取材妨害が続く屋久島町議会 どうして「マスコミ」だけに便宜? 鹿児島県屋久島町議会取材妨害問題

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フリーランスや独立メディアは排除

石田尾議長に続き、緒方委員長も

石田尾議長は「拒否する気はまったくない」と言うけれど……

 鹿児島県屋久島町が、同町の水道整備工事で国に補助金を申請する際に、うその「工事完成日」を報告して補助金を受け取った問題が取り上げられている町議会12月定例会で、屋久島ポストに対する取材妨害が続いている──。
取材拒否
取材禁止について説明する石田尾茂樹議長(左)と産業厚生常任委員会の緒方健太委員長

 127日の本会議初日に続き、129日の一般質問では石田尾茂樹議長、10日の産業厚生常任委員会では緒方健太委員長が、それぞれ屋久島ポストの議場での撮影取材の禁止を通告した。屋久島ポストは「町民の知る権利を奪っている」と抗議したが、石田尾議長と緒方委員長は抗議を受け入れず、屋久島ポストが取材する機会を奪った。

 石田尾議長らは、報道機関の定義を日本新聞協会などに加盟する新聞やテレビなどの「マスコミ」に限定し、屋久島ポストなどの独立メディアやフリーランスを「報道機関とは認められない」と主張する。

 だが、そもそもこうした「マスコミ」にのみに便宜を図り、フリーランスや独立メディアを排除する行為そのものが国際機関や国際NGOから批判の的になり、国際NGO「国境なき記者団」(本部・フランス)が毎年発表する「プレスの自由度ランキング」での日本の順位を押し下げる要因の一つになっている。

 さらに、石田尾議長と緒方委員長は、撮影や録音機材を議場に持ち込むことを禁止する傍聴規則を理由にする。「マスコミ」には特別に撮影取材の便宜を供与している、という理屈だ。

 こうした閉鎖的で排他的な理屈がまかり通っていること自体が国際機関や国際NGOから批判されている。

 だが、そもそも屋久島町議会には、「マスコミ」だけに議場の撮影取材を許可する明文化されたルールはなく、石田尾議長や緒方委員長が独自の判断で取材の可否を決めている。それゆえ、この問題が初めて報告された1126日の町議会全員協議会で、石田尾議長は屋久島ポストの撮影取材を認めた。

 石田尾議長は129日、屋久島ポストの抗議に対して、取材の機会を広く認めるルールを「3月までにしっかりつりたい」と明言。フリーランスの取材者も含めた取材について、「何も拒否する気はまったくない」と述べた。

 屋久島ポストでは、屋久島町議会の議場取材妨害問題をプレスの自由を侵害する行為だと判断、毎年「世界プレスの自由デー」を開催する国連ユネスコ、国境なき記者団、ジャーナリスト保護委員会(本部・米国)にも現状を報告している。

    *

 2021年のノーベル平和賞を受賞したフィリピンとロシアのジャーナリスト2人が1210日の授賞式を前に記者会見した。報道によると、フィリピンのインターネットメディア「ラップラー」のCEOのマリア・レッサ氏は独立したメディアが協力して言論の自由を守るために闘っていこうと呼びかけ、ロシアの新聞「ノーバヤ・ガゼータ」の編集長、ドミトリー・ムラートフ氏は独立したメディアの重要性を強調した。


■参考記事

・ノーベル平和賞 ジャーナリスト2人 “今後も言論抑圧と闘う,NHK, 20211210.


・Awarding of Nobel Peace Prize to Maria Ressa, Rappler,
December 10, 2021.


・’Hold the line’: Maria Ressa fights for press freedom
under Philippines’ Duterte, The Jakarta Post, December 10, 2021.



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