検査日は全部「うそ」だった 荒木町長が決裁の印鑑 鹿児島県屋久島町・補助金申請うそ記載問題

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19工区の検査「326日」「3月8日」、実は4月~9

荒木町長のほか、副町長と総務課長の印鑑も

町、近く厚労省に修正の報告書を提出へ

 工事の完成日だけでなく、検査日もうそだった──。

 鹿児島県屋久島町が同町の水道整備工事で国に補助金を申請する際に、うその「工事完成日」を報告して厚生労働省から補助金を受け取った問題で、問題となった工区を含めたすべての工区で、うその「工事完成検査日」を報告していたことが調査報道メディア「屋久島ポスト」の取材でわかった。工事完成の確認検査をしたことを証明するのが検査調書だ。その実施日が全部うそだった。その検査調書には荒木耕治町長のほか、日高豊副町長と総務課の鎌田勝嘉課長もはんこを押していた。町のトップ3が「うそ」にお墨付きを与えていた。
完成写真
事業実績報告書に添付された工事完成を証明する現場写真


荒木町長の印鑑

 この工事は同町の口永良部島の老朽化した水道設備を新しくするため、国の補助金を受けて2020年度に実施された。全部で9工区あり、14工区は浄水施設の整備で、59工区は配水管の敷設工事だった。補助金を受ける条件として、2020年度中の20213月末日までに工事完成検査をして、すべての工事を終わらせることが定められていた。

 屋久島ポストが入手した工事の完成を証明する「検査調書」によると、19工区のすべての検査日について、「下記のとおり検査を完了しました。」として、2021年の「326日」または「3月8日」と記載。検査をした町生活環境課の参事(当時)と「立会者」の主査、そして「契約担当者」の荒木町長の氏名が記載され、それぞれが押印している。さらに、日高副町長と鎌田課長もはんこを押していた。

検査調書3
屋久島町が国に提出した工事完成を証明する「検査調書」。検査日を「3月26日」または「3月8日」として、「契約図書に基づき良好に施工されている。(合格)」と記載していたが、実際の検査は4~9月だった

完成検査をせずに「工事完成」と国に報告

 しかし、その「工事完成検査日」は19のすべての工区で、実際の日付とは違っていた。

 同課の矢野和好課長によると、14工区については、202145日~8日に浄水機器の調整を行い、通水が可能になったことを確認して検査を完了。69工区は423日に新旧の配水管の切り替え工事を終えた後、担当職員が531日に現地を訪ねて検査した。さらに、最も問題となった5工区は95日に工事を終え、99日に最終の検査をしたという。

 町によると、実際の19工区の工事完成検査日は次の通り。丸ガッコ内は検査調書に記載されたうその日付。年はいずれも2021年。

1工区48(326)

2工区48(3月8日)

3工区48(3月8日)

4工区48日(326)

5工区99(326)=屋久島ポストの報道で発覚

6工区531(326)

7工区531(3月8日)

8工区531(326)

9工区531(326)

 一方、同課の参事(当時)は今年315日に工事をした各社にメールを送信し、「326()に各工区完成検査を行います。(もし、工事完成していなくても、完成検査が出来る状況にして下さい。出来るところで写真を撮ります。)」などと伝えた。そして、326日に工事の完成を証明する現場写真を撮影して、検査調書に「契約図書に基づき良好に施工されている。(合格)」と記載。それらの検査調書は、最終的に国へ出す事業実績報告書に添付されたうえで、提出期限の329日に県へ送られた。

 ただ、国に提出した検査調書を確認すると、一部の工区で検査日が「38日」と記載されていた。その点について確認すると、矢野課長は「理由がわからない」と答えた。
メール連絡2
担当課の参事(当時)が工事の完成検査を前に各業者に送ったメール。「もし、工事完成していなくても、完成検査が出来る状況にして下さい。出来るところで写真を撮ります。」と書かれていた


荒木町長は「不可抗力」「結果として」の言葉で責任回避か、「うそ放置」は語らず

 町が事業実績を報告した後、国は419日に県を通じて補助金を町に送金。それを受け、町は各業者に工事請負代金を支払ったが、5工区については工事未完成の前払いで、69工区は工事完成検査をしていない段階での支払いとなった。

 町によると、荒木町長が実は工事が終わっていなかったことの報告を正式に受けたのは「412日」だった。それにもかかわらず、厚労省に「うそ」だったことを報告し、正しい手続きをすれば済むところ、それを怠り、屋久島ポストが報道するまで「うそ」を放置し続けた。しかも、業者への「前払い」についてはすでに「うそ」を知っていながら、「前払い」を執行する支出命令書にはんこを押した。

荒木町長答弁

補助金申請うそ記載問題について答弁する荒木耕治町長。左は日高豊副町長(2021年12月9日、屋久島町役場議会棟)

 荒木町長は127日に開会した町議会12月定例会で、「不可抗力」という言葉を使った。

「不可抗力のやむを得ない工事管理の結果、適切な事務手続きが行えなかった」

 さらに、129日にあった町議会の一般質問では、「結果」という言葉を連発した。

「地方自治法232条の4に違反する結果となったのは事実」「結果として誤りで、この事実をいま重く受けている」

 その一方、自身がうそを放置し続けた点や、「うそ」を知っていながら「前払い」を執行した点については言及を避けた。

 矢野課長によると、現在、町は事実を記載した事業実績報告書を作成中で、県と詳細な内容について調整したうえで、近く厚労省に修正した報告書を提出するという。


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