うそを重ねて深めた傷:【検証 屋久島町政】(8) 出張旅費不正問題
シルバー割引の利用「記憶を掘り起こしている」
新聞報道に追いつめられた荒木町長
(この検証シリーズは毎週火曜日に掲載します)
「根拠がはっきりしないものに対応するつもりはない」――。
屋久島町の荒木耕治町長は2019年12月17日、自身の出張旅費着服疑惑などを調査する百条委員会が町議会で否決されると、報道取材にそう答えました。町議会の一般質問で、搭乗記録の提示を求められ、「JAL(日本航空)と協議する」と約束していたのに、それもしないというのです。
町議会で搭乗記録の開示を求められ、JALと協議すると答弁した荒木耕治町長(2019年12月10日、屋久島町役場議会棟)
大多数の町議が百条委員会の設置に反対したことで、自信を深めたのでしょうか。記者たちは「普通運賃の航空券を払い戻したことはないのか?」「シルバー割引を利用したことはないのか?」などと、何度も質問を続けました。しかし、荒木町長は明確に答えることなく、最後は無言で町長室に姿を消していきました。
出張旅費不正などを調査する百条委員会の設置案は、反対10人、賛成4人で否決された(2019年12月17日)
もう、年の瀬は目前でした。このまま、うやむやの状態で年末を過ごし、何事もなかったかのように新年を迎えれば、町民はすべてを忘れるとでも思っていたのでしょうか。
ところが、それから1週間後に事態は大きく変わります。荒木町長が複数回にわたって普通運賃の航空券を払い戻していたことを伝える記事が、地元紙の南日本新聞に掲載されたのです。それも12月24日と25日の2日連続で、2本とも1面のトップ記事です。
もし、それらの記事の内容が事実であれば、これは大変なことになります。町民の代表が集まる町議会で、さらには報道取材に対して、荒木町長がうそをついていたことになるからです。
荒木耕治町長が航空券を払い戻していたことを伝える2019年12月24日付の南日本新聞の記事
南日本新聞の記事を受けて、報道各社はふたたび荒木町長を囲み、百条委員会が否決された12月17日と同じ質問をしました。「シルバー割引を利用したことはないのか?」と。
それに対し、荒木町長の対応は、これまでとは一変します。町議会や報道取材で完全否定を続けていた質問に、「(記憶を)頭の中で掘り起こしている」と答えたのです。
この取材を境に、荒木町長がつき続けていた「うそ」が一気に崩れ始めます。
▶今回のポイント
・シルバー割引の利用を町長は完全否定
・町長が航空券を払い戻していた事実を地元紙が報道
・町長が対応を一変、「記憶を掘り起こしている」
今回は、2019年12月25日に掲載した記事「屋久島町長 航空券払い戻し40回 差額100万円 南日本新聞報道」をみてみましょう。
*
荒木耕治町長による航空券の払い戻しが計40回になることを伝える南日本新聞の電子版記事(2019年12月25日付)
屋久島町の荒木耕治町長(69)が公務出張の航空旅費を着服したとされる疑惑をめぐり、町役場が手配した普通運賃航空券を払い戻した回数が少なくとも計40回に及ぶことを、12月25日の南日本新聞が報じた。40回すべてを高齢者向けの割引で再購入したとすると、その差額は100万円近くに上るという。
荒木町長は12月24日、報道各社の取材に対して、払い戻しや高齢者割引の利用について否定せず、「(記憶を)頭の中で掘り起こしている」などと釈明。弁護士が過去の搭乗記録を調査中で、「近く町民に説明する」と答えた。
また、住民団体が町総務課に搭乗記録の開示を要望したことについて、荒木町長は同日、「大変不徳の致すところです。再度自分でも調査しているため、結果は必ず町民に報告させていただきます」とのコメントを出した。
【動画】新聞報道を受けて、報道陣の取材を受ける屋久島町の荒木耕治町長(2019年12月24日)
*
▶今回の教訓:うそはつけば、つくだけ、傷は深くなる
荒木町長はうそに、うそを重ねて、シルバー割引の利用を否定し続けました。そして、不正を調査する百条委員会の設置案が町議会で否決されたことで、そのうそを最後までつき通す勢いでした。
しかし、結果的には、そのうそがばれてしまうことになり、それから大変な事態になっていきます。
2019年12月10日の町議会一般質問で素直に認めていたら、町民に謝ってお金を返し、それで済んでいたでしょう。その後の地元紙による取材に「実は・・・・・・」と認めていたら、まだ間に合いました。
そして、12月17日に百条委設置案が否決された後に、「申しわけない」と認めていたら、町民は怒ったでしょうが、それでも許したことでしょう。