屋久島町、和解条件に応じるか否かを検討へ 町営牧場 過重労働死訴訟/屋久島ポスト

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賠償責任 否定の町、一転して和解案の提示を受け入れ → 和解条件に応じる場合は町議会が承認するか否かを判断

町は公務災害の認定事実を否定 町議会も黙認

【左】町営牧場の過重労働死訴訟について報告する屋久島町の荒木耕治町長。後方は屋久島町議会の石田尾茂樹議長=2025年6月9日、同町議会【右上】屋久島町役場【右下】職員が過重労働で死亡した町営長峰牧場の衛星写真=Google Earthより
 

 2019年8月に屋久島町営の長峰牧場で町職員だった田代健さん(当時49)が公務中に死亡し、過重労働で心筋梗塞を発症したことによる公務災害と認定されたことを受けて、田代さんの遺族が屋久島町(荒木耕治町長)を相手取り、約7000万円の損害賠償を求めた民事訴訟――。

 この訴訟の弁論準備手続きで鹿児島地裁は10月7日、遺族と町の双方に対し、10月中に和解案を示すことを伝えた。地裁は町に一定の賠償責任があると判断したとみられ、和解案に応じるかどうか、町の判断が注目される。

和解案、不調の場合は判決へ
 町総務課によると、これまで町は賠償責任を否定してきたが、地裁から和解案を示す旨の打診があったことを受けて、一転して提示を受け入れることを決定。10月中に示される和解条件を検討したうえで、和解案に応じるか否かを検討するという。

 今後、遺族と町のどちらかが和解案に納得しなければ、地裁が判決を言い渡すことになる。一方、双方が和解案に応じる場合、町は和解条件を町議会に示したうえで、和解案の受け入れを承認してもらう必要がある。

公務災害認定、町は「業務命令権者として勤務時間を管理していなかった」
 田代さんの死亡をめぐっては、地方公務員災害補償基金の鹿児島県支部(支部長・塩田康一県知事)が2023年2月、過重労働で心筋梗塞を発症したことによる公務災害と認定。町の勤務管理体制について、「時間外勤務が生じないことが所与の前提となっており、また、時間外勤務時間を含めた業務配分を現場の職員に任せ、そもそも業務命令権者として主体的に勤務時間を管理する体制になっていなかった」と判断している。

町議会、過重労働死を問題にせず
 だが、同基金の判断に対し、屋久島町は「町としては、過重労働はなかったという認識」と主張して、公務災害の認定事実を否定。同町議会(石田尾茂樹議長)も、田代さんの過重労働死を議会で問題にすることなく、町の判断を黙認してきた。

 次回期日は11月25日で、遺族と町の双方が和解案に対する方針を示す予定。

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