元職員が証言、工事代金は5月末の「出納閉鎖までに支払えばいい」 屋久島町補助金不正請求事件

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町、最終工期後も工事未完成を承知で虚偽報告か

元職員、出納閉鎖までの支払いを「当時の係長に言った」
元職員証言
 国に虚偽報告をした屋久島町の法的責任はどうなるのか――

 同町が水道工事の補助金申請で虚偽報告をして、国から補助金約1668万円の返還命令を受けた問題をめぐり、日高豊副町長は81日にあった町議会全員協議会で、補助金返還の責任は工事を遅延させた業者側にあると述べた。最終工期の20213月末までに工事を終えると言っていたのに、業者が約束を守らなかったという主張だ。

 だが、屋久島ポストが取材した記録を紐解くと、町が同年4月以降も工事が終わらない可能性を承知のうえで、国に「すべての工事が終わった」と虚偽報告をしたとうかがわせる証言があった。工事を担当した町職員(当時)が、前年度の会計を閉める5月末の「出納閉鎖までに支払いができれば(いい)ということで、この書類(工事の検査調書)を作った」と取材に答えていたのだ。

工事を担当した生活環境課の元参事が証言

 証言したのは町生活環境課の元参事で、問題となった工事を担当したのち、20213月末に定年退職。同年10月末に虚偽報告が発覚したことを受けて、116日に取材で証言した。

工事未完成を承知で虚偽の検査調書を作成

 その取材記録によると、工事が未完成だった2021年326日に実施した工事の完成検査について、元参事は「3月中に(工事を)終わらせてくださいよと。そこは1週間(工事が)延びて(4月に入って)もですよ」と、最も工事が遅れていた第5工区の業者と約束をしたと説明。それを踏まえ、「まあ(工事を)終わらせれば、(5月末の)出納閉鎖までに支払いができれば(いい)ということで、この書類(工事の検査調書)を作った」と証言した。

 元参事が言う「書類」とは、実際には工事が未完成なのに、すべての工事が終わったとする虚偽の検査調査のことである。この時点で、第5工区は全工事の約15%しか完成しておらず、3月中にすべての工事を終わらせるのは不可能だったとみられる。しかし、完成検査の3日後に、町はこの検査調書を添付して国に虚偽の報告書を提出した。
検査調書
屋久島町が国に提出した虚偽の検査調書。全工事の約15%しか工事が終わっていないにもかかわらず、「契約図書に基づき良好に施工されている(合格)」と記載した

工事未完成は「3月中に課長に話した」

 一方、同課の矢野和好課長(当時)が、工事の未完成を新年度の4月になってから初めて知ったと話していることについて、元参事は「3月中に課長には話をしたと思う。私は3月で(定年)退職だったから」と主張。工事代金の支払いに関しては、「その延びている(工事の)部分は支払いをするなということで、(5月末の)出納閉鎖も引き込んで、その当時の係長にも言ってあるので、(矢野課長が)知らないはずはない」として、工事が未完成の業者には、出納閉鎖の5月末までに工事代金を支払うように引き継ぎをしたと証言した。

 もし、これらの証言が事実であれば、町は最終工期の2021年3月末以降も工事が終わらない可能性を認識していたことになる。そして、工事の完成が4月以降になったとしても、5月末の出納閉鎖までに支払いをすれば問題はないと判断していたことになる。

町、工事完成を確認せず工事代金を前払い

 最も工事が遅れた第5工区について、町は業者と連絡が取れず、さらに工事の完成が確認できなかったにもかかわらず、「業者との約束を信じた」として、出納閉鎖間近の2021528日に約2300万円の工事代金を業者に支払った。だが、その後に職員が現場確認に行くと、工事が終わっていないことが判明したが、町は前払いとなった工事代金の返還は求めずに放置した。そして、実際に職員が第5工区の工事完成を確認したのは、前払いから約3カ月後の同年99日だった。

日高副町長20220615
補助金不正請求事件について説明する日高豊副町長(中央)。前列右は荒木耕治町長(2022年6月15日、屋久島町議会、役場内の議会中継モニター画面を撮影)

検討委員会、虚偽報告などの調査は実施せず

 この問題をめぐっては、これまで町は再発防止策を協議する検討委員会を設置し、委員長の日高副町長が中心となって検討を重ねてきた。だが、虚偽報告や工事代金の前払いの原因については、調査や検証が実施されなかったことが屋久島ポストの取材でわかっている。

日高副町長、虚偽報告の責任は「住民訴訟で争う」

 その一方、日高副町長は81日の全員協議会で虚偽報告の責任を問われ、「今後、法的な手続きを踏まえて住民訴訟になるなかで、過失があるか否かを争うことになる」と答弁。虚偽報告などの法的責任について、町は自ら第三者委員会などで調査や検証することなく、その判断を司法に委ねる姿勢を貫いている。

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