現職町議の有罪事件で二分するテレビの報道姿勢 屋久島町議アパート廃材・投棄焼却事件

yakushima-post

MBC屋久島支局、議会取材もせずに完全に黙殺

在鹿児島5社のうちNHKKTSKKB3社が報道
マスコミ取材
岩山鶴美町議(右)は町議会全員協議会で事件について説明後、報道各社に囲まれて取材を受けた(2023年8月28日、屋久島町役場議会棟)

 屋久島町議会の岩山鶴美町議(66)が自身で経営する賃貸アパートのリフォーム廃材を不法焼却したとして、廃棄物処理法違反の罪で罰金50万円の略式命令を受けた事件をめぐり、テレビ各社の報道姿勢が大きく分かれている。在鹿児島5社のうち、有罪が確定したのちに報じたのは3社で、残りの2社はまったく報道していない。MBC南日本放送は同町内に支局を置いているが、岩山町議が事件について説明した828日の全員協議会を取材することもなく、公人である町議会議員の有罪事件を完全に黙殺している。


NHKがテレビ初報 岩山町議はコメントを拒否

 岩山町議の不法投棄焼却事件について、最初に報道したのはNHKだった。屋久島簡裁が83日に罰金50万円の略式命令を出し、その後に鹿児島地裁が罰金命令の事実を認めたことを踏まえ、823日に報道した。ネットで配信された記事「産業廃棄物を違法に焼却処分 屋久島町議に50万円の略式命令」によると、NHKは町議本人に取材を試みているが、廃棄物を焼却処分した理由などについて、岩山町議は「コメントしない」と回答を拒否している。

KTSKKB、現場写真などを交えて報道

 NHKに続いたのは、KTS鹿児島テレビとKKB鹿児島放送だった。両社は記者を屋久島町に派遣して、828日に開かれた全員協議会を取材。KTSは同日夕、「木くずを燃やした」とする岩山町議の説明に対し、現場を目撃した町民が撮影した写真を紹介して、燃え残った畳や金属片などが放置された焼却現場の様子を伝えた。KKBは翌829日に報道し、町民が撮影した現場写真に加えて、岩山町議が事件を起こす1年前の町議会一般質問で、ごみのポイ捨てにも罰金を科す条例の制定を提案していたことも報じた。

MBC、町議からの情報提供に反応なし

 一方、MBC南日本放送とKYT鹿児島読売テレビは今回の事件について、831日までにまったく報じていない。

 MBCは5社のうちで唯一、屋久島町内に支局を置いているが、828日の全員協議会を取材することもなかった。一部の町議によると、取材で名刺を交換したMBCの記者に対してメールを送り、今回の事件について情報を提供したが、記者からは何も反応がなかったという。

 公人である地方議会議員による有罪事件は、住民にとっては極めて大きな関心事だ。マスコミ各社が報道しなければ、住民は自分たちが選んだ議員の犯罪について知ることがないまま、選挙で一票を投じることになる。その意味で、岩山町議の事件をまったく報道していないMBCKYTは、民主主義にとって欠かすことができない報道機関の役割を放棄しているといえる。

 今回の事件について報道したテレビ各社のネット記事は以下のとおり。

■NHK日本放送協会



■KTS
鹿児島テレビ



■KKB
鹿児島放送

■岩山町議の不法投焼却 関連記事一覧


メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事
これらの記事も読まれています
記事URLをコピーしました