新聞にうそのコメント:【検証 屋久島町政】(2) 出張旅費不正問題
うその連鎖 議会から新聞にも
町長コメント「プライベートでもシルバー割引に切り替えたことはない」
(この検証シリーズは毎週火曜日に掲載します)
屋久島町長の「旅費着服」疑惑を伝える2019年12月11日付の南日本新聞の記事
屋久島町の荒木耕治町長が航空券のシルバー割引を悪用して「出張旅費を着服しているのではないか」。そんな疑惑が2019年12月10日の町議会で指摘された翌日、鹿児島県の地元紙・南日本新聞は、荒木町長が議会答弁でシルバー割引の利用を否定したことを報じます。記事には、荒木町長が「プライベートでも普通運賃券をシルバー割引に切り替えたことはない」と、同紙の記者に話したコメントも載りました。
でも、そのコメントの内容は、実際とはまったく違っていました。その時点で、荒木町長がシルバー割引を利用した回数は、少なくとも80回を超えていたのです。それだけ頻繁であれば、利用した事実を忘れるでしょうか……。
つまり、荒木町長は町議会に続いて、新聞記者にも、うそをついてしまったのです。そして、その度重なるうその発言が、この旅費不正問題を最悪の事態に導いていきます。
▶今回のポイント
・地元紙の南日本新聞が町長の旅費着服疑惑を報道
・記事には町民の証言「町長がシルバー割引で購入している」
・町長は記者に対し、シルバー割引の利用を否定するうそのコメント
今回は、2019年12月11日に掲載した記事「屋久島町長『旅費着服』疑惑を南日本新聞が報道」をみてみましょう。
*
町議会でシルバー割引の利用を否定する荒木耕治町長(2019年12月10日)
屋久島町の荒木耕治町長による「出張旅費の着服」疑惑を南日本新聞が12月11日付の社会面で報じている。正規運賃の航空チケットを払い戻し、シルバー割引で再購入した際に生じた差額を町に返還せず、自身で着服しているのではないかと、12月10日の町議会一般質問で指摘されたことを伝える内容だ。荒木町長は答弁で「(シルバー割引を)使ったことはない」と否定している。
一方、南日本新聞は町内の関係者を取材し、「町長が数年前から『領収書は要らない』と言って、シルバー割引のチケットを購入している」という証言を紹介している。
*
▶今回の教訓:報道取材にもうそはつかない
荒木町長は町議会に続き、報道取材にもうそをついてしまいました。取材を受けた時、荒木町長は何をどう考えていたのでしょう。「このまま否定し続ければ、逃げ切れる」とでも思っていたのでしょうか。
この記事で、シルバー割引の利用を完全に否定する荒木町長のコメントを載せた南日本新聞の記者たちは、その後、町長のうそを覆す事実をつかみます。
■関連資料/南日本新聞記事2019年12月11日付
屋久島町議会「町長が旅費着服」指摘
航空券払い戻し 割安券で出張か
本人は否定
屋久島町の荒木耕治町長(69)が公務で東京などに出張する際、町から受け取った普通運賃の航空券を払い戻した上で、65歳以上が対象の当日シルバー割引券の購入を繰り返し、運賃の差額を町に返還せず着服しているとの指摘が10日、町議会一般質問で取り上げられた。荒木町長は「シルバー割引券を使ったことはない」と答弁。着服を否定した。
南日本新聞の取材では、複数の関係者が「屋久島空港の窓口で町長が航空券を払い戻し、シルバー割引券を買う姿を見た」と証言。町の条例は旅費の航空運賃について「現に支払った旅客運賃」と規定している。
屋久島便を運航する日本エアコミューター(霧島市)によると、東京行きの場合、屋久島からは鹿児島などでの乗り継ぎとなる。運賃は10日現在、屋久島-鹿児島は島民割引を使えば片道7600円。鹿児島-東京に島民割引はないが、当日の残席数などでシルバー割引が設定される便があり、片道の普通運賃が4万7290円に対し1万8790円と約3万円も割安となる。
町によると、町長の出張時は突発事態や急な予定変更に対応するため、便の振り替えが可能な普通運賃の航空券を職員が手配。町長に手渡している。
10日の町議会一般質問では、小脇清保議員が「多く町民が『町長が空港窓口で普通運賃をシルバー券に振り替えている』と聞いた」と指摘。町が開示した2018年度の町長の出張明細には、出張日が80日以上あり、シルバー割引運賃との差額は一度も返還されていないとして、「公金の着服に当たる」と追及した。荒木町長は繰り返し否定し、搭乗記録の提出については「個人情報」を理由に応じない考えを示した。
南日本新聞の取材に応じた関係者らによると、町長は数年前から「領収書は要らない」と言ってシルバー割引券を購入しているという。荒木町長は取材に対し「屋久島空港ではプライベートでも普通運賃券をシルバー割引に切り替えたことはない」と答えた。
■【検証 屋久島町政】記事一覧