石田尾町議、議会で挑発「刑事告発すればいい」:【検証 屋久島町政】(22) 出張旅費不正問題
副町長の減給案で賛否 「不正調査が先」vs「行政処分で責任を」
傍聴席は騒然、虚偽領収書などをめぐり議会討論
(この検証シリーズは随時掲載しています)
岩川浩一副町長(当時)の減給案について賛成討論する石田尾茂樹町議。反対意見に対して「刑事告発すればいい」と挑発する発言をした(2020年3月23日、屋久島町議会、町役場内の議会中継モニター画面を撮影)
虚偽領収書などによる出張旅費不正精算を調査する百条委員会の設置案が提案された2020年3月23日の屋久島町議会は、もう一つ重要な議案を審議しました。「見積もりの領収書」と宿泊費二重取りの不正精算をした岩川浩一副町長(当時)の給与を減額する条例案です。
4月給与60万円から36万円に減額処分
荒木耕治町長は提案理由で「出張旅費の不適切な利用等」に責任があるとして、4月分の給与を4割カットし、月給60万円から36万円に減額する条例案を提案。「本人の旅費の不適切な利用に対して、調査をして旅費の二重取りみたいなこと(が確認されたこと)で決定をした」と説明しました。
岩川浩一副町長(当時)の給与を減額する条例案を提案する荒木耕治町長(2020年3月23日、屋久島町議会、町役場内の議会中継モニター画面を撮影)
「懲戒免職に該当するような不正」と反対
その提案をうけ、反対討論に立った真辺真紀町議は「(一般職員であれば)懲戒免職処分に該当するような不正」だとして、不正調査が終わっていない段階での減給処分は妥当性がないと主張。渡辺千護町議も「減給をすれば済む問題ではない」として、減給案に反対しました。
語気強め「刑事告発すればいい」と挑発
それに対し、ただ一人だけ賛成討論した石田尾茂樹町議は、「減給したら済む問題ではないことは、みんな理解している」とする一方、岩川副町長の任期が残り1カ月しかないことを踏まえ、行政処分で責任を果たしてほしいと主張しました。
そして、ここで討論が終わるかと思われた、その時でした。石田尾町議が語気を強めて、こう言い放ったのです。
「仮に(減給案が)ダメだとするならば、刑事告発してくださいよ。やればいいじゃないですか」
岩川浩一副町長(当時)の給与を減額する条例案について、賛成討論で「刑事告発してくださいよ」と発言する石田尾茂樹町議(2020年3月23日、屋久島町議会、町役場内の議会中継モニター画面を撮影)
石田尾議長の挑発に町民は違和感
この発言が議場に広がると、にわかに傍聴席はざわつきました。減給処分をする前に、まずは不正調査をするべきだという反対意見に対して、いきなり「刑事告発すればいい」と挑発する発言は、言論の府である町議会を傍聴する町民としては、かなりの違和感があったのでしょう。
なにもいきなり「刑事告発」とまで言わなくても、町議会が不正調査をする百条委員会を設置すれば、警察や検察の手を借りずに虚偽領収書の真相がわかるのです。なぜ、その選択肢を無視して「刑事告発」なのか、多くの町民が疑問に思ったはずです。
このあと、岩川副町長の減給案は賛成多数で可決されました。さらに続いて、旅費不正の調査をする百条委員会の設置案の採決もありましたが、こちらは反対多数で否決になり、町議会はみずから不正の真相を解き明かす道を閉ざしてしまいました。
▶今回のポイント
・旅費不正を受けて、岩川副町長(当時)の減給案を町議会に提案
・「不正調査が先」とする反対意見に対し、石田尾町議が「刑事告発すればいい」と挑発
・減給案は可決された一方、不正調査の百条委設置案は否決に
今回は、2020年3月24日に掲載した記事「【動画】賛成討論:石田尾町議『刑事告発すればいい』副町長減給案」をみてみましょう。
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【動画】岩川浩一副町長(当時)の減給案に賛成討論する石田尾茂樹町議(2020年3月23日、屋久島町議会)
減給をしたら済む問題ではないとみんな理解していますよ。しかしながら、副町長は、4月で任期ですよ。行政処分の中で、みずからが規定のないことをやってしっかり責任を果たしたいと。それ全てじゃないですよ。
それは何もかも悪いと言っていることと一緒じゃないですか。
仮にダメだとするなら刑事告発してくださいよ。
やればいいじゃないですか。
やはり、今いる副町長としての立場で、行政上の処分を自分でみずからが受けるということを言っているわけですから、私は賛成したいと思います。
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▶今回の教訓:「刑事告発すればいい」と挑発する前に、まずは不正調査を
石田尾町議が「刑事告発すればいい」と挑発したとおり、3月議会の閉会後、岩川副町長は詐欺と虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで刑事告発されました。そして、2020年10月には検察で容疑の事実が認められ、減給処分などで社会的制裁を受けているとして、起訴猶予の不起訴処分となりました。
いま思えば、あの時に百条委員会の設置を決めて、町議会が自分たちの責任で不正調査をしていたら、岩川副町長ら町幹部の旅費不正は刑事事件にはなっていなかったでしょう。百条委には強い調査権があり、虚偽領収書を発行した旅行会社の元社員を含め、幅広い関係者から事情を聴くことができるので、一定の調査結果が得られたはずです。
それなのに「刑事告発すればいい」と挑発したうえ、みずから不正調査する機会を放棄した石田尾町議の発言は、極めて不適切だったと言わざるを得ません。
改めて見返すと、驚きよりも滑稽でしかありません。
本人は羞恥心で、鳥肌が立っていることでしょう。
いまは議長の職にあるのですから、更なる議会のミスリードが心配です。
無節操な議会ですから、、、
この議員の強気の根拠は何処にあるのだろう。
もしかして、告発しても警察も検察も動かないことを知っているとしたら、この闇は思っているより相当根深いのかも知れない。