【Key Word】予定価格が事前公表の「1社応札」 新ごみ処理施設建設

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落札する気がない業者の参加で入札成立

KW)1社入札①

【左】現在稼働中のごみ処理施設「屋久島町クリーンサポートセンター」(Google Earth より)

 予定価格が事前公表された一般競争入札で、実質的に1社だけが参加した入札は成立するのか。

 屋久島町の新ごみ処理施設の建設業者を決める競争入札で、事前公表された予定価格を上回る金額が入札された問題を受けて、屋久島ポストは町が公開した入札関連文書などの検証を続けている。

 今回はこれまでの「競争入札」「予定価格」に続き、一般競争入札に1社だけが参加した「1社応札」について考えたい。

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一般競争は「1社応札」でもOK

 一般競争入札で1社だけが参加したケースを「1社応札」という。

 納税している一般市民からみると、1社しか参加していないのだから、「どこに競争があるのか」と文句も言いたくなるだろう。だが、公共事業を実施する行政側からみると、この入札は立派に成立するという。

 発注者である国や地方自治体は、入札を実施する半年ほど前から、事業計画などの詳細を示した「入札公告」を出して、広く入札への参加を呼び掛けている。その結果として、もし1社だけが入札したとしても、それは入札公告で示した条件に応じられる業者が1社しかいなかったということになる。広く平等に入札参加への機会を与えているのだから、それに応じるか否かを判断する過程で、すでに競争しているという考え方である。

予定価格 事前公表の町、実質的に1社応札でも「成立」と主張

 いま議論している新ごみ処理施設建設の入札でも、屋久島町は同様の見解を示している。昨年5月に募集要項を発表したうえで、11月に入札を実施しているのだから、予定価格を下回る有効な入札をしたのが1社だけでも、入札は成立したという主張だ。

 ただ、今回の入札で問題になっているのは、予定価格が事前に公表されていたということである。町が示した予定価格246100万円に対し、参加2社のうちの1社であるテスコ(本社・東京都)244870万円を提示。その一方で、もう1社の川崎技研(本社・福岡市)は、予定価格を超える金額では落札できないことを知りながら、あえて約15億円も高い395000万円で入札したのだ。

 つまり、川崎技研に落札する気は微塵もなく、最初から価格競争を放棄していたということだ。その結果、実質的に「1社応札」の格好で、テスコが落札業者になったのである。

入札チャート
競争入札について説明する一般社団法人GBL研究所のウェブサイト画面

町ルール、事前公表の入札は2社以上の参加が要件

 一般競争入札では、予定価格は入札終了後に公表するのが基本である。だが今回は、各社が建設計画を立てやすいようにと、わざわざ落札の上限価格は246100万円ですよと、屋久島町が事前に公表していた。それにもかかわらず、価格競争が一切ない形の入札が成立してもいいものなのか。

 そこで、屋久島町の入札に関わるルールを調べてみると、次のような規定があった。予定価格を事前公表した際のルールを定めた「屋久島町建設工事の予定価格の事前公表に関する要領」の第6(1)<入札者が2人に達しないときは、入札を中止する。>である。

 この規定を踏まえると、2社以上が参加しない限り、入札は実施できないことになる。そこで疑問なのは、通常の一般競争入札では「1社応札」が認められているのに、予定価格を事前公表した場合は、なぜ1社だけの入札は「中止」とする規定ができたのか、ということだ。

 まず明確に言えることは、予定価格を事前に公表する入札については、事後に公表する入札とはしっかり区別しているということである。

事前公表で価格面の競争性が低減

 それでは、なぜ「事前」と「事後」を区別する必要があるのか。

ここからは推察になるが、予定価格を事前公表することで、競争入札制度の存在意義である価格面での競争性が低くなるからだろう。予定価格は落札額の上限なので、事前に知らされている場合は、参加した各社はできるだけ上限に近い金額で入札することが予想される。実際、予定価格が事前公表された入札では、落札額が高止まりする傾向がある。さらには、もし参加したのが1社だけの場合は、その社は落札上限の予定価格と同額で入札したいと思うはずなので、それを防止しなくてはならない。

 それゆえ、少しでも価格競争を促すために、最低でも2社以上の参加を求めているのである。

表向きは2社だが実質的に「1社応札」

 今回の入札には、表向きは2社が参加したことになっているが、結果としては1社が価格競争をすることなく、「不戦勝」の形で落札業者に決まっている。つまり、実質的には「1社応札」と同じ状況なのに、予定価格は事前に公表されていたということである。

 これまでの客観的な事実を踏まえると、入札成立に向けて参加を2社にするために、落札する気がない川崎技研が加わったのではないか、と思えてくるような状況である。

 こんな入札でも屋久島町は「成立」したと主張しているが、価格競争のない競争入札を認めていいとは思えない。

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