荒木町長、移住者らを「よそ者・バカ者」と表現 2023年度 屋久島町施政方針
「歴史を知らないよそ者」「バカで分別のないバカ者」➡「経験のある熟年者」らが受け入れ「持続可能な地域活性化」
町議から「差別用語」と批判も撤回せず
屋久島町の荒木耕治町長は3月7日に2023年度の施政方針演説を行い、島への移住者らを念頭に「歴史を知らないよそ者」「バカで分別のないバカ者」と表現したうえで、それらを受け入れる「経験のある熟年者」らと協調しあうことで、持続可能な地域活性化の実現が可能になるとの持論を述べた。町議からは「差別用語」だとの批判が出たが、荒木町長は表現を撤回しなかった。
移住者含めた島民「個々の力を結集」
施政方針演説は同日に開会した町議会3月定例会であった。
演説のなかで荒木町長は、2023年が屋久島の世界自然遺産登録から30年になることを踏まえ、「遺産登録を機にすべてが貨幣経済に飲み込まれてしまったのではないか」との思いを伝え、「屋久島の価値はそこばかりにはない」と指摘。島で長く暮らす住民や、移住者らを含めた「個々の力」を結集することが「これからの屋久島町長の仕事」だと述べた。
「地域活性化に若者・よそ者・バカ者が必要」
続いて、エコノミストの真壁昭夫氏が日本企業の再生などをテーマに著した「若者、バカ者、よそ者―イノベーションは彼らから始まる!」(PHP研究所)の書籍名を引用する形で、「地域活性化のためには、若者・よそ者・バカ者が必要といわれている」と指摘。その一方で、「最近ではそればかりではないという論調も多い」との見方を示した。
島の為政者として「自分たちの島は自分たちで創る」
そして、「経験のない若者、歴史を知らないよそ者、バカで分別のないバカ者を受け入れる、経験のある熟年者、地域歴史を知っている地者、知識があり分別のある利口者が互いに認め合い、協調しあってこそ持続可能な地域活性化が可能となる」との持論を述べた。
さらに、荒木町長は「いま私は島の為政者として、これまでこの島の歴史文化を紡いできた先人たちに恥じぬよう、自分たちの島は自分たちで創るという意思を強く持ち、最大の愛郷心をもって本年度も事を進めていく」と決意を語った。

屋久島町議会3月定例会で演説する荒木耕治町長(2023年3月7日、屋久島町議会、議会中継モニター画面を撮影)
「差別用語」との批判に「悪い意味で言ったわけではない」
この演説を受けて、渡辺博之町議は「『よそ者』というのは地域においては差別用語になる」と指摘。特に「歴史を知らないよそ者」という表現を問題視して、「屋久島に来ているIターン(移住者)の皆さんは歴史も自然も事前につかんで、しっかり勉強している人もいて、我々より詳しい人もいる」として、表現の撤回を求めた。
それに対し、荒木町長は「私は悪い意味で言ったわけではない」と述べて、表現の撤回には応じなかった。
■2023年度屋久島町施政方針の全文
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