公金200万円 「会食とタクシー」で使う町長:【検証 屋久島町政】(24) 出張旅費不正問題

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荒木町長「国会議員や出郷者と会食」「国会からタクシーで羽田空港へ」

(この検証シリーズは随時掲載しています)

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シルバー割引の利用で着服した差額の使い道について、記者会見で説明する荒木耕治町長(2020年4月2日、屋久島町宮之浦)

 屋久島町の荒木耕治町長は202042日に開いた記者会見で、自身が航空運賃のシルバー割引を悪用して着服した金額が、過去4年間で約200万円になることを明らかにしました。町総務課が買った普通運賃の航空券を空港で払い戻し、格安の高齢者割引運賃でチケットを買い直して、その差額の着服を繰り返していたのですが、荒木町長はいったい何に200万円もの大金を使ったのでしょう。

 そう思った記者は多かったようで、会見が中盤に差し掛かると着服額の使い道を尋ねる質問が出てきました。それに対し、荒木町長は「会食」と「タクシー」という二つの使途を挙げました。

全国離島振興協議会の職員とも公費で会食

 会食について、荒木町長は「東京には(屋久島の)出郷者がたくさんいて、会うときには会食することもあります」「国会議員との会食もあります」と説明。さらに、自身が会長を務める全国離島振興協議会の職員が十数人いるとして、出郷者や国会議員、協議会職員と会食した際に、シルバー割引で着服した差額を使ったというのです。

公費で会食は許されず

 この説明だと、荒木町長が会食費の全額を支払ったように聞こえますが、上京した小さな地方自治体の町長に全費用を負担させて、国会議員が会食することは考えにくいでしょう。そして、そもそもですが、出郷者や協議会職員との会食費を町の予算から支出することは許されず、全額を負担するのであれば、荒木町長がポケットマネーで出すしかありません。

 荒木町長はシルバー割引を利用して得た差額の原資が、屋久島町民のお金であることは理解していました。それにもかかわらず、その差額を会食費に使っていたとすれば、公金を預かる町長としての資質を厳しく問われる事態です。

国会議事堂
荒木耕治町長は陳情や要望で国会などを訪れたのち、頻繁にタクシーを利用して羽田空港まで行くと記者会見で説明した(via WikiMedia Commons)

200万円、タクシーでは使い切れず

 次にタクシーですが、荒木町長はこのように説明しました。

「要望や陳情などで国会や各省庁へ行き、指定の時間ぎりぎりまでずれることもあり、国会から羽田空港へタクシーで行かなければ、時間的に間に合わないこともあります」

 会食と違って、公務中のタクシー代に使ったと言えば、公金の使い道として許されるように聞こえます。しかし、国会から羽田空港までのタクシー料金は7500円ほどで、荒木町長がシルバー割引で差額を着服していた期間にあった東京出張は45回です。そのすべてで国会などでの陳情があるとは思えませんが、もし仮に全45回の出張で国会から羽田空港までタクシーを利用したとしても、その合計は34万円弱。着服した約200万円の2割にもならず、全額を使い切ることは不可能です。

 そして会食に続き、こちらもそもそもですが、公務での利用が必要不可欠なタクシー代であれば、荒木町長がその理由を示すことで、公費での負担は認められるはずです。

 つまり、荒木町長が「返還を怠っていた」とした約200万円の使い道は、「会食」と「タクシー」、どちらの主張も説得力を欠いており、客観的にみれば「着服」と判断されても仕方がないでしょう。

今回のポイント

・荒木町長、着服した200万円は「会食」と「タクシー」に使ったと説明

・公費での会食は許されず、タクシー代で200万円を使い切るのは不可能

・「差額の返還を怠った」と釈明しても、客観的には「着服」

 前回に続き、202043日に掲載した記事「【動画】荒木町長記者会見」を再編集した動画をみてみましょう。

    *

【動画】シルバー割引の利用で着服した差額の使い道について、記者会見で説明する荒木耕治町長(2020年4月2日、屋久島町宮之浦)

記者(着服額は)飲食などに使って、大きい物は買っていないと言っていたが、何に使ったのか、改めて伺いたい。

荒木町長:ほとんど東京ですから、例えば要望や陳情などで国会や各省庁へ行きます。

指定の時間まで、ぎりぎりまで時間がずれることもあります。

例えば、国会から羽田空港へタクシーで行かなければ、時間的に間に合わないこともあります。

それと東京には(屋久島の)出郷者がたくさんいます。

出郷者の方と会うときには、会食もしたりすることもあります。

国会議員との会食もあります。

いま全国離島振興協議会の会長として、職員も十数名、東京にいます。

そういう方たちと、そういうもの(会食)に使ったということです。

    *

今回の教訓:会食の費用は公費ではなく、自分のお金から出す

 自分の懐に差額を入れたわけではない。そう主張するために、約200万円の使い道について、国会議員や出郷者らとの「会食」、公務中の「タクシー」と説明したのではないか――

 弁護士の横に座って話す荒木町長を見ていると、そんなふうに思えてきました。「返還を怠った」と釈明しても、その差額の大半が荒木町長の財布に残っていれば、私たち町民の見方は厳しくなります。その一方、公務出張中の会食やタクシーで使い切ったとすれば、少しは町民の理解が得られるのではないか、と思ったのかもしれません。

 いずれにしろ、実際に何に使ったのかは、もうわかりません。会食費やタクシー代の領収書が示されることもないでしょうから、荒木町長の説明がすべてになります。

 そのなかで、ただ一つ明確に言えることは、原則として公費での会食は許されないということです。何か特別な催しや集まりがあり、そのために予算を計上していれば別ですが、そうでない限りは認められません。

 相手が国会議員でも、屋久島の出郷者でも、全国離島振興協議会の職員たちでも、一緒に食事をしたら、荒木町長は町民の公金ではなく、自分のお金で支払いをしなくてはなりません。

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  1. 呆れるばかり

    すべて着服を逃れるための言い訳にしか聞こえません。
    出郷者との会食とは、個人的なお付き合いではないのですか?
    年に一回の総会に招待されることはありますが、そんなに頻繁に会うことがあるんでしようか?
    国会での陳情の時間が遅れてタクシーを使うというのも、おかしな話です。
    議員との面会は議員会館ではありませんか?
    時間を見計らって訪問するはずです。
    町民は呆れるばかりです。

  2. 有権者1

    町長はじめ公金着服の御仁方は、町の金をどう考えているのか!
    首長自ら公金を不正請求受領して、最初はシラを切り、最後は逃げられなくなると分かり渋々認める態度。
    町長以外に不正精算した人たちも同じです。
    こんな人たちが町政に関わることこそ、屋久島町の恥でです。
    取り巻きの「擁護派町議に至る面々」が、さらに不正に拍車かけている事実。
    どうすれば屋久島町はまともになるのか…。

  3. 屋久鹿♀️

    つくづく町長筆頭に町議&ヘッポコ役人達の往生際の悪さ 醜さに
    怒りを禁じ得ません
    屋久島って何処の国の統治島でしたか? まさか日本ではないでしょうね?

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