議会に守られ責任回避:【検証 屋久島町政】(16) 出張旅費不正問題
不信任案を否決、荒木町長に辞任迫る町民で議場周辺は騒然
(この検証シリーズは随時掲載しています)
【動画】不信任決議案が否決された後、辞任勧告書を手渡そうとする町民と揉みあう荒木耕治町長(2020年1月10日)
出張旅費の着服を虚偽答弁で隠そうとした屋久島町の荒木耕治町長に対して、屋久島町議会は、またしても「甘い判断」をしました。2020年1月10日、臨時議会に提出された荒木町長の不信任決議案を否決。出席した全13人のうち、10人が否決する圧倒的な反対多数でした。
町長のうそを信じ、百条委員会の設置案を否決
前年12月の町議会では、荒木町長の旅費着服疑惑などを調査する百条委員会の設置案が反対多数で否決されました。この時は、多くの町議が荒木町長のうそを「本当」だと信じた結果でしたが、今回はその正反対です。「本当」だと信じたはずの荒木町長は、実はうその議会答弁をしていたのだけれど、自身の不正やうそを「反省して謝ればいい」というのです。
町長のうそを不問にして、不信任案も否決
大半の町議は荒木町長のうそにだまされたのですから、普通に考えれば、その責任を追及しなくてはなりません。それなのに、虚偽答弁を「間違いだった」と言い換えるなどして、まったくの不問にしてしまいました。これでは、屋久島町の町長になれば、「何をやっても無条件で許される」と、町議会がお墨付きを与えたのと同じです。
荒木耕治町長の不信任決議案の採決結果を表示する議会中継のモニター画面。反対10人の圧倒的多数で否決された(2020年1月10日)
議会は責務果たさず、町民が荒木町長に直談判
こうなると、自分たちの代表として町議を選んだ町民は、黙ってはいられません。荒木町長を監視するはずの町議会がまったく機能していないのですから、残された手段は町民みずからの直談判です。
果たして、議会が閉じたあとの議場周辺は「修羅場」となりました。不信任決議案の否決に納得しない町民たちが荒木町長に駆け寄り、辞任勧告書を手渡そうとしたのです。荒木町長は副町長や総務課長に守られながら、その場を足早に離れようとするのですが、次々と町民や報道陣が押し寄せて、一時は身動きが取れない状態になりました。
こんな混乱は、屋久島町の役場と議会にとっては前代未聞の事態です。しかし、それでも荒木町長は町民と語り合おうとはしませんでした。
▶今回のポイント
・荒木町長の不信任決議案は圧倒的な反対多数で否決
・町長の虚偽答弁を不問にする町議会に町民は納得せず
・町民たちは町長に直談判で辞任を迫り、議場周辺は騒然となった
今回は、2020年1月11日に掲載した記事「【動画】荒木耕治町長、住民団体と揉み合い町長不信任決議案否決」をみてみましょう。
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【動画】不信任決議案が否決された後、辞任勧告書を手渡そうとする町民と揉みあう荒木耕治町長=中央(2020年1月10日)
屋久島町の荒木耕治町長が出張旅費を不正に着服し、虚偽の議会答弁で着服を隠蔽しようとしたとして、一部の町議が1月10日、荒木町長の不信任決議案を臨時議会で提案したが、反対多数で否決された。
閉会後、議場出口には多くの住民が集まり、住民団体の代表が辞任勧告書を手渡そうとした。だが、荒木町長が受け取りを拒否したため、双方が一時揉み合い状態になった。
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▶今回の教訓:議会が町長を守っても、町民の不信は消せない
町民から辞任勧告書を手渡されても、結局、荒木町長は町民に向き合うことなく、町役場内に消えていきました。そして、さらに報道陣が不信任決議案について尋ねましたが、荒木町長は「それは議会が判断することだ」と言うだけで、まともに答えようとはしませんでした。
結局、報道陣に押される形で、荒木町長は「真摯に受け止めますよ」などと答えはしました。でも、その言葉から、町長の謝罪や反省の気持ちを感じ取った町民は、いったいどれほどいたでしょうか。
つまり、町議会の「甘い判断」で町長の不信任決議案が否決されても、多くの町民が抱く荒木町長への不信を消し去ることはできなのです。
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