「ジャーナリズムXアワード」屋久島ポストが大賞に次ぐ「Y賞」を受賞

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島社会での取材や発信「想像を絶する苦労と努力を讃えたい」と評価

町長交際費、補助金不正請求、海底清掃事業の報道で受賞

 自由で公正な社会をつくる報道や活動などを市民の視点から顕彰する第5回「ジャーナリズムXアワード」(主催・ジャーナリズム支援市民基金)の授賞作が10月28日に発表され、市民メディア「屋久島ポスト」(共同代表・鹿島幹男、武田剛)が大賞に次ぐ「ジャーナリズムY賞」に選ばれた。

 受賞したのは「屋久島町政をめぐる一連の調査報道」。国会議員らに高額贈答を続けていた町長交際費問題、国に虚偽の工事実績報告をした補助金不正請求事件、ふるさと納税の寄付金を「不適切に使った」とする海底清掃事業問題に関する3件の報道が高く評価された。賞金として30万円が贈られる。

屋久島町がふるさと納税の寄付金を使って実施した海底清掃事業の問題を伝える屋久島ポストの記事

 ジャーナリズム支援市民基金(星川淳 代表幹事)は2019年に設立され、日本におけるジャーナリズムが本来の力を発揮するためのプロジェクト助成と組織基盤の強化支援を目的に「ジャーナリズムXアワード」を主催。一般社団法人「アクト・ビヨンド・トラスト」(本部・東京都世田谷区)の支援を受けて、自由で公正な社会をつくるジャーナリズム活動を市民が選び、顕彰する仕組みを提供している。

「ジャーナリズムXアワード」のウェブサイト画面

 屋久島ポストの受賞理由は次のとおり。

このようなメディアが日本中の自治体にあったらいい

<面積でいえば国土の実に9割を占める農村部において、行政のチェック機能を持つローカルメディアを地域住民が運営するのは至難の業であり、だからこそ稀有なのだと思う。都市部に比べて人と人との関係が近かったり幾重にも重なっていたりする農村部では、コミュニティの和を乱す可能性がある。


 それにもかかわらず、より良い町づくりをめざす地元住民や元新聞記者の移住者ら6人が手弁当で運営しているという屋久島ポストは、質量ともにも高い評価に値する――と、多くの選考委員が考えた。このようなメディアが日本中の自治体にあったら、そして「見張られている」という意識があらゆるレベルの権力者に浸透したら、一体どれだけ横領や無駄遣いが減り、国民の税金が有効活用されるだろう。


 今回の受賞によって知名度が少しでも上がるとともに、「調査報道、かっこいい!」「権力の監視は和を乱す行為ではなく、住民の税金に関わる死活問題なのだ」と共感し、後に続く人や団体が出てくれば、との願いを込めて選ばれた。島という独特の閉じられたコミュニティの中で取材や発信を継続していることの、想像を絶する苦労と努力を讃えたい。>

■第5回ジャーナリズムXアワード授賞作品(敬称略)

ジャーナリズムX(大賞・賞金100万円)
『なぜ日本は原発を止められないのか?』(文春新書)および講演、動画配信など一連の活動
<受賞者:青木美希

ジャーナリズムY(賞金30万円)
「屋久島町政の不正や不祥事をめぐる一連の調査報道」(ウェブメディア)
※以下、代表的な記事
屋久島町長交際費問題
補助金不正請求事件
海底清掃事業問題
〈受賞者:屋久島ポスト共同代表・鹿島幹男+武田剛〉

ジャーナリズムZ(選考委員奨励賞・賞金各5万円)
『お巡りさん、その職務質問大丈夫ですか?――ルポ 日本のレイシャル・プロファイリング』(ころから)およびレイシャル・プロファイリングに関するWeb記事
〈受賞者:國﨑万智

『大人になったヤングケアラー ~本当に聴きたかった声~』(映画)および上映イベント
<受賞者:米田愛子〉 ※賞金辞退

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