条例にも違反:【検証 屋久島町政】(3) 出張旅費不正問題
シルバー割引と普通運賃 差額は3万円
条例「航空賃の額は、現に支払った旅客運賃による」
(この検証シリーズは毎週火曜日に掲載します)
2019年12月10日の町議会に続き、翌日の新聞でも指摘された荒木町長のシルバー割引を利用した出張旅費の着服疑惑。では、そのシルバー割引を使うと、どれくらい航空運賃が安くのなるのでしょうか。
そこで、当時の日本航空(JAL)の料金をみてみます。すると、鹿児島空港から東京・羽田空港へ飛んだ場合、片道の普通運賃は約4万7000円なのに対して、シルバー割引だと約1万8000円で、約3万円も安くなります。荒木町長は少なくとも80回はシルバーを利用していました。そうなると、もし仮に、普通運賃からシルバー割引への切り替えを80回やったとしたら、単純に計算して約240万円も安くなります。
でも、公務出張に行って、そんなことが許されるのでしょうか。
そう疑問に思い、「屋久島町職員等の旅費に関する条例」を見ると、「航空賃の額は、現に支払った旅客運賃による」とあります。つまり、シルバー割引で3万円が戻ってきたら、その全額を町に戻し入れしなければならないのです。
以上を踏まえると、荒木町長は5年間にわたり、その条例に違反し続けていたことになります。
▶今回のポイント
・シルバー割引と普通運賃の差額は鹿児島と東京の片道で3万円
・町条例では、実際に支払った航空運賃を支給するルール
・町長は町の基本的なルールを定めた条例に違反していた
今回は、2019年12月14日に掲載した記事「シルバー割引 何が問題? 屋久島町長『旅費着服』疑惑」をみてみましょう。
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屋久島町の荒木耕治町長が航空運賃のシルバー割引を利用して「出張旅費を着服しているのではないか」と、12月10日の町議会一般質問で追及された。荒木町長は「個人情報」を理由に搭乗記録の提出を拒否しているが、複数の町民が目撃している情報をもとに南日本新聞が大々的に報じている。このまま拒否の姿勢を続ければ、荒木町長への疑念はさらに深まることになる。
もし仮に、町が購入した普通運賃の航空券を払い戻した後、運賃が半額以下となるシルバー割引を利用して出張した場合、屋久島町の旅費に関する規則において、どんな問題があるのか。
「屋久島町職員等の旅費に関する条例」では、第6条の4項で「航空賃は、航空旅行について、路程に応じ旅客運賃等により支給する」。さらに、第7条には「旅費は、最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合の旅費により計算する」とある。
ここまで見ると、出張にかかる航空運賃は、目的地までへの最短ルートを選び、「最も経済的」にすることが規定されていることがわかる。
続いて、第16条では「航空賃の額は、現に支払った旅客運賃による」と定められている。
つまり、屋久島町の条例では、航空機を利用して出張する場合、「最も安い方法」かつ「実際に支払った航空運賃」で、出張の精算をすることが定められている。さらに、この航空運賃の領収証を添付して、町の会計処理をしなくてはならない。
町議会でシルバー割引の利用を否定する荒木耕治町長(2019年12月10日)
では、シルバー割引を利用して、実際に支払った額と普通運賃との間に差額が出た場合は、どうすればいいのか。
町の条例に則れば、その差額を町に戻し入れすれば問題はないとみられる。さらには「出張旅費を節約した」として、財政難に苦しむ屋久島町にとっては、むしろ歓迎されるべきことであろう。
2018年度、荒木町長の出張は80日以上に及び、町に旅費を戻し入れた実績はない。町は職員が出張する際の航空券は「安い運賃」で購入しているというが、荒木町長については、普通運賃を支払っているという。
町議会12月定例会の最終日となる12月17日までに、荒木町長は搭乗記録を提出するのか否か。町民の高い注目が集まっている。
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▶今回の教訓:条例は必ず守る
荒木町長は、町役場が買った普通運賃の航空券を受け取り、それをシルバー割引に切り替えて、5年間で約200万円を不正に得ていました。でも、町民の公金で出張して、そんなに「うまい話」があるはずはありません。
屋久島町役場は地方公共団体ですから、その運営は法律や条令に則って行われます。一般住民でも、罰則がある町の条例に違反すれば、罪になることもあります。それゆえに、町役場のトップである町長であれば、条例のルールを知らなかったでは許されません。
■関連資料/屋久島町職員等の旅費に関する条例
平成19年10月1日条例第51号
屋久島町職員等の旅費に関する条例
(趣旨)
第1条 この条例は、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第24条第5項の規定に基づき、公務のため旅行する職員等に対し支給する旅費に関し必要な事項を定めるものとする。
2 町が職員及び職員以外の者に対し支給する旅費に関しては、別に特別の定めがある場合を除くほか、この条例の定めるところによる。
【※中略】
第6条 旅費の種類は、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃、日当、宿泊料、移転料、着後手当及び扶養親族移転料とする。
2 鉄道賃は、鉄道旅行について、路程に応じ旅客運賃等により支給する。
3 船賃は、水路旅行について、路程に応じ旅客運賃等により支給する。
4 航空賃は、航空旅行について、路程に応じ旅客運賃等により支給する。
5 車賃は、陸路(鉄道を除く。以下同じ。)旅行について、路程に応じ実費額により支給する。ただし、公用車又は町において乗用車を借入使用する場合は、これを支給しない。
6 日当は、旅行中の日数に応じ、1日当たりの定額により支給する。
7 宿泊料は、旅行中の夜数に応じ、1夜当たりの定額により支給する。
8 移転料は、赴任に伴う住所又は居所の移転について、路程等に応じ定額により支給する。
9 着後手当は、赴任に伴う住所又は居所の移転について、定額により支給する。
10 扶養親族移転料は、赴任に伴う扶養親族の移転について支給する。
11 第23条第1項に規定する旅行については、第1項に掲げる旅費に代え、日額旅費を旅費として支給する。
(旅費の計算)
第7条 旅費は、最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合の旅費により計算する。ただし、公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情により最も経済的な経路又は方法によって旅行し難い場合には、その現によった経路及び方法によって計算する。
【※中略】
(航空賃)
第16条 航空賃の額は、現に支払った旅客運賃による。
【※後略】
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