていた問題をめぐり、高額な支出や不透明な贈答理由に対して、町議会や町民から疑問の声が上がっている。それを受け、屋久島ポストは交際費について町の認識を尋ねるため、交際費の支出を決裁している日高豊副町長にインタビュー取材をして、その主なやり取りを紹介している。
2回目となる今回は、過疎法や有人国境離島法を制定する際に、贈答で「信頼関係」を築いた国会議員の尽力で、町は有利な交付金や地方債の恩恵を受けたとする日高副町長の主張を伝える。
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国会議員への贈答で「町民の利益を得られた」
「町として町益をどう確保するかというために町長の交際費を支出している」
日高副町長は9月議会一般質問で、そう主張したうえで、実際に町が享受した「町益」として、過疎法が制定される際に国会議員から受けたとする「便宜」を挙げた。
日高副町長の議会答弁によると、2021年にあった過疎法の見直しで当初、屋久島町は同法の対象地域から外されるとの情報が国会議員からあった。それを踏まえ、贈答で「信頼関係」を築いた国会議員の力を借りて「対処」した結果、これまでと同じく対象地域に選ばれ、有利な交付金や地方債を受けられるようになったという。
そして、この過疎法の成果について、日高副町長は「(贈答による)友好関係や信頼関係の醸成のうえに得られた今の町民の利益である」と述べ、荒木町長が続ける贈答の成果をアピールした。
町長が何をしたのか「具体的には知らない」
しかし、全国民にとって、法律というのは平等でなくてはならない。議員立法で過疎法を制定するにあたって、高額な贈答で「信頼関係」を築いたとする国会議員の手助けで、屋久島町だけが有利な扱いを受けることは、本来は許されないはずである。
そこで、どのような経緯で町が過疎法の対象地域になれたのか、日高副町長に詳細な経緯を尋ねたところ、またしても「当事者性」のない答えが返ってきた。
「過疎法の(立法)経緯はよくわからない」
「そういう話があるらしいと町長から聞いたが、町長が具体的にどんなことをしたのかは知らない」
交際費の支出を決裁している副町長なのに、なんとも無責任な説明である。自分自身の議会答弁で、高額な贈答を続ける理由の一つとして、当初は対象から除外されていた過疎法の対象になったことを説明したのであれば、その事実関係を詳細に確認すべきである。
また、そもそも日高副町長が過疎法についての理解が乏しかったことも、今回の取材でわかった。過疎法は国会議員の主体的な発議で制定される議員立法である。だがインタビューの当初で、日高副町長は過疎法が議員立法であることを把握しておらず、自民党の過疎対策特別委員会が過疎法の制定に深く関わっていることを認識していなかった。

過疎法の制定にあたって過疎対策特別委員会が設置された自民党の本部(東京・永田町、Wikimedia Commons より)
荒木町長に頼り切った「副町長不在」の町政運営
荒木町長が贈答を続ける成果の一つとして、町が過疎法の対象地域になったことを挙げた日高副町長。だが、9月議会で答弁した際には、まさか過疎法が議員立法であることを知らなかったとは・・・・・・。
それでも取材に対し、日高副町長は国会議員に対する贈答の成果を力説した。
「(贈答の)結果というか、何らかの信頼関係が(過疎法の対象地域に町が選ばれた理由に)あるのではないかということで(議会答弁で)伝えさせてもらった」
過疎法が立法される過程で、荒木町長がどのように働きかけ、それを受けた国会議員がどのように動いたのか――。
そんな基本的な経緯を確認しないまま、日高副町長が堂々と町議会で答弁できるのは、町政運営の判断を荒木町長に頼り切っているからだろう。
【動画】屋久島町長の交際費について町議会で答弁する日高豊副町長(2022年9月13日、同町議会YouTubeチャンネルより)
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