10万円の贈答、都会でダメでも屋久島はOK【日高豊副町長インタビュー】(1) 屋久島町長交際費問題
贈答の社会通念「屋久島と都会で違うかもしれない」
支出決裁の責任者でも「町長の裁量には踏み込まない」

交際費問題について議会答弁する屋久島町の日高豊副町長(中央)。手前右は荒木耕治町長(2022年9月13日、屋久島町議会)
屋久島町の荒木耕治町長が過去5年間に約370万円分の贈答品を国会議員や鹿児島県知事らに贈っていた問題をめぐり、高額な支出や不透明な贈答理由に対して、町議会や町民から疑問の声が上がっている。
その一方、町長交際費の支出を決裁している日高豊副町長は9月議会の一般質問で、「町益」を確保するために交際費を使っていると答弁。過疎法や有人国境離島法を制定する際に、贈答で「信頼関係」を築いた国会議員の尽力で、町は有利な交付金や過疎債の恩恵を受けることができたと、贈答の成果をアピールした。
だが、そもそも公平であるはずの立法において、贈答で親しくなった国会議員の手助けで、屋久島町だけが有利な扱いを受けていいのだろうか。それも、多い時は1回で計10万円もする高級焼酎36本を贈答して。
そこで、屋久島ポストは交際費に対する町の認識を尋ねるために日高副町長をインタビュー取材した。その主なやり取りを複数回にわたって紹介する。
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国会議員に焼酎やイセエビなど122万円分
荒木町長が2017年~2021年に贈答で支出した約370万円のうち、特に目を引くのは、国会議員に対する約122万円分の贈答だ。なかでも森山裕衆院議員(鹿児島4区)への贈答は際立って多く、その総額は少なくとも約50万円。高級焼酎の「三岳原酒」138本をはじめ、イセエビやアサヒガニなどの魚介類、タンカンやパッションフルーツといった季節の果物を頻繁に贈答している。
町民不在の高額贈答
そこで、一連の高額な贈答に対する認識を尋ねると、日高副町長から意外な答えが返ってきた。
「(贈答の)社会通念は、屋久島と都会で感覚が違うかもしれない」
つまりは、1回に10万円もする贈答であっても、東京や大阪などの都会では認められないが、屋久島であれば、社会通念上はあり得るということである。だが、都会に比べて購買力が低い屋久島で、1回10万円の贈答を普通にできる人がどれほどいるだろうか。
屋久島町民でもある取材者として、どうしても納得ができない回答だった。そして、町長交際費の支出に責任を持つ副町長として、本当にその認識でいいのかを再確認したところ、日高副町長はこう言って開き直った。
「そこは、そう(町民に高額で不適切な贈答だと)取られれば、そうなんでしょう」
町民の心など「われ関せず」という姿勢である。しかし、支出を決裁する責任について話が及ぶと、日高副町長の発言から「当事者性」が消えた。
 「交際費というのは、支出の決裁を伝票上は私がしますが、どう(相手先と)お付き合いするかは、基本的には町長の裁量だと思う」。そして、自身の決裁責任については「そこを私が踏み込んで、どうなんですかと(意見をする)というふうには思わない」と述べた。
国会議員5人に焼酎を贈答した際に起票した「交際費使用伺い」の文書。日高豊副町長が支出の責任者として筆頭で決裁印を押している
これまでの高額贈答「町長の裁量を超えてはいない」
一方、今後の贈答のあり方について、日高副町長は「今回、いろいろと(議会や町民から)問題提起があったので、もう一回(贈答の方法について)見る必要があるのかなと思う」として、贈答の金額や頻度などを改める可能性を示唆した。だが、これまでの贈答については「町長の裁量を超えてはいない」と述べ、問題はないとの認識を示した。
1回に10万円もの贈答は、納税者として納得できない――。
インタビュー取材では、そんな主張を何度もぶつけたが、日高副町長は「町長の裁量」だと言うばかりだった。
【動画】屋久島町長の交際費について町議会で答弁する日高豊副町長(2022年9月13日、同町議会YouTubeチャンネルより)
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