最高裁への上告理由を住民に知らせない屋久島町 補助金不正請求・住民訴訟

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控訴では「町報やくしま」で詳細な主張を掲載
上告では一転「最高裁の判断が出るまでは広報する予定はない」

荒木町長、自身に135万円の賠償責任を認めた控訴審判決に不服
上告理由は沈黙

【左】上告審が行われる最高裁判所(裁判所ウェブサイトより)【右】国への虚偽報告について取材に応じる屋久島町の荒木耕治町長(2021121日、屋久島空港)


 屋久島町が水道工事の補助金を不正請求し、国から補助金1668万円の返還命令を受けた問題をめぐる住民訴訟で、荒木耕治町長に約135万円を賠償請求するよう町に命じた控訴審判決を不服として、町が上告の理由書を1120日付で送付したことが、町総務課への取材でわかった。上告理由の内容について、総務課は「最高裁の判断が出るまでは広報する予定はない」と説明。202310月に控訴した際には、「町報やくしま」で町の主張を詳細に掲載しており、控訴審と上告審で対応が大きく分かれている。


上告の棄却か、事件を差し戻しか、最高裁が判断へ

 町が送付したのは、「上告理由書」と「上告受理申立て理由書」の2通。上告理由書は、控訴審判決に憲法違反や重大な訴訟手続きの違反がある場合、上告受理申立て理由書は、同判決に判例違反や法令解釈に重要な問題がある場合に、それぞれ提出することになっている。

 上告審は「法律審」と言われ、地裁や高裁で行われる「事実審」とは違い、基本的に事実認定を見直すことはない。

 今後は最高裁が審理を行い、上告に理由がないと判断した場合は、口頭弁論を開くことなく上告を棄却する。一方、上告に理由があると判断した場合は、口頭弁論を経て控訴審判決を破棄し、事件を福岡高裁宮崎支部に差し戻すことになる。

荒木町長「判決文のなかに違法な部分がある」と言ったきり沈黙

 この住民訴訟をめぐっては、町が101日に上告を決めた際に、荒木町長は「判決文のなかに違法な部分があると思料されるので、最高裁に判断を仰ぎたい」とコメントを発表。それを受けて、総務課は屋久島ポストの取材に対し、上告理由の内容を町報に掲載して、住民に広報する予定だとしていた。

 だが、総務課は1129日の取材に、それまでの方針とは一転して「最高裁の判断が出るまでは広報する予定はない」と説明。1210日に発行される町報には、上告理由の内容は掲載しないとした。

屋久島ポスト、住民の財産に関わる問題で「広報する義務がある」

 それに対し、屋久島ポストは「住民の財産に関わる重要な問題であり、最高裁で争うのであれば、町には上告した理由を広報する義務がある」と指摘。地裁判決を不服として、202310月に控訴した際には、控訴する詳細な理由を町報に掲載していることからも、広く住民に知らせることを求めた。
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2023年10月発行の「町報やくしま」に掲載された控訴理由

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  1. 小脇清保

    不服や意地だけでは裁判は成立しないことは素人の私が考えても分かります。
    法務相談員も同じ考えとは、とても理解出来ません。
    往生際の悪い町長を説明、納得させられなかったんでしょうなあー

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