【取材後記】石田尾議長は「中立公平」に議会を運営できるのか?/編集委員会
事実とは違う発言を放置する屋久島町議会
屋久島町議会の石田尾茂樹議長は、結果的に事実とは違った自身の発言をそのまま放置するのでしょうか。岩山鶴美町議による産業廃棄物の廃棄と焼却処分をめぐり、その問題の調査を求める町民からの陳情書を却下するため、昨年8月の議会運営委員会で発した言葉です。
「(本人の説明によると)許可を得ていたということで、厳重注意に終わったと。ということからいけば、私、何かこの陳情を取扱うのはどうかなと思ってます。私は賛成しがたい」
ところが、岩山町議の説明は事実とは違っていました。
根拠なき理由で陳情書を門前払い
「許可」を出したとされる町生活環境課に取材すると、同課の矢野和好課長は「私有地であれば一次的に仮置きをしてもいいのではないかとは言ったが、町として許可を出した事実はない」と完全否定。さらに、岩山町議は取材に対して、産廃の焼却は違法行為であり、「(焼却処分の)許可は得ていない」と説明しました。
つまり、岩山町議は廃棄物の仮置きと産廃の焼却処分について、一切の「許可」を得ていなかったのです。そして、石田尾議長ら当時の議会運営委員たちは、事実とは違う岩山町議の説明を根拠にして、町民から出された陳情書を常任委員会や本会議に上げることなく、反対多数で門前払いにしてしまったのです。
石田尾議員「同僚議員を信じた」
この「許可」について、石田尾議長は取材に「許可の内容まで説明された記憶はないが、許可を受けていること自体は、同僚議員の言っていることなので信じた」と言っています。しかし、石田尾議長が「信じた」という「許可」は実際には出ていませんでした。さらには、岩山町議は産廃の焼却処分が違法行為であることを認識していたにもかかわらず、自身が所有する賃貸アパートのリフォーム工事で出た廃材などを野焼きしていたのです。
当時の議会運営委員会では、石田尾議長だけでなく、日高好作町議も「ちゃんと許可を得ていた点では、問題があるとは思わない」と発言しています。しかし、実在しない「許可」を理由にしているのですから、陳情書の却下は誤った判断であったと言わざるを得ません。また、根拠がない理由で陳情書を却下された町民は、「町議会は初めから受け付ける気がなかったのではないか」と言って、町議会の対応に疑念を抱いています。
陳情書の再審議で「中立公平な議会運営」を
石田尾議長らの当時の発言に対して、「同僚議員を信じた」結果なのですから、無責任だとは言いません。しかし、その同僚議員の説明が事実と違っていたのに、それでも自分たちの発言を放置して、何も対応しないのであれば、それは極めて無責任な議会運営です。そして、反対の根拠にした「許可」が存在しないのであれば、町民から出された陳情書の審議をやり直すべきでしょう。
石田尾議長は昨年10月、初めて議長に就任した臨時議会で、次のように述べています。
「私は議会改革の先頭に立ち、議長として、中立公平な議会運営に努める決意であります」
その決意のとおり、どの町民に対しても「中立公平」な議会運営を強く望みます。そして、もし陳情書の却下について何も対応しないのであれば、自分が信じた「同僚議員」を偏重する「不公平な議会運営」だと言わざるを得ません。
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