意図的な無効入札「残念」だがルールは改正なし 屋久島町新ごみ処理施設建設
川崎技研、事前公表の予定価格15億円超で入札 ➡ 荒木町長「企業戦略に基づく結果」で再発防止策は考えず
【無効】とは「ある法律行為から当事者の意図した法律効果が生じないこと」
【動画】新ごみ処理施設建設工事の入札で、川崎技研が意図的に無効な入札をした問題について答弁する屋久島町の荒木耕治町長(2023年8月28日、屋久島町議会、同町議会YouTubeチャンネルより)
屋久島町の新ごみ処理施設の建設業者を決める一般競争入札で、落札する意思がない川崎技研(本社・福岡市)が入札への参加を辞退せず、事前公表された予定価格を約15億円上回る無効な入札をした問題――。
同町の荒木耕治町長は8月28日の町議会一般質問で、川崎技研の無効な入札について「残念に感じた」とする一方で、「企業戦略に基づく結果」だとして、問題がない入札だったという見解を明らかにした。また今後、同様の無効入札を防ぐ対策を問われたが、入札ルールについて「改正は考えていない」と答弁した。
テスコが予定価格とほぼ同額で落札
新ごみ処理施設の入札は2022年11月に実施され、川崎技研とテスコ(本社・東京都)の2社が参加。川崎技研が意図的に無効な入札をした一方、テスコが予定価格とほぼ同額の24億4870万円で落札し、価格競争がないまま建設費が決定した。それを受け、公正取引委員会が「競争が働いたと言い切れない」「町は入札業者に事情を聴く必要がある」との見解を示したため、真辺真紀町議ら複数の町議が町に対し、川崎技研に聴き取り調査を実施するように求めていた。
予定価格超の入札は「事実上の撤退」
8月28日の町議会で質問に立った真辺町議は、川崎技研による意図的な無効入札について、町の受け止めや認識を尋ねた。
それに対し、荒木町長は「予定価格内での金額を期待していただけに残念に感じた」としたうえで、事前公表された予定価格を超過した入札は「事実上の撤退と考えられる」と指摘。その一方、それでも川崎技研が入札に参加した理由として、全社が予定価格を上回る入札不落となった場合に「再度公告の可能性も模索していた」と説明したことを受けて、「企業戦略に基づく結果となるので、それ以上でも、それ以下でもないと受け止めている」と答弁した。
川崎技研が事前公表された予定価格を15億円上回る無効な入札をしたことについて、「残念に感じた」と答弁する屋久島町の荒木耕治町長(2023年8月28日、屋久島町議会、同町議会YouTubeチャンネルより)
「価格競争のない入札」を容認
また真辺町議は、実質的に価格競争がない入札だったことを踏まえ、「本来なら入札がなかったというルールを設けないと、また同じことが起きる」と指摘し、入札ルールを「見直す考えはないのか」と問いただした。
だが、今回の入札について、荒木町長は「屋久島町建設工事の予定価格の事前公表に関する要領に沿ったもの」としてルールの改正はせず、「価格競争のない入札」を容認する考えを示した。さらに荒木町長は、予定価格を事前公表した際の入札執行条件として、同要領にある「入札者が2人に達しないときは、入札を中止する」との条文に「指名競争入札に限る」という文言を加えると説明。予定価格が事前公表された一般競争入札で、1社だけが参加する「1社応札」となっても、入札が実施できるようにルールを改正する必要があるとした。
川崎技研が事前公表された予定価格を15億円上回る無効な入札をしたことについて、「本来は無効」だと指摘する真辺真紀町議(2023年8月28日、屋久島町議会、同町議会YouTubeチャンネルより)
意図的な無効入札の改善策は?
さらに、真辺町議は「『指名競争入札に限る』という文言を付け加えることで改善になるのか」と質問。新ごみ処理施設の整備を担当する生活環境課の計屋正人課長は、多くの業者が入札に参加できることを保障した一般競争入札であれば、今回のように予定価格を事前公表していたとしても「競争が成立する」と説明。その考え方に合わせる形で、入札ルールを見直す必要があるとした。
「競争したように見せかけている」と疑われる可能性
荒木町長らの答弁を受けて、真辺町議は今回の入札について「2社が参加して、片方が予定価格を超えて、片方が予定価格ぎりぎり」で入札し、予定価格とほぼ同額で落札業者が決まったと指摘。そして、業者が示し合わせて「競争したように見せかけているのではないか」と疑われる可能性があるとして、町に対し「真摯に受け止めて、そういうことが、今後、起こらないように対策を取るべきだ」と訴えた。
町要領、予定価格超の入札は「無効」と規定
「屋久島町建設工事の予定価格の事前公表に関する要領」は、このルールの趣旨を次のように示している。
「第1条 この要領は、公共工事における入札及び契約事務の透明性及び競争性の向上を目的とし、予定価格の事前公表(以下「事前公表」という。)を行うことに関し、必要な事項を定めるものとする」
そして、入札の執行条件として第6条で、「入札者が2人に達しないときは、入札を中止する」と規定。さらに「予定価格を超える価格による入札は、無効とする」として、予定価格超の入札を「無効」、つまり入札の参加自体がなかったとするように定めている。
【無効】(ブリタニカ国際大百科事典/コトバンク)
<ある法律行為から当事者の意図した法律効果が生じないこと。無効な法律行為は、取消しが可能であるべき法律行為と異なり、当事者の一定の行為
(無効の主張) を待つまでもなく、最初から法律的効果を生じないので、誰に対しても,また誰からも、これを主張しうるのが原則である。また、取消しは追認によって確定的に有効となるが、無効は原則として追認しても効力を生じない>
■屋久島町議会YouTubeチャンネル動画
【動画】新ごみ処理施設建設工事の入札で、川崎技研が意図的に無効な入札をした問題について一般質問する屋久島町議会の真辺真紀町議(2023年8月28日、屋久島町議会)
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荒木さんは自治体の長としての能力の限界です。
答弁にも自分の意見よりは法務事務専門員の指導が多く入っている。
競争入札の意味すら理解しているのか疑ってしまう。
それでも、立候補のチラシには「起債を大幅に減らし、財政調整基金は37億になりました。」と自慢しているが、「本当か?」と疑うと同時に、自慢する事ではない。
町道には修復する箇所は幾つも有り、住民の陳情や要望には「金が無い、予算が無い」とは職員の回答である。
実際にそれだけの基金が有るのであれば、職員との意志疎通が出来て無い。
やるべき事業をやってこその基金である。
財政規模にそぐわない基金残高は、交付金、補助金の減額にも繋がる事も知るべきである。
その前に、貴方の金銭感覚では財政調整基金については到底信じる事は出来ません。