鹿児島県・屋久島町に公務出張マイルのルールなし 町長マイル「失効」問題
マイル管理は職員の個人的な判断 「私的取得の可能性も」
個人カードへの加算禁止を検討へ
マイルを「Suica」のポイントに交換すると、公共交通機関や買い物などに使える(JALウェブサイトより)
鹿児島県屋久島町の荒木耕治町長が過去7年間に公務出張で航空機に363回搭乗し、航空会社のマイルを個人のマイレージカードに加算していたにもかかわらず、その大半を「失効」させていた問題をめぐり、同町の旅費規程などにマイルに関するルールがないことが調査報道メディア「屋久島ポスト」の取材でわかった。公務出張で得たマイルの管理は職員の個人的な判断に任されており、町総務課は「私的に取得している可能性もある」という。同課では「必要であれば、個人カードへの加算の禁止を検討したい」としている。
ローソンなどのコンビニエンスストアで使える「Pontaカード」にもマイルでポイントを貯めことができる(JALウェブサイトより)
町、職員によるマイル加算の確認せず
町総務課によると、同町には旅費に関する条例や規程に加え、町長からの通達があるが、それらの中にマイルについての取り決めはない。公務出張の際に職員が個人のマーレージカードにマイルを加算しているかどうかも確認していないため、私的に取得している可能性も否定できないという。
マイルをNTTドコモのカードに貯めると、携帯電話の購入や買い物などに使える(JALウェブサイトより)
「Suica」で電車や買い物にも
マイレージサービスは、航空会社が自社の路線に乗った乗客に対して、搭乗した区間マイルをポイントとして与える制度だ。
一定のマイル数を日本航空(JAL)で貯めると、無料の特典航空券を利用できるほか、公共交通機関や買い物に使える「Suica」、コンビニエンスストアのローソンなどで使える「Pontaカード」などのポイントに交換することができる。また、クレジット決済などでもマイルは取得できるため、公務出張で得たマイル数が少なくても、合算すれば特典航空券や各種カードのポイントなどとして利用することもできる。
北海道函館市の「公用マイレージ取扱要領」では、職員が公務出張で私的にマイルを取得することに自粛を求めている
総務課長「誤解を招くのであれば、個人加算の禁止も検討」
同課の鎌田勝嘉課長は取材に対し、「鹿児島県は個人のカードに加算しないやり方をしているので、(町民から)誤解を招きかねないということであれば、町としても禁止する判断もあると思う」と述べ、荒木町長とも検討して、必要であれば通達の形で職員に周知するとした。
荒木町長が公務出張で取得した多数のマイルを「失効」させていた問題は、2月22日に屋久島ポストが報じて明らかになった。
2014年4月~2019年1月までの間に約9万8000マイルの有効期限が切れたとみられ、鹿児島~東京間であれば13回搭乗でき、約60万円分の旅費を節約できた可能性があった。
屋久島ポストの取材に対して、荒木町長は私的な利用は否定したうえで、今後は「公務出張に利用できるか検討したい」と話している。
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