あす3月5日判決 国会議員らへの高額贈答200万円 屋久島町長交際費・住民訴訟
森山裕衆院議員に高級焼酎180本など60万円 ➡ 被告町「これまでの助力、協力に対する謝意」
3月5日午後1時10分 鹿児島地裁で判決
【左上】屋久島町の荒木耕治町長【中央上】国会議事堂(Wikimedia Commons より)【右上】森山裕衆院議員(Wikimedia Commons より)【下】荒木町長が贈答した焼酎「三岳原酒」
屋久島町の荒木耕治町長が交際費で国会議員らに高額な贈答をしたのは違法な支出だとして、同町の住民が町を相手取り、荒木町長に贈答で使った約200万円を賠償請求するよう求めた住民訴訟――。
自民党の森山裕衆院議員(鹿児島4区)ら特定の国会議員などに対して、荒木町長が続けた高額贈答の違法性を問う住民訴訟の判決が3月5日、鹿児島地裁で言い渡される。
問題発覚から1年半を経て司法判断
この問題は2022年8月に屋久島ポストの報道で明らかになり、荒木町長が町議会で「妥当な贈答」だったと主張したため、同町の住民が同年11月に提訴。問題発覚から約1年半を経て、町の公費を使った高額贈答に対する司法判断が下されることなる。
これまで同訴訟では計6回の口頭弁論が開かれ、住民と町の双方が主張を続けてきた。
住民「社会通念を逸脱した違法な贈答」
原告の住民は、2017~2021年度の5年間に支出された町長交際費のうち、特定の国会議員らに贈った約200万円分の贈答について、「社会通念上妥当と認められる額を逸脱した違法な贈答」だと主張。特に問題視したのは森山衆院議員への贈答で、高級焼酎180本や魚介類のイセエビなど、少なくとも約60万円分の贈答を、荒木町長が「集中的かつ継続的」に続けていたことが訴訟審理のなかで明らかになっている。
町、贈答で「一層の信頼関係、友好関係を維持、増進」
それに対し被告の町は、森山衆院議員らに対する贈答は「これまでの助力、協力に対する謝意を示すとともに、今後とも一層の信頼関係、友好関係を維持、増進することを目的としてなされた」と主張。それを踏まえ、町長交際費による一連の贈答は「町行政の円滑な推進に資するという交際費の趣旨、目的に照らして、必ずしも社会通念上著しく妥当性を欠き裁量権の範囲を逸脱、濫用したとすることはできないことは明らかである」などと反論してきた。
町、2件の住民訴訟で係争中
屋久島町政をめぐる別の住民訴訟では2023年9月に一審判決があり、水道工事の国庫補助金を不正に受給し、補助金の一部を国に返還した問題で、荒木町長らに約135万円の賠償責任があることが認められた。その後、町は判決を不服として控訴し、福岡高裁宮崎支部で審理が続いている。
町にとって2件目の住民訴訟となる町長交際費訴訟の判決は、3月5日午後1時10分に言い渡され、屋久島ポストは鹿児島地裁から結果を速報で伝える。