出張で懐に200万円、それでも平気な金銭感覚:【検証 屋久島町政】(23) 出張旅費不正問題
荒木町長、航空運賃のシルバー割引を悪用 着服を繰り返す
半年無給を表明して幕引きへ
(この検証シリーズは随時掲載しています)
記者会見で出張旅費の不正精算について謝罪する荒木耕治町長。旅費の着服額は約200万円だった(2020年4月2日、屋久島町宮之浦)
屋久島町幹部らによる一連の出張旅費不正問題は二つに大別されます。
一つは、2019年末に発覚した荒木耕治町長らによる航空運賃のシルバー割引を悪用したケースです。荒木町長は町が買った普通運賃の航空券を空港で払い戻したのちに、格安の高齢者割引運賃でチケットを買い直して、その差額を着服していました。
もう一つは、岩川浩一副町長(当時)や岩川俊広町議らによる虚偽領収書を使った不正精算です。実際の航空運賃より高い金額などを記載した領収書で旅費精算し、実費より高額の旅費を受け取っていました。
普通運賃とシルバー割引の差額で着服200万円
2020年2月以降、虚偽領収書の不正精算が次々と判明し、少し関心が薄れかけていたところに、再び荒木町長によるシルバー割引の着服問題がクローズアップされます。町長が弁護士に依頼して、前年末から続けていた調査が終わり、同年4月2日に記者会見をするというのです。
そして当日、会見で公表された着服額には驚かされました。調査で確定したのは日本航空(JAL)を利用した分の180万円余りで、未調査の全日空(ANA)利用分を含めると、約200万円にもなるというのです。加えて、さらに驚かされたのは、4年間で搭乗したJALだけで83回も着服しており、ANAを利用した未調査分も含めると100回近くになることです。
出張旅費の不正精算について、頭を下げて陳謝する荒木耕治町長(2020年4月2日、屋久島町宮之浦)
虚偽答弁でシルバー割引の利用を否定
4年で100回だと1年で25回となり、1カ月にすると2回。これだけ頻繁であれば、シルバー割引を利用したことを忘れるはずはないでしょう。しかし、荒木町長は町議会でシルバー割引の利用を完全否定したのち、報道取材で追い詰められると、「記憶を掘り起こしている」と説明。結局、2019年末に謝罪の記者会見を開き、町議会での虚偽答弁を認めました。
【動画】屋久島町議会でシルバー割引の利用を否定したのち、記者会見で虚偽答弁を認めた荒木耕治町長(2019年12月10日、26日)
差額200万円に疑問を持たない金銭感覚
前回に続き、この会見での説明も腑に落ちませんでした。弁護士を横に座らせた荒木町長は「差額の返還を怠っていた」と釈明し、意図的に差額を得ていたのではないというのです。つまり、「悪気はなかった」と言いたいのでしょうが、出張する度に2~3万円ほどの差額が自分の財布に残り、それが積もりに積もって約200万円にもなっていたのです。もし、その状況に何も疑問を持たない金銭感覚だとすれば、私たち町民の大切な公金を預かる屋久島町役場のトップは、とても務まらないと言わざるを得ません。
荒木町長、いまだに町民に直接説明せず
ところが、荒木町長は会見で「まだ、やるべき事がたくさんある」と言って、あっさりと続投を表明。自身の給与を半年無給にすることを表明して、早々に旅費着服問題の幕引きを図ろうとしました。
また、町民へ直に説明する機会を設ける旨の発言もありましたが、それから2年以上が過ぎたいま現在でも、直接、荒木町長が町民に説明や謝罪をしたことはありません。
▶今回のポイント
・荒木町長はシルバー割引を悪用して約200万円を着服
・差額を得たのは意図的ではなく「返還義務を怠った」と釈明
・自身の給与を半年無給で問題の幕引きへ
今回は、2020年4月3日に掲載した記事「【動画】荒木町長記者会見」を再編集した動画をみてみましょう。
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【動画】出張旅費不正問題で記者会見する荒木耕治町長(2020年4月2日、屋久島町宮之浦)
荒木町長:私の政治的な責任を取るべく、自身の報酬を6カ月間、無給とすることとし、そのための条例の改正案を議会に上程いたします。本当に申し訳ございませんでした。
記者:いろいろ自身の処分といいますか、責任の取り方はあると思うが、そのなかで、無給6カ月とした理由を教えてほしい。
荒木町長:確たる根拠はないが、罰則規定等が私にある訳ではないので、いま私ができる精いっぱいのことだと思っている。
記者:その無給6カ月という理由根拠を教えていただきたい。
荒木町長:いま私が自分なりに精いっぱい考えて、できる範囲で決めたことだ。
記者:半年無給以外に選択肢はなかったのか。
荒木町長:いま、私がまだやるべき事がたくさんあると思っている。いま一番の問題は、新型コロナウイルスの件、屋久島空港の件。いろいろと自分で手掛けた企画があるので、そういう事もやりたいと考えている。
記者:直接、住民に説明する機会を設ける予定はないか。
荒木町長:いま、この記者会見で町民の皆さんに向けて、お詫びをしている。今後、いろいろな会合等で話していきたいと思っている。
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▶今回の教訓:出張を続けて旅費が200万円も余ることはない
もし、シルバー割引の利用を完全否定した虚偽答弁に対し、報道の追及がなかったら、いまでも荒木町長は旅費の着服を続けていたことでしょう。なぜなら、本人曰く、意図的に差額を得ていたのではなく、余分に残った旅費を返す必要がない、と考えていたからです。
そうなると、不正が発覚した2019年12月以降も着服は続き、いまごろ、その総額は300万円以上に膨れ上がっていたと思われます。そして、荒木町長の任期が続く限り、その着服は延々と繰り返され、私たち町民の公金がさらに失われる結果になっていたことでしょう。
屋久島町には、わずかな年金で生活する町民がたくさんいます。その人たちの暮らしを思えば、公務出張をする度に余る数万円を自分の財布に入れてしまう地方政治家に、この町のリーダーが務まるとは思えません。それが積もって200万円になっても平気でいられたとすれば、もはや、そのような金銭感覚の町長を信じることはできないでしょう。
この大問題事件を見るたびに腹ワタ煮えくりかえる思いです。
高い国保税等を支払うことがバカらしくなります。
寝るのを惜しみ頑張って稼いだお金をサラッと懐に入れてしまう、町民のリーダーでもある町長が今でものほほんと同じ席に居座る。
神経を疑います。
馬鹿にするのもいい加減にしてほしい。
完全否定から一転認めて謝罪。
この人の面の皮はどうなっているのかと思う。
住民が納めた公金を平然と着服する感覚の持ち主が町のトップとは、住民がかわいそうです。
潔さもなく、無神経さに呆れて物が言えません。
ANAは未調査なの?