建設計画に黄色信号 公取委「競争が働いたと言い切れない」 屋久島町新ごみ処理施設
予定価格15億円超の入札業者への聴取 町議会で町に要請へ
町要領の違反で入札不成立の疑いも
屋久島町が公開した新ごみ処理施設の完成イメージ図(町報やくしま2月号より)
屋久島町が進める新ごみ処理施設の建設計画に黄色信号が灯っている。
公共事業の談合などを調査する公正取引委員会が、同施設の建設業者を決めた一般競争入札について、「競争が働いたと言い切れない」との見解を示したからだ。入札に参加した2社のうち1社は、事前公表された予定価格を超える入札は無効になることを承知したうえで、予定価格より15億円超の金額を提示。実質的に価格競争が一切ないまま落札業者が決まったことに、公取委が疑問を呈したのである。
公取委に見解を尋ねた屋久島町議会の真辺真紀町議は町執行部に対し、15億円超で入札した業者に聴き取り調査をするよう求める方針で、荒木耕治町長ら幹部の対応が注目される。
川崎技研、地方自治体に多数の納入実績
公取委が疑問視する入札をしたのは、主にごみ処理施設の設計や建設を手掛ける川崎技研(本社・福岡市)だ。同社のウェブサイトによると、1978年に設立した50年近い歴史がある会社で、栃木県宇都宮市や熊本県山鹿市、鹿児島県北薩地域など、数多くの地方自治体に納入した実績を持っている。
川崎技研が導入した廃棄物処理施設を紹介する同社ウェブサイトの画面
予定価格超の入札は無効を承知で参加
川崎技研が屋久島町の入札に参加を決めたのは、町が入札公告を出した昨年5月だった。募集要項では予定価格(税抜き)が24億6100円と事前に公表され、それを超えた金額の入札は無効になることも記載。川崎技研はそれを承知したうえで、町に入札参加の申し込みをした。
その後、川崎技研は「基礎審査技術提案書」「技術提案書」、そして入札額を記載した「入札書」を順次提出。約半年をかけて建設計画を練り上げて、昨年11月24日に屋久島町で開かれた入札に臨んだ。
2社で争い技術審査では高評価だったが…
今回の一般競争入札は価格に加え、技術提案も含めて競う総合評価方式で実施され、川崎技研とテスコ(本社・東京都)の2社が参加した。
まず技術審査では、両社は技術提案書を踏まえてプレゼンテーションをしたうえで、選定委員からのヒヤリングを受けた。その結果、川崎技研は70点満点で49.22点を獲得して、42.97点だったテスコより高い評価を受けた。
次の価格審査では、入札書に記載された金額で争うことになるが、技術審査で6点以上の差をつけた川崎技研は有利だった。もし、川崎技研がテスコより僅差で高い入札額を提示しても、技術点も含めた総合評価になるため、川崎技研が落札できる可能性が高いからだ。
15億円超で「予想外」の入札 競争なく落札業者を決定
ところが、いざ両社が提出した入札書を開くと、町にとっては「予想外」の展開が待っていた。事前公表された予定価格の24億6100万円に対して、川崎技研が約15億円も高い39億5000万円を提示したのだ。予定価格を1円でも超えた入札は無効になるため、その段階で川崎技研は競争から外され、24億4870万円で入札したテスコが落札。実質的に価格競争が一切ないまま建設業者が決まってしまった。
新ごみ処理施設建設の総合評価方式一般競争入札の総合評価点。川崎技研は技術面ではテスコより高評価を得ていたが、価格評価で「失格」とされた(入札審査講評より)
公取委「町は入札業者に事情を聴く必要がある」
この入札の経緯について、真辺町議が2月17日に公取委に説明したところ、官房総務課の担当者が「競争が働いたと言い切れない」と指摘し、「町は入札業者(川崎技研)に対して、なぜ予定価格を超える入札をしたのか、事情を聴く必要がある」との見解を示した。そして、もし町が業者に事情を聴かない場合は、町議会として聴き取り調査をするなどの対応をすべきだと助言されたという。
公正取引委員会ウェブサイトのトップページ画面
結果的に入札成立のための参加
今回の入札については、予定価格を事前公表した際のルールを定めた「屋久島町建設工事の予定価格の事前公表に関する要領」に違反する疑いもある。
同要領は「入札者が2人に達しないときは、入札を中止する」と定めているが、川崎技研は最初から落札する意思がないのに入札しており、結果的に今回の入札を成立させるためだけに参加したことになる。
さらに、同要領は「予定価格を超える価格による入札は、無効とする」と規定。意図的に予定価格を上回る金額を提示した川崎技研の入札は無効となるため、実質的に今回は1社のみが参加したことになり、入札そのものが不成立になる可能性もある。
3月議会で関連予算を審議
新年度予算が提案される町議会3月定例会には、この新ごみ処理施設の関連予算も盛り込まれる予定だ。公取委の見解を踏まえ、真辺町議は町に川崎技研に対する聴き取り調査などの実施を求める方針で、町議会での予算審議が注目される。
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