疑惑に満ちた町長:【検証 屋久島町政】(5) 出張旅費不正問題
不正疑惑調査の百条委員会を提案
業者「現金200万円を町長に渡した」
町民「町長がシルバー割引で旅費着服」
(この検証シリーズは毎週火曜日に掲載します)
屋久島町長から業者が受け取った携帯メールの文面
2019年末、屋久島町の荒木耕治町長にかけられた疑惑は、シルバー割引を使った出張旅費の着服だけではありませんでした。町の廃棄物処理事業への参入を目指す業者が、事業への入札資格を得るため、荒木町長に「200万円を渡した」と主張。しかし、業者は入札に参加することができず、「約束が果たされなかった」として、荒木町長に200万円を返還するように求めていたのです。
現金の返還を求め、業者から町長に送った携帯メール(2019年10月13日送信)
12月議会の一般質問で、「業者から200万円を受け取ったのか」と問われた荒木町長は、真っ向から疑惑を否定。複数回にわたり、業者から接待を受けたことは認めましたが、現金の受け取りは「事実無根」と主張しました。
現金返還の求めに対して、町長が送った携帯メール(左)と振り込みを求める業者の携帯メール(2019年10月13日送受信)
「出張旅費着服」と「現金200万円授受」。この二つの疑惑を解明するため、議会最終日となる12月17日、不正疑惑の調査をする百条委員会の設置案が提案されました。発議した小脇清保議員は「疑惑を一刻も早く払拭して、屋久島町の信用を取り戻したい」などと提案理由を述べ、百条委員会設置への賛同を全町議に呼びかけました。
いずれの疑惑も新聞やテレビが報道しており、町議会がどう判断するのか、町民から高い注目が集まっていました。
▶今回のポイント
・町長に別の疑惑が浮上、業者「町長に200万円を渡した」
・町長は「事実無根」とする一方、業者からの接待は認めた
・1回目の百条委員会の提案は、現金授受と旅費不正の疑惑解明が目的
今回は、2019年12月18日に掲載した記事「百条委員会提案理由・全文」をみてみましょう。
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疑惑が次々と
いま屋久島町をめぐる大きな疑惑が社会を騒がせています。町事業への参入を目指す業者から、荒木耕治町長が複数回の「接待」を受けた上、「支援金」として現金200万円を提供されたとの疑いが持ち上がり、さらにシルバー割引によって、「出張旅費を着服しているのではないか」という疑惑までが、次々とわき上がっています。
町長が現金の振り込みを断るため、業者に送った携帯メール(2019年10月13日受信)
全国報道で町の信用が傷つく
これが単なる噂であれば、まだ静観できます。しかし、いずれの疑惑も、鹿児島県を代表する南日本新聞が社会面で大きく取り上げ、それに続いてマスコミ各社が報道した結果、県内はもちろん、広く全国にまで、この疑惑が知れ渡っています。
これらの疑惑について、荒木町長は完全に否定していますが、それに反論するための行動は、まだ何も起こしていません。南日本新聞による最初の報道が出てから、すでに半月以上が過ぎています。報道が間違っているのなら、マスコミ各社に抗議をするべきですが、それもしていません。このままでは、屋久島町は疑惑に包まれた町として、その信用を深く傷つけることになります。
百条委で一刻も早く疑惑の払拭を
そのような状況の中で、私たち屋久島町議会に課せられた責務は、この疑惑を一刻も早く払拭して、屋久島町の信用を取り戻すことです。一連の疑惑について、荒木町長が否定されるのであれば、しっかりとその根拠を示していただき、すべてが「事実無根」であることを、町民や県民、さらには全国の方々に伝えていただきたいと思います。
町議会でシルバー割引の利用を否定する荒木耕治町長(2019年12月10日)
つきましては、調査権を有した百条委員会を設置して、これらの疑惑について審議し、真相を解明することが議会としての責務であると考えています。本定例会の一般質問でも、荒木町長からは、百条委員会が設置されれば出席したいと、前向きな答弁をいただいております。また今後、荒木町長は刑事告訴をされる意向ではありますが、告訴状が受理されるか否かは不確実なままでは、健全な町政を継続することが困難になってしまいます。現段階では百条委員会の設置以外に、確実に疑惑を解明する手段は存在しません。
以上の点を踏まえ、町民1万2千人の代表である議員の皆様には、この百条委員会設置の議案に対して、ぜひご賛同いただきたく思っております。そして、一日も早く、この疑惑を晴らして、広く信頼を寄せていただける屋久島町にしたいと考えております。
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▶今回の教訓:見て見ぬふりはしない
この百条委員会設置の提案理由を聞くと、至極あたり前のことが述べられており、正論中の正論ではなでいしょうか。少なくとも、シルバー割引を使った出張旅費の着服については、まったくの事実だったことが後に判明しており、その旅費不正について、荒木町長は嘘をついて隠そうとしていました。
しかし、町議会は、この設置案を反対多数で否決してしまいます。町議会では、2020年9月までに百条委員会の設置案が計3回否決されていますが、これが最初の否決です。あとに続く設置案は、出張旅費不正に絞って調査を求めるもので、これらの提案でも、正論中の正論が述べられました。
それなのに、町議会は「見て見ぬふり」をして、すべて否決。町も第三者による調査を拒否し続けました。そして、その結果、発覚から2年が過ぎても、屋久島町の出張旅費不正の全容は解明されていません。
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