【第2回口頭弁論】町幹部は虚偽報告を「意図的に放置、隠蔽」 補助金不正請求事件・住民訴訟

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原告住民、虚偽報告の責任「誰一人として負っていない」

被告町「根拠のない主張」と一蹴

第2回口頭弁論①
【上左】鹿児島地裁(裁判所ウェブサイトより)【下左】屋久島町が国に提出した虚偽の検査調書
【右】屋久島町の荒木耕治町長

 

 屋久島町が水道工事で補助金を申請する際に虚偽の「工事完成日」などを報告し、国から補助金1668万円の返還命令を受けたのは町幹部の責任だとして、同町の住民が町に対し、荒木耕治町長ら幹部3人に損害賠償を命令するように求めた住民訴訟――。

 1221日に同訴訟の第2回口頭弁論が鹿児島地裁であり、原告の住民は、意図的に虚偽報告をした担当職員に加え、その不正を放置した町幹部が「誰一人として責任を負わないのは、一般社会の常識からはあり得ない」と主張した。それに対し、被告の町は「いずれの主張も根拠のない推測あるいは独自の見解に基づく意見」だとして、あらたな反論をしなかった。

虚偽報告の放置は「最も罰則が重い補助金適正化法29条違反」

 原告は地裁に提出した準備書面で、担当職員が幹部の決裁を受けずに虚偽報告書を「独断」で国に提出した経緯は住民訴訟で初めて明らかにされたもので、町幹部はこの事実を国に報告していないと説明。職員が独断で虚偽報告書を提出し、その事実が判明したあとも約7カ月間にわたって放置したことを踏まえると、町幹部の一連の対応は、補助金適正化法のなかでは最も罰則が重い第29条に違反していると主張した。

町幹部、職員の説明を「鵜呑みにして国に報告せず」

 また住民は、町幹部が虚偽報告に関わった複数の職員に対して処分をしていないうえ、職員による「(国に)報告の必要はない」とする説明を一方的に信じて、国に報告しなかった点を問題視。「本来であれば、疑義がある職員の説明が事実であるか否かを県や国に確認するべきところであるが、荒木ら幹部はその確認を一切しないまま、職員の説明を鵜呑みにして、虚偽報告の事実を県や国に報告しなかった」として、町幹部は虚偽報告の事実を「意図的に放置、隠蔽した」と主張した。

町「求償権にかかる請求原因事実はない」

 一方で原告の準備書面に対し、被告の町は「いずれの主張も根拠のない推測あるいは独自の見解に基づく意見」だと主張。さらに「少なくとも本訴請求の訴訟物である国家賠償法12項に基づく求償権にかかる請求原因事実を支えるだけの法律的主張と解することはできない」として、第1回口頭弁論で提出した答弁書に加えて、あらたな主張や反論はしなかった。

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