異論排除し「議員としておかしい」は言い過ぎ【検証・岩山討論】(6) 屋久島町新ごみ処理施設
予算案反対の町議に「辻褄が合わない」「今さら意味がわからない」・・・ ➡ 岩山町議、批判だけして予算案に賛成
【右】屋久島町議会の予算審議で、個人攻撃をする討論をしたとして、厳重注意を受けた岩山鶴美町議【左】岩山町議に厳重注意をした石田尾茂樹議長(2023年3月24日、同町議会YouTubeチャンネルより)
屋久島町の新ごみ処理施設の建設費をめぐる予算審議で、同町議会の岩山鶴美町議は、自分とは異なる意見や行動を名指しで否定、批判する「個人攻撃」をしたとして、石田尾茂樹議長から厳重注意を受けた。
町議会の存在意義は、町民からの多種多様な意見を集めて議論することだが、今回の岩山町議の討論は、言論の府である屋久島町議会を否定するものといえる。
この「岩山討論」を検証する連載の6回目は、岩山町議が挙げた「三つの観点」のうち、すでに同施設建設の工事請負契約が町議会で承認されていることを理由に、予算案に反対する町議を「攻撃」した問題について考えたい。
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価格競争ないまま建設費が決定
新ごみ処理施設の建設業者を決める一般競争入札は昨年11月に実施され、川崎技研(本社・福岡市)とテスコ(本社・東京都)の2社が参加した。事前公表された予定価格の24億6100万円に対し、テスコが24億4870万円を提示して、落札率99.5%で建設業者に決定。一方、川崎技研は予定価格を約15億円上回る39億5000万円で入札し、意図的な無効入札で失格となったため、価格競争がないまま建設費が決まった。
公取委、入札を疑問視「競争が働いたと言い切れない」
その後、町は昨年12月に開かれた町議会にテスコとの工事請負契約の議案を提案し、町議会は全会一致で可決。だが今年2月、この入札について真辺真紀町議が公正取引委員会に見解を求めたところ、同委員会は「競争が働いたと言い切れない」「町は入札業者に理由を聴く必要がある」と回答した。
公取委の見解を踏まえ、真辺町議と岩川卓誉町議は町に対し、川崎技研に意図的に無効な入札をした理由の説明を求めるように要請。だが、町は聴き取り調査を実施しないまま、同施設の建設費が盛り込まれた2023年度の一般会計予算案を3月定例に提案した。それに対し、真辺町議ら一部の町議が反対し、同予算案の賛否をめぐる討論となった。
岩山町議「工事契約の議案は全員一致で可決」
この討論で、岩山町議は「三つの観点」を挙げながら、自身の主張を展開。その一つ目で、テスコとの工事請負契約がすでに町議会で承認さていることを踏まえ、次のように発言した。
「このごみ処理施設の落札候補者の選定というのは、すでに12月議会の議案第124号で提案されて、工事請負契約の締結がなされました。で、全員一致で可決しております」
これは事実だが、昨年12月に契約が承認されたのちに、公取委が入札を疑問視する見解を一部の町議に示している。そうであれば、一度は承認した契約であっても、一転して反対することは、ごく普通にあり得ることだ。
一方、岩山町議の主張として、「すでに全員一致で可決」したことを理由にして、予算案に賛成することは何も問題ない。その事実だけを根拠に賛成討論をしていれば、石田尾議長から厳重注意を受けることはなかったはずだ。
異論を否定し「個人攻撃」の口火を切る
だが、それに続く発言がまずかった。
「契約の時には何も言わずに、今になって反対していますけれども、辻褄が合わないですよね」
この入札を疑問視する公取委の見解は、契約を承認した時にはわからなかった。そして、一度は契約案に賛成したとしても、その後に「疑念」が出てきたのでれば、予算案に反対する主張は認められるべきものだ。
ところが、岩山町議は「辻褄が合わない」と言って、予算案に反対する町議への批判を始めた。さらには、こう言って相対する町議たちの主張を否定したうえで、「個人攻撃」の口火を切った。
「議員としておかしな発言ではないですか?」
「今さら意味がわかりません」
ここまで言ってしまうと、もう議会の討論ではない。自分とは異なる意見を完全否定する内容で、それを理由にして、自分の主張を正当化することは、言論の府である議会では許されないことだ。
議会討論を理解していないのか?
この発言を踏まえると、議会での討論とはどういうものなのか、岩山町議はまったく理解していないのだろう。さらに言えば、町民の代表が集まる町議会の存在意義についても、まったくわかっていないと言わざるを得ない。
新ごみ処理施設建設の予算案に賛成するのであれば、この一つ目の「観点」で、岩山町議はこう主張するべきだった。
「このごみ処理施設の落札候補者の選定というのは、すでに12月議会の議案第124号で提案されて、工事請負契約の締結がなされました。そして、全員一致で可決されており、何ら問題はないと思いますので、私はこの予算案に賛成します」
【動画】屋久島町議会の予算審議で、特定の個人を攻撃する討論をしたとして、議長から厳重注意を受けた岩山鶴美町議(2023年3月24日、屋久島町議会、同町議会YouTubeチャンネルより)
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岩山議員は論外ですが、とても期待している岩川卓誉町議もこの案件についてはブレブレな行動をしていますね。
意図的に入札はずれの札を入れた川崎技研にその理由について説明要請を町にお願いし、まだその回答も得られてないのに、異議申し立て案には反対?の立場。こういうのをダブルスタンダードと、言うのでは?
岩川たくのり議員は、主張と行動がブレまくっていませんか?
どこを見ているのかさっぱりわかりません。【二兎追うものは一兎をも得ず】
といいますが、八方美人は信用されません。芯がないと頼りにならない。