詭弁で百条委に反対、不正追及は「派閥争い」:【検証 屋久島町政】(27) 出張旅費不正問題
榎光徳町議、町長選の意趣返しを指摘して、百条委設置案に反対討論
(この検証シリーズは随時掲載しています)
屋久島町幹部らによる出張旅費不正問題をめぐり、2020年8月、複数の一般職員にも不正が広がっていることが町の監査で判明しました。町長、副町長、議長、副議長、そして5人の職員。ここまで波及すると、一連の不正が町ぐるみで行われているのではないかと疑われるような事態です。
虚偽領収書など調査の百条委を提案
そこで、同年9月25日に開かれた町議会では、虚偽領収書に焦点を当てて不正調査をする百条委員会の設置案が提案されました。旅費不正をめぐる百条委としては、実に3回目の提案で、それまでの2回は圧倒的な反対多数で否決されていました。
虚偽領収書は不問と監査を批判
提案した真辺真紀町議は、それまでに発覚した10枚の虚偽領収書を示し、町の監査が現職の一般職員に限定されたもので、特別職や町議、退職者が対象から除外されたことを批判。さらに「旅費不正を引き起こした要因の核心である不正領収書の存在に着目していないため、極めて不十分」として、百条委の調査は必要不可欠だと訴えました。
虚偽領収書を示して、百条委員会の設置案について提案理由を説明する真辺真紀町議(2020年9月25日、屋久島町議会)
圧倒的な反対多数で3回目の否決
ところが結果は、反対11人、賛成4人で、またしても否決になりました。
監査では、虚偽領収書が発行された経緯がまったく調査されませんでした。さらに、特別職や町議、退職者が対象から除外されていたのですから、もっと賛成者がいるかと思いましたが、多数決なので仕方がありません。
榎町議、旅費不正は「派閥争いや利害のもつれ」が原因と主張
それでは、反対した町議は何と主張して否決したのか。
当時の議事録を紐解くと、実に不可解な発言が出てきますが、そのなかでも、ひときわ目立つのが、榎光徳町議がした次の反対討論です。
「これまでの一連の問題は、前回の町長選挙後に発覚した問題であると認識している。仮に、選挙結果に端を発した派閥争いや利害のもつれであるとすれば、決してあってはいけないことであり、このことによって行政や議会がかき乱されることがあってはならない」
つまり、一連の出張旅費不正は、前年秋にあった町長選で負けた側が「仕掛けた問題」の可能性があるということです。
屋久島町の一般職員が出張旅費の精算で添付した虚偽領収書。領収書には「航空券代として」と記載されているが、実際には新幹線のホテルパックで出張し、3万3100円を余分に受け取っていた
町長を守るために反対?
この発言には、さすがに驚きました。虚偽領収書も含め、これほど多くの不正精算が発覚しているのに、その原因が町長選の意趣返しではないか、と指摘しているのです。言い換えれば、荒木耕治町長を窮地に追い込むために、一連の旅費不正問題を追及しているということになります。
次々と虚偽領収書が見つかっていて、その不正調査をしようという発議に対して、「派閥争い」を持ち出して反対するとは・・・・・・。
これでは、榎町議が荒木町長の派閥に属していて、自分の親分を守るために百条委に反対する、と言っているようなものです。
▶今回のポイント
・旅費不正3回目の百条委設置案が2020年9月議会で提案
・結果は反対11人、賛成4人で否決
・反対討論では「派閥争い」を理由に否決する町議も
今回は、2020年9月25日に開かれた屋久島町議会の議事録から、百条委員会の設置案に反対した榎光徳町議の発言要旨を紹介します。
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出張旅費不正の調査をする百条委員会の設置案に対して反対討論する榎光徳町議(2020年9月25日、屋久島町議会)
一連の問題は、それぞれの立場から検証されていて、確かに町民の不安と町政への不信を招いたことは事実だ。私も議会の一員として大変責任を感じている。今回の(監査で発覚した)件は、監査体制の強化や内部調査などで明らかになったことで、結果が出れば明確な処分が示されるべきだ。
これまでの一連の問題は、前回の町長選挙後に発覚した問題であると認識している。仮に、選挙結果に端を発した派閥争いや利害のもつれであるとすれば、決してあってはいけないことであり、このことによって行政や議会がかき乱されることがあってはならない。
いま、屋久島にとって何が大事で、議会が何をやるべきなのか。いまコロナ禍の中で、町民は安心して暮らせる生活を望んでいるはずだ。
刑事告発は警察当局が対応し、そして司直の手に委ねられる。行政監視には監査委員制度がある。精算体制も見直され、今後も監査体制の強化が図られていくと思う。そういったことを踏まえ、今回の百条委員会の設置には反対する。
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▶今回の教訓:「派閥争い」を理由に不正を容認しない
突きつめれば、榎町議の主張は、次のように解されるでしょう。
虚偽領収書の追及は「派閥争い」のためにやっている。そして、その争いに端を発した問題の調査で、議会を混乱させてはならない――。
しかし、です。そんな主張が成り立つのなら、世の中にあまたある不正の調査は、すべて「派閥争い」になってしまいます。会社レベルで言えば、社長の不正を追及すると、現体制で干されていた社員を利することになります。国レベルで言えば、政府与党である自民党の不正を追及すると、野党を利することになります。
つまり、「派閥争い」を理由に不正の調査をやめると、「あちら立てればこちらが立たぬ」となって、すべての不正を容認することになってしまうのです。
その意味で、榎町議の反討討論は詭弁であると言わざるを得ません。
呆れるばかり、、、、
彼が主張するように、町長選に負けた側がその仕返しに仕掛けたことだというのなら、なぜ事実として、次ぎから次と不正が出てくるのか。
でっち上げで出てきたものではありません。
こんなことで議会が混乱させられたら困ります。なんて堂々と発言していますが、むしろ、そんな論調で議会が混乱しています。
他所からもその様に見られていることに気ずいてもらいたいです。
貴方がしゃかりきになって擁護すればするほど、相手は迷惑しているかもしれません。
稚拙さ故に、、、、
不正追及が派閥争いとは的外れですね。
そういえば、緒方議員も選挙の時に似たようなことを言ってました。
でも、不正が起こる原因もハッキリわからないので、再発防止のためにもしっかり調べましょう、という意味での百条委員会発議だと思います。
どうも的外れな解釈ですね。