【Key Word】価格競争が根幹をなす「競争入札制度」 新ごみ処理施設建設
価格競争なく 技術面で劣る業者が落札の入札は成立するのか?
【左】現在稼働中のごみ処理施設「屋久島町クリーンサポートセンター」(Google Earth より)
価格競争のない競争入札は認められるのか――。
屋久島町の新ごみ処理施設の建設業者を決める競争入札で、事前公表されていた予定価格を上回る金額が入札された問題を受けて、屋久島ポストは町が公開した入札関連の文書を詳細に検証した。その結果、入札に参加した2社のうち1社が、予定価格を超える入札では落札できないことを知っていたにもかかわらず、あえて予定価格を15億円も上回る金額で入札。そして、もう片方の1社は技術評価では劣りながら、価格面での競争を一切することなく、落札業者に決まったことがわかった。
税金で運営される地方自治体にとって、競争入札は経済的かつ良質な公共事業を実施するうえで、とても重要な役割を果たす制度だ。住民のお金を節約して、より多くの事業に予算を振り分けるためにも、公共事業の入札で価格面の競争は必要不可欠である。
ところが今回、屋久島町の入札では価格競争が一切ないまま、24億円以上も費やす新ごみ処理施設の建設業者が決まってしまった。
そこで、「競争入札」と「予定価格」をキーワードにして、問題となった競争入札制度について、2回にわたり考えたい。
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より安く良質な工事業者を選ぶ入札制度
国や地方自治体が大きな公共事業をする際には、必ず競争入札が実施されている。その目的は入札に参加した複数の業者のなかから、より安くて良質な工事をしてくれる業者を選ぶためだ。
入札には、大きくわけて「一般競争入札」と「指名競争入札」の二つがある。一般競争入札には、条件付きの場合を除いて、だれでも参加できる。一方、指名競争入札には、過去の実績などを参考にして参加者が絞り込まれ、発注側が指名した業者だけが参加できる。
落札業者、予定価格以下の入札が絶対条件
競争入札で勝つことを「落札」という。そして、落札業者になって工事契約を結ぶためには、外せない重要な条件がある。複数の業者から集めた参考見積もりを踏まえ、発注側が決めた契約基準額の「予定価格」以下で入札しないと、絶対に落札できないのだ。
今回、屋久島町が実施したのは、企画と価格の両面を競う総合評価方式の一般競争入札だ。建設計画の提案を受けたうえで、さらに受注金額も踏まえて落札業者を決める入札で、参加する業者には過去の工事実績など、一定の資格条件が付けられた。
川崎技研、落札する気ないのに屋久島に出張
事前の資格審査を経て、昨年11月に開かれた入札には、テスコ(本社・東京都)と川崎技研(本社・福岡市)の2社が参加した。技術審査は70点満点で実施され、テスコの42.97点に対して、川崎技研が49.22点で高評価を得た。
ところが、価格審査で問題が起きた。事前に公表された予定価格は24億6100万円だったが、川崎技研はそれより約15億円も高い39億5000万円を提示したのだ。当然だが、川崎技研は予定価格を超える入札金額では落札できないことを知っていた。つまりは、最初から落札する気がないのに、わざわざ屋久島まで出張して入札に参加したということだ。
一方、テスコは予定価格より1230万円安い24億4870万円を入札。技術審査では川崎技研に水をあけられていたが、価格審査では「不戦勝」になったため、実質的に競争することなく落札業者に決まってしまった。
入札の審査講評に掲載された総合評価点。川崎技研は技術面ではテスコより高評価を得ていたが、意図的に予定価格より高額で入札したため、価格評価では「失格」とされた
技術面で劣ったテスコが落札業者に
先に述べたとおり、競争入札とは、複数の業者のなかから、より安くて良質な工事をしてくれる業者を選ぶための制度である。それなのに参加した2社のうちの1社である川崎技研が、意図的に価格競争を放棄したとなると、入札制度の根幹が崩れたことになる。
そして、さらに問題なのは、価格競争を放棄した川崎技研の方が、テスコより技術面で高い評価を受けていたことだ。つまり、屋久島町は2社のうちでは技術評価で劣ったテスコを落札業者に選び、24億円以上も費やす大規模な建設工事を任せるということである。
屋久島町は入札「成立」というが・・・
屋久島町は取材に対し、入札は「成立した」と主張している。だが、入札制度の根幹である価格競争を一切していない経緯を踏まえると、この入札は不成立にすべきケースだ。加えて、ただ一つだけ競争できた技術面において、落札業者の方が劣っていたとなれば、公正な入札を再度やり直すしかない。
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このごみ処理施設は短期間で更新出来るものでは無く、20年~30年と運転する施設である
慎重な入札執行は言うまでもありません。
この様な杜撰な行政運営が繰り返し行われるようでは町民はたまったもんではありません。
議会が何の問題意識も無く対応しないのであれば
住民監査請求で正さなければなりません。