【取材後記】リーダーの責任 鹿島幹男/編集委員会代表
「事務方」に責任転嫁する屋久島町幹部
またしても、「事務方」に責任を押し付ける発言が、屋久島町幹部から出ました。
補助金申請うそ記載問題が取り上げられた11月26日の町議会全員協議会で、工事が終わっていないにもかかわらず、町が業者に工事請負代金を前払いしたことについて、荒木耕治町長が「事務方が判断したようだ」と釈明したのです。次年度への予算繰り越しをしなかったため、2020年度中に予算を執行しなくてはならず、未完成の工事に代金を支払ったと。
これでは、まるで「事務方」が一番悪いと言っているように映ります。
工事完成を確認せず支出命令書を決裁
しかし、この前払いをした今年5月28日の段階で、荒木町長ら町幹部は、担当課が国にうその「工事完成日」を報告したことを知っていました。補助金交付の要件である年度末の期限までに工事が終わらず、4月以降も工事が続いていたこともわかっていました。それなのに、工事が終わったのかどうか、確認もしないまま、工事請負代金の「支出命令書」に押印して、業者への前払いを決裁したというのです。
総務課長→副町長→町長、判断ミス次々と
その命令書には、荒木町長だけでなく、日高豊副町長、鎌田勝嘉総務課長の決裁印もありました。つまり、屋久島町のトップ3人が国にうその報告をしたことを黙ったまま、工事請負代金の前払いを承認したのです。
支出命令書を決裁する時に、ひと言だけ「工事は終わったのか?」と確認していれば、前払いは防げた可能性があります。それなのに、鎌田課長、日高副町長、荒木町長と決裁が進むなかで、だれ一人として工事の状況を確認しなかったのですから、その最終的な責任は「事務方」にではなく、荒木町長ら町幹部にあると言わざるを得ません。
出張旅費不正でも副町長「事務方のミス」
「事務方」といえば、2年前から続く出張旅費の不正問題でも同じようなことがありました。不正領収書が旅費精算書に添付されたことについて、岩川浩一副町長(当時)が「事務方のミス」と地元紙の取材に説明したのです。一連の旅費不正については、いまだに監査が終わっていないため、だれが不正領収書を添付したのかは不明ですが、岩川副町長は詳細な説明をすることなく、2019年4月末日に退職してしまいました。
責任はリーダーにある
かつて、国会議員の不正問題が発覚すると、「秘書が」「妻が」と釈明するケースがよくありましたが、屋久島町幹部が言う「事務方」もそれに似ています。一番悪いのは「事務方」だが、その責任は「私にもある」と言いたいのでしょう。
しかし、少なくとも今回の補助金問題は、荒木町長ら町幹部が工事完成の確認をしていれば、担当課と会計課に指示を出して、業者への前払いを止めることができたはずです。それゆえ、業者への前払いは「町幹部の判断ミス」であり、その責任は「事務方にもある」とするべきではないでしょうか。
それがリーダーの責任です。
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