石田尾町議、不正を追及する記者らを刑事告発:【検証 屋久島町政】(28) 出張旅費不正問題

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告発で虚偽領収書発行の元社員を擁護 記者らは容疑事実なく嫌疑不十分に

(この検証シリーズは随時掲載しています)

石田尾町議)反対討論20200925②

 屋久島町幹部らによる虚偽領収書を使った出張旅費不正精算をめぐり、同町議会は2020925日、不正を調査する百条委員会の設置案を否決しました。その審議にあたっては、賛否両論の意見が出ましたが、ただ一人、石田尾茂樹町議は虚偽領収書を発行した旅行会社の元社員を擁護する討論をして反対しました。

石田尾町議が自ら告発も、検察は事情聴取せず

 実は同年4月、石田尾町議はその元社員が「強引な取材を受け、事実とは違う記事を書かれた」として、自ら告発人に名前を連ねて、取材した記者ら4人を刑事告発していました。しかし、4人は警察で事情を聴かれたのち、検察に呼ばれることなく12月に嫌疑不十分で不起訴処分となり、告発された容疑は認められませんでした。

虚偽領収書発行の元社員は詐欺ほう助

 一方で、その元社員は会社から詐欺ほう助の容疑で告発されていました。そして、虚偽領収書を発行したという告発の容疑が検察で認められ、会社を解雇されるなど社会的制裁を受けたとして、10月に起訴猶予の不起訴処分となりました。

領収書まとめ
これまでに発覚した虚偽領収書の一部。大半が同じ旅行会社から発行されていた

石田尾町議「意図的かは非常に疑問」実際は意図的だった

 ところが、この百条委の審議があった9月の時点では、どちらも処分が決まる前でした。それ故なのか、石田尾町議は堂々と次のような趣旨の反対討論をしています。

(元社員が)意図的であったかどうかは、いま(記者らが)強要で告発されている内容からすると、意図的にやったかどうかは非常に疑問だと思う」

 しかし、その後に判明した結果はどうでしょう。石田尾町議が擁護した元社員は詐欺ほう助の容疑が認められ、虚偽領収書を発行していた事実が確認されました。それに対し、記者ら4人は検察で事情を聴かれることもなく、嫌疑不十分で告発の容疑は認められませんでした。

 もし、意図的でなければ、その元社員は嫌疑不十分になっていたはずですが、実際は意図的だったため、起訴猶予になったのです。

議会審議を歪める反対討論

 つまり、結果的に石田尾町議は不正した元社員を擁護するために、百条委に反対したことになります。それも、虚偽領収書の問題を取材する記者ら4人を自ら刑事告発していたのですから、自分自身で元社員を守る口実を生み出して、それを主張して町議会の審議を歪めたとも言えるでしょう。

 実に無責任な反対討論でしたが、この結果責任について、石田尾議長はいまだに何も説明していません。

今回のポイント

・石田尾町議が虚偽領収書問題を取材した記者らを刑事告発

・領収書を発行した旅行会社の元社員が事実と違う記事を書かれたなどとして、石田尾町議が旅費不正を調査する百条委設置に反対

・結局、記者らは嫌疑不十分になった一方、元社員は容疑が認められ起訴猶予に

・石田尾議長の反対討論は虚偽領収書を発行した元社員を擁護する結果に

 今回は2020925日に開かれた屋久島町議会の議事録から、百条委員会の設置案に反対した石田尾茂樹町議の発言要旨を紹介します。

    *
石田尾町議)反対討論20200925
虚偽領収書など旅費不正問題を調査する百条委の設置案に対して、反対討論する石田尾茂樹町議(2020年9月25日、屋久島町議会)

 町長がお願いした監査で、不正な領収書があることがわかり、すべてに不正の可能性があるということで、それは当然疑うべきだ。しかし、今回は職員5(の不正精算)が発覚して、顛末書を書いて行政罰までやるという状況のなかで、仮に(監査が)足りなかったということであれば、もう一度(監査委員に)委ねて、すべてを調査すればいいと思う。

 一つ言いたいのは、(発議者は)意図的に虚偽の内容が記載された領収書を添付したと言っているが、(元社員が)意図的であったかどうかは、いま(記者らが)強要で告発されている内容からすると、意図的にやったかどうかは非常に疑問だと思う。

 確かに、そういう(不正精算のような)ことがあってはいけないし、襟を正すべきだ。そのために通達を出して、再発防止(の対応)をしており、何も再発防止にならないという(発議者の)表現に対して非常に憤りを感じる。

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今回の教訓:不正擁護のために不正追及側を貶めるなかれ

 石田尾町議が刑事告発するのは自由です。しかし、告発について町議会で公言したうえ、結果的に告発の容疑が認められなかったとすれば、公人の石田尾町議には説明責任があります。そして今回は、自身の告発によって擁護した旅行会社の元社員が、実は虚偽領収書を町幹部らに発行していて、検察で詐欺ほう助の容疑が認められたのですから、その説明責任はさらに大きくなります。

 結果論で言うと、石田尾町議は不正した側を守るために、不正を追及した側を貶めたことになります。この反対討論について、石田尾町議はこのまま何も説明しないわけにはいかないでしょう。

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  1. 小脇清保

    振り返えれば、我々が示した不正の根拠となる資料を、どんな手段で手に入れたかということにこだわつて、議会で発言していたのを思い出しました。
    虚偽領収書を発行した旅行会社の元社員を庇う目的だったのでしよう。 
    確たる証拠もなく、ただ庇う目的での発言だとすれば、議員として、あるまじき行為であり最低です。
    しかし今では、そんな過去の発言や、記者らを告発したことも、蚊帳の外になっていることと思います。
    従って、説明責任を求めても仕方がありません。
    諦めましよう。許されないことではありますが、、、

  2. 有権者2

    石田尾町議が、取材のやり方をめぐって刑事告発したのは知っていました。
    その結果、検察で事情聴取もなく、嫌疑不十分で不起訴ってことは、告発は完全な言いがかりですね。
    一般的にはこんな詳細な中身についてまではわからないですからね。

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