一般職員まで虚偽領収書で精算していたの!?:【検証 屋久島町政】(26) 出張旅費不正問題

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現役職員の不正精算、計821万円強の被害が発覚

落第点の監査、特別職と退職者、町議は対象外

(この検証シリーズは随時掲載しています)

職員A)領収書2

屋久島町の一般職員が出張旅費の精算で添付した虚偽領収書。但し書きの「航空券代として」は、実際はホテル代などが含まれた新幹線代だった

 屋久島町役場と町議会の幹部による虚偽領収書を使った出張旅費不正問題は20208月、さらに広がりをみせます。町議会で追及を受けた末、やっと荒木耕治町長が要請して実施された町の監査で、一般職員までもが不正精算をしていたことが判明したのです。

 その数は5人による計8件で、被害総額は215350円。そのうち、5件では虚偽領収書が使われていました。

虚偽領収書を不問にする監査

 ところが、監査報告書を踏まえて町総務課に事情を聴くと、大きな問題があることがわかりました。まずは監査の対象が現役の一般職員のみで、特別職や町議、退職者は除外されていること。さらに、監査委員が広く網をかけるように調査したのではなく、各部署が任意に提出した旅費精算書や領収書などに限定して調査をしたというのです。

 これでは監査としては不十分であり、さらに多くの不正精算が隠されている可能性があります。そして、最も問題なのは、虚偽領収書が発行された経緯などをまったく調査していないことです。これは、その後の監査でも同じなのですが、当初の段階から、朝倉富美雄・代表監査委員は虚偽領収書について監査をする気がまったくなかったのです。

荒木町長「監査委員の独立性、自律性」を尊重

 この監査結果について、荒木町長は同年915日の町議会一般質問で報告したうえで、次ように述べました。

「監査委員の独立性、自律性の観点から、町としてはコメントすべき立場でないものと考えるが、監査委員としても内心の詐欺的意図等を確定的に認定するのは、本人の自白があるような場合を除いて、相当に困難であったのではないかと推察をするところである」

 つまり、不正精算が意図的であったか否かは、自己申告しない限りはわからない、ということですが、果たしてそうでしょうか。監査委員が旅行会社の関係者らに事情を聴き、どのような経緯で虚偽領収書が発行されたのかを調査すれば、客観的な証拠や証言のなかで、より確かな真実に迫れるはずです。

 朝倉代表監査委員は、その可能性をはなから放棄しているのですから、旅費不正の監査としては落第点と言われても仕方がないでしょう。


今回のポイント

・町長や副町長に続き、複数の一般職員による旅費不正が発覚

・計8件のうち5件が虚偽領収書を使って不正精算

・特別職や町議、退職者は対象外で、虚偽領収書も調査しない不十分な監査

 今回は、20208月に公表された出張旅費不正に関する監査報告から、航空機で出張したと見せかけて、実は新幹線のホテルパックで出張して、実費より多額の旅費を受けっていた事例を紹介します。

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九州新幹線(via WikiMedia Commons)

 屋久島町の一般職員A20195月~6月に福岡市に出張した際に、屋久島空港と福岡空港の往復航空券代として、47700円と記載された領収書で旅費精算した。それに加え、福岡市内のホテル代3泊分として32700円も受け取った。

航空機と見せかけ、実は新幹線で出張

 ところが実際には、職員Aはフェリーで屋久島から鹿児島市内へ渡り、そこから福岡市までは新幹線で往復していた。さらに、そのフェリーと新幹線の代金には福岡市内でのホテル代2泊分も含まれており、金額は計41800円だった。

職員A)精算書1
屋久島町の一般職員Aが出張旅費の精算で作成した明細書。航空運賃が4万7700円となっているが、実際にはホテル代などを含む新幹線パックを利用。さらに、宿泊費を二重取りしていた

ホテルパックで宿泊費を二重取り

 その結果、当初に精算した往復航空券代に加え、福岡市内のホテル代などの合計に対して、実際に支払った金額との間に差額が発生した。往復航空券代として領収書に記載された47700円については、実は41800円であり、その金額には往復の新幹線とフェリーの代金、それにホテル代2泊分が含まれていた。

33100円を余分に受け取る

 つまり、職員Aは交通費の差額に加え、定額でもらえるホテル代も二重取りすることで、計33100円の旅費を余分に受け取っていた。

職員A)精算書2-1
屋久島町の一般職員Aが不正受給した旅費を町に返還する際に作成した明細書。航空機ではなく新幹線パックを利用したうえ、宿泊費を二重取りしていたため、3万3100円を返還することになった

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今回の教訓:屋久島町では自主的な不正調査は望めない

 最初の監査に続いて、今年3月に結果報告があった監査でも、問題の核心である虚偽領収書については何も解明されませんでした。それは当然のことで、朝倉代表監査委員が虚偽領収書については「監査の対象外」と宣言しているのですから、真実がわかるはずはありません。

 そして、その監査委員の方針に対して、監査を依頼した荒木町長は「監査委員の独立性、自律性の観点から、町としてはコメントすべき立場でない」とする一方、町として第三者委員会による調査はしないと断言しています。さらには、町議会は不正調査をする百条委員会の設置案について、これまでに4回も否決しています。

 そうであれば、虚偽領収書の問題を解明するには、やはり司法の力を借りるしかありません。つまり、屋久島町では自主的な不正調査は望めず、なにか不正があっても、必ず見逃してもらえるということになります。

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  1. 小脇清保

    上が上なら、、、
    まさしくこの言葉通りである。
    それにしても、卑しい、卑しい、、、、
    最近では、公僕なんて言葉は死語になっているとはいえ、
    公金を誤魔化すなんていう業は真っ当な人間のすることではない。
    職員は内部処理で名前も公にされていないという甘さがあるが、再発防止を徹底しなければならない。
    長年にわたり、日常茶飯事のように繰り返し行われていたことを考えると、空恐ろしい限りである。
    住民が自分達の町の行政にもう少し関心を持っていくことが再発防止に繋がると思います。

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